バイク仲間から預かったOHCエンジンのホンダ「スーパーカブ90」(1967年型) 初期シリーズモデルの復活メンテナンス開始!!
バイク仲間からホンダ「スーパーカブ90」のOHCエンジンを搭載した初代シリーズモデルのメンテナンスを依頼され、車両を預かりました。通称「行燈カブ」や「かもめカブ」と呼ばれる以前に登場した、新世代OHCエンジンです。
可能な限り年式相応の部品を取り付けたい
ホンダの「スーパーカブ」というモデルは、生産出荷しながら「次から次へと仕様変更」していたことでも知られています。
これは「スーパーカブ」シリーズに限ったことではなく、1960年代に登場した、ホンダ製市販車のほほすべてのモデルにあてはまることでした。
まさに「走る実験室」時代の昭和39年、1964年当時は、バイク以上に自動車(ホンダスポーツS600)の仕様変更は、凄まじい勢いで進められていました。
メカニカル的、意匠的、生産技術的、部品のコスト的などなど、様々な要件で改善改良が加えられきました。当時は「予告無き仕様変更」という言葉が、製品カタログの備考欄に書きこまれるようにもなっています。

実は、そのような当時の姿勢に「マニアックさ」を感じている、ホンダクラシックファンも数多くいます。バイク仲間から預かった、OHCエンジンを搭載した「スーパーカブC90」の初期シリーズは、OHVエンジン時代のCM90から、毎年のようにモデルチェンジが繰り返し行われてきました。
OHV90ccエンジンのCM90、CM90の車体にOHC90ccエンジンを搭載したCM91、そして1966年にOHV50ccのC100がOHC50ccのC50へとモデルチェンジしたタイミングで、新たなフレームにOHC90ccエンジンを搭載したモデル、「スーパーカブC90」も登場しています。
このOHC90ccエンジン(正式には89cc)は、その流れのご先祖様は1964年に登場した「ベンリーCS90」にあたります。先行でスポーツモデルを発売して、様々な部分で改良改善を行ない、その後、大量生産モデルの「スーパーカブ」にも、同系列エンジンが搭載されました。
エンジンマウントの位置関係やキック始動周りに明らかなコストダウンが見られますが、多くの部品がCS90と共通化されていました。
OHCエンジンを搭載した90ccシリーズは、過去にメンテナンス経験があったので、特に問題なく「気持ち良く走れるように……」できると思いました。しかし、年式相応部品を見つけられるのか否かは、実作業に入らないとわかりません。特に、問題なく機能していても、年式的に不釣り合いな部品=見た目の問題で、なかなか納得できないこともあります。
とりあえずは「気持ち良く走れる」ことを最優先して部品交換を進め、後々、年式相応な部品が見つかれば、再度交換したいと考えています。
預かった時には欠品部品だらけで、正直「困った……」と感じていましたが、取り外してあった部品などなどを、後日、預かることができました。それでも足りないものは新規で探して、なんとか見繕いつつあるのが現状です。

エンジン始動を行う際に、「キックを踏み込んで、スパークプラグから火花が出るか否か?」といったお話があります。仮に、フラマグ点火(フライホイールマグネトー点火)なら、キックを踏み込むことでしっかりと火花が飛びます。「スーパーカブ」の50/65/70シリーズなどは、そのフラマグ仕様です。
しかし、初代OHC90ccエンジンシリーズの場合は「バッテリー点火」を採用しているので、搭載する6Vバッテリーのコンディションが良くないと、気持ち良くエンジン始動できなくなります。
バッテリー無しの状態でスパークプラグをエンジンにアースして、キックを踏み込むと「火花は出ている」こともあります。しかしこの火花は、充電系で立ち上がった電力を電源としているため、エンジン始動には至らないのがこのシリーズの特徴です。
何故だかわかりませんが、この当時のホンダ製原付二種モデルには「バッテリー点火車」が多いので、このあたりは要注意になります。
また、IGコイルトラブルで交換する際にも、「ACコイル(交流電源コイル)」ではなく「DCコイル(直流電源コイル)」でないと、エンジンは始動できません。
コンディションが良い6Vバッテリーを接続したところ、バッテリー無しの状態とは全く違う、チカラ強い火花が出ました。そこで、スロットル全開にして、パーツクリーナーをキャブレター本体のベンチュリ内に吹き込み、キックを踏み込みました。すると「ポポポッ」と初爆を確認できました。
ならばと、簡単にキャブ掃除してガソリンを流し込んでキック数発!! エンジンは意外と簡単に始動できました。
しかし、マフラーから吹き出す白煙の量が気になるので、仕方なくエンジン分解に取り掛かりました。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。











