整備不良も「青切符」の対象に!? 自転車のブレーキ不具合は「制動装置不良自転車運転」 安全な走行に欠かせない最重要部品のチェック方法とは
2026年4月から、自転車の「青切符」制度がスタートしました。信号無視や一時不停止といった違反だけでなく、装備不良も取り締まりの対象となります。安全に走るための最重要装備である「ブレーキ」について解説します。
安心・安全な走行は日常のチェックが重要
2026年4月から、自転車の「青切符」制度がスタートしました。信号無視や一時不停止といった運転方法の違反だけでなく、実は自転車の装備不良も取り締まりの対象となります。安全に走るための最重要装備である「ブレーキ」もそのひとつです。
ブレーキが正常に機能していない状態で走行すると、「制動装置不良自転車運転」として取り締まりの対象となります。ブレーキに関する法律、違反となるケース、そして日常的にできるチェック方法について詳しく解説します。
自転車のブレーキについては、道路交通法施行規則第9条の3で明確な基準が定められています。まず大前提として、前後輪にブレーキを装備する必要があります。片方だけでは法律上の基準を満たしません。
また、制動距離、いわゆる「効き具合」についても明確な基準があり、「乾燥した平坦な舗装路面において、制動初速度が10km/hのとき、制動装置の操作を開始した場所から3m以内の距離で、円滑に自転車を停止させる性能を有すること」とされています。

これらを念頭に置くと、以下のようなケースも「制動装置不良自転車運転」として、反則金5000円の対象になると思われます。
■片方のブレーキしか効かない状態
前輪または後輪のどちらか一方のブレーキが故障している、またはワイヤーが切れているなど、片方しか機能していない状態での走行。
■制動力が著しく低下している状態
ブレーキレバーをしっかり握っても十分に効かない、ブレーキシューが摩耗しきっている、ワイヤーが伸びきっているなど、制動力が基準を満たさない状態では、道路を走行していて何かが飛び出してきた時、咄嗟の場合はブレーキの制動能力が生死を分けると言っても過言ではありません。
自転車のブレーキにはいろいろな種類がありますが、大きく分けると車輪の外側の鉄の輪(リム)の動きを止める「リムブレーキ」と、車輪の中心にある回転軸(ハブ)の動きを止める「ハブブレーキ」の2つです。
現在、日本で流通している大半のシティサイクル(ママチャリ)では、前輪と後輪で異なるタイプのブレーキが使われています。
多くのママチャリの前輪には、リムブレーキに分類される「キャリパーブレーキ」が使われています。アーチ型の本体の左右のアームの先にブレーキシューというゴムのパッドが装着されており、それでリムを挟んでスピードをコントロールします。シンプルな構造でメンテナンスがしやすく、比較的安価なので大きく普及しました。ブレーキレバーの握り具合で繊細にスピードコントロールができるのが特徴です。
一方、後輪にはハブブレーキに分類される「ローラーブレーキ」が使われています。類似の「バンドブレーキ」や「サーボブレーキ」も使われていますが、よほど安価な自転車以外は「ローラーブレーキ」が使われています。
ローラーブレーキは、その名の通り内部に複数のローラーが内蔵されており、これらが他の部品と連動することでハブの回転を止める仕組みになっています。内部に専用のグリスが充填されているので、万が一水が入っても制動力が落ちず、内部の摩耗も抑えられるので耐久力が高いとされています。
自転車のブレーキは基本的にレバーに鉄製のワイヤーが接続されており、そのワイヤーでブレーキ本体の可動部分を引っ張ることで制動力が発揮される構造になっています。
ブレーキの構造を理解したところで、日常的にチェックしたいポイントを挙げると以下になります。
■ブレーキレバー
まず確認すべきは、ブレーキレバーの握り心地です。ママチャリの場合、グリップとレバーの間隔がだいたい3分の1から2分の1あたりでブレーキが効き始めるのが目安と言われています。
レバーをかなり握り込まないとブレーキが効かない、いわゆる「遊びが大き過ぎる」状態は、ワイヤーが緩んでいる可能性があります。逆に、ほんの少し握っただけでブレーキが効いてしまう、「遊びがなさ過ぎる」状態はワイヤーが錆びていたり、ほつれたり折れ曲がったりしてどこかに引っかかっている可能性があります。それではブレーキが効いている状態で走っていることになるので、車体に負担をかけ続け、最悪の場合は車輪がロックしてしまう可能性もあります。
そして合わせてチェックしておきたいのが、「レバーの戻り」です。多くのブレーキレバーは内部に板バネなどが組み込まれており、握りを緩めると元の位置に戻る仕組みになっています。レバーが戻ってこない場合は、レバー自体が故障しているか、ワイヤーに何らかの不具合が発生していることが考えられます。
ブレーキレバーは緩すぎても固すぎても制動力に影響するので、ちょうどいい状態になっているか、確認が必要です。
■前輪(キャリパーブレーキ)
キャリパーブレーキに不具合が発生する場合、ブレーキ本体が錆びて動作が悪くなることもありますが、その多くはブレーキシューにあります。
ブレーキシューは、ゴムで鉄(リム部分)を挟んでいるので、消しゴムが減っていくように、使い続けることでどんどん摩耗していきます。新品のシューにはくっきりと3本くらいの溝が掘られていますが、使い続けると溝が浅くなっていきます。
シューを外さなくても、車輪との隙間から確認できます。溝が全くなければ問答無用で交換、1.5~2mm程度しか溝が残っていなければ交換タイミングの目安です。
また、リムを指でなぞってみて、指先が黒い削りカスで真っ黒になるようであれば、交換を検討してもよいでしょう。
シューのチェックに合わせて、左右のバランスも確認しましょう。取り付けられているシューが左右で車輪との隙間が同じになっているかどうか、片側に寄り過ぎていたり、すでに車輪に当たってしまっていると、均一の力で挟み込めないためブレーキをかけた際に車体が左右のどちらかに流れて行ってしまう可能性があります。
もし、ブレーキをかけた時に「キーーっ!!」と音がする場合、ほぼ確実にシューが悪さをしていると思って間違いありません。シューが摩耗していてうまく挟めなくなっていたり、リムに当たる角度が適正ではなかったりすることが原因です。
ちなみに、シューが摩耗していなくても音が鳴ることもあります。雨の日の翌日などでリムが濡れていて、シューとリムの間に水が入ると音が鳴ってしまうことがあります。しばらく走れば水が弾き飛ばされるので音鳴りも止まりますが、気になる場合はウエスなどでリムの水分を拭き取りましょう。
■後輪(ローラーブレーキ)
ローラーブレーキは、じつによく考えられた仕組みと耐久性を持っているので、逆に不具合に気づきにくいかもしれません。
「キーーっ!!」と耳障りな音が鳴る場合、かなり良くない状態で制動力も低下しています。原因としては、内部に充填されたグリスが不足していることが考えられます。ただし、音鳴りがしてもローラーブレーキそのものが壊れてしまっているというわけではありません。専用グリスを継ぎ足せば音鳴りは解消され、制動力も元に戻る可能性があります。
また、日常的に後輪ブレーキでの制動距離を意識しておくことも重要です。「以前より止まりにくくなった」と感じたら、グリス不足や内部の摩耗が進んでいる可能性があります。
ちなみに、ローラーブレーキについてもメンテナンス状況によっては「ブレーキが効きすぎている」状態に陥ることがあります。確認方法としては、スタンドなどで車輪が宙に浮いている状態で進行方向に向かって軽い力で回し、ブレーキレバーを握る力に対して、回転が止まる時に反発で2~3cmくらい逆回転するのが最適なバランスと言われています。
■制動力の確認方法
最終的には、実際に制動力があるかどうかを確認することが大切です。前輪はブレーキレバーを強く握り、ハンドルに上体が覆いかぶさるほどの状態で進行方向に体重をかけて車輪が転がらないか確認します。車輪が動いてしまう場合は、制動力が不足しています。
後輪の場合、スタンドを立てた状態でペダルを水平にし、ブレーキレバーをしっかり握った状態で片側のペダルに全体重を乗せます。これで車輪が回らなければ制動力に問題はありません。
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ブレーキは自転車が安全に走行するために最も重要な部品です。日常使いの中で、ブレーキの作動状況を意識することを習慣にしたいものです。
そして忘れてはいけないのが、ブレーキ部品は消耗品だという事です。定期的なメンテナンスと適切な時期での部品交換が必要です。ブレーキに何か違和感を感じる時は、早急に専門店に相談することをオススメします。






