アメリカを代表するハーレー用パフォーマンス・パーツメーカー 「S&Sサイクル」の歴史を改めて振り返る【パート4】

1996年のボンネビルでは5つのクラスで速度記録を樹立したS&S。アンダーソンは119cu-in(約1950cc)のスポーツスターで171.962mph(約275km/h)の速度をマーク。カリバーは89cu-in(約1460cc)のスポーツスターで157.81mph(約252km/h)を達成。中心に立つのはクルーとなったD・ケンジーです(写真提供 S&S CYCLE Inc.)
1994年に“Hubba Hubba Racing”という別会社を設立したジョージ“B”スミスはライダーにアンディ・ゴチスを擁してスーパーチャージャー付きのドラッグレーサーでレースに参戦。排気量制限140cu-inの中、あえて120cu-in+過給機というエンジンレイアウトで勝負に挑んだとのことです(写真提供 S&S CYCLE Inc.)
クランクに始まり、シリンダー、キャブとパーツラインナップを順調に増やしていったS&Sは92年からヘッドの生産にも着手。2010年からヘッドのポーティングをCNC加工にし、性能とクオリティの向上が図られています(写真提供 S&S CYCLE Inc.)
90年代初頭からカリフォルニアのイリュージョンやアリゾナのタイタンモーターサイクルなどのクローンバイクメーカーが台頭し、その多くがS&S製モーターを採用していたことによって業績を伸ばしたS&S。コンプリート・モーターの登場がカスタムシーンに与えた影響は計り知れないものです
2002年にはドラッグレースの世界で名を馳せるジョージ・ブライスとのコラボによってプロストック専用のG2モーターを開発。挟角60度の新設計エンジンを置き土産に二代目社長のジョージ“B”スミスは引退の道を辿ります(写真提供 S&S CYCLE Inc.)
2004年からウィスコンシン州ラクロスにファシリティーセンターを設立。配送センターとカスタマーサービスを兼ねるこの建物の建設によって、より充実のサービスを展開します。ちなみに地名の“ラクロス”は、あのラケットを使ったグランドホッケー的なスポーツと同じ意味で、この町が発祥の地となっています
こちらの広告写真をご覧頂ければお分かりのようにエボリューションタイプのVシリーズやTCタイプのTシリーズ、スポーツスタータイプのSBシリーズにPやSHなどの旧車タイプなどあらゆる型式のモーターをS&Sではラインナップ。50周年の記念イベントとして開催された“World Largest build-off”もエンジンカテゴリー別にカスタムビルダーを招待し、参加者が互いにジャッジするビルダーズチョイスでアワードが決定されました
2008年6月26~29日までウィスコンシン州ラクロスにて開催されたS&S50周年記念イベント。この時、世界中から選抜された50名のカスタムビルダーによって“World Largest build-off”が開催されたのですが、参加メンバーはアーレンとコーリーのネス親子やドニー・スミスなど普段はコンペティションに参加しないベテランビルダーも含まれた錚々たる面々。世界一を決めるコンテストに相応しい内容です
S&S50周年の“World Largest build-off”で総合優勝を果たしたのが写真で右に立つ日本のホットドックカスタムサイクルズの河北啓二氏。過去の実績はもちろん、この結果を見ても名実ともに、まさに日本を代表するビルダーです。またこうしたプロモーション活動を積極的に行い、カスタム業界を盛り上げたことも左に立つ三代目社長であるブレット・スミスの功績です
S&S50周年、そのビルドオフの表彰後に参加ビルダーたちによってラクロスの街でライド・デモを敢行。「走行可能なマシンがエントリーの条件」という部分にもパフォーマンスに重きを置くS&Sというメーカーの理念が表れています
2007年に開発された“Xウェッジ”はこれまでのようにノーマル・ハーレーのパフォーマンスUPを狙ったクローンモーターと異なり、まったくの新設計が与えられたもの。挟角60度の3カム(吸気に1カム・排気に2カム)構造で177~121cu-inの排気量を誇るこのエンジンは、かなり高いパフォーマンスを発揮したのですが、市場に搭載するフレームがない為、販売も伸び悩んだ様子。2011年よりイギリスの3輪カー、モーガンのパワーユニットとして採用されています
2007年から全車両がEFI化されたH-Dに対応すべくスロットルボディもリリース。この新時代に合わせたプロダクツはデュアルバレルタイプも用意されています
純正センサーとの互換性やエンジンチューンの際の補正を可能としたVFIモジュールも新時代に合わせてリリースされたプロダクツ。この他、現在はマフラーやオイルなど商品ラインナップは多岐に渡ります
ハーレーのTCモータータイプでありながらエボリューション時代のフレームへのマウントを可能としたTエンジンは2011年に登場。大メーカーでは実現することが難しいこうした細かいラインナップもS&Sらしさを感じさせる部分です
ネック角38度、ホイールベース240mmの車体にマックルア・オーバーキル・クランクケースを基にS&S製パーツで組み上げられた2097ccエンジンを搭載する“Hubba-Hubba”は1/4マイルで6秒956を記録。ゴールラインで341km/hをマークするこのマシンがドラッグレースの世界で200mph(320km/h)を突破した最初のマシンとのことです(写真提供 S&S CYCLE Inc.)
1995年から4年の空白期間を経てボンネビルへ挑むことになったS&S。かつてのエースライダー、ダン・ケンジーは一線を退き、右のジュディ・アンダーソンと左のティム・カリバーがライダーとして参戦。ジュディはS&S、ティムはパーツディストロビューター、ドラッグスペシャリティの社員とのことです(写真提供 S&S CYCLE Inc.)
2007年にスウェーデンのフラットヘッドパワーからパテント権を買い取り、旧車エンジンをコンプリートでリリースすることになったS&S。写真のKNシリーズは2008年に登場。クラシカルなルックスでありながら現代的なパフォーマンスを発揮します
ホットドックがSHクラスでエントリーしたマシン、“StGノーチラス”が名だたるビルダーたちによって製作されたカスタムの頂点に。ホットドックオリジナルのロッカーカバーやインジェクションが装着されたこの一台は、確実に世界のカスタム史に名を残します

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