エンジン支える「土台」!! レスプロエンジンの要となる“クランクシャフト”を包み込む「クランクケース」とは?

アッパーケースへ組み込んだクランクシャフトを固定します。センタージャーナルを固定するキャップブロックを締め付けます。セット方向は「矢印マーキング」がありますので、間違わないように注意しましょう
4本の締め付けボルトのネジ山部分には、カジリ防止用のモリブデングリスを少量塗布しておくのが良いです。カジリ防止剤であるアンチシーズの塗布でも良いです。締め付けは対角に行なうのが鉄則になります
対角に締め付けていくことで、キャップがよじれることなくクランクシャフトがスムーズに回転するようになります。ここでの締め付けトルクは25Nmです。一気に締め付けるのではなく、2~3回に分けて締め付けるのが良いです。
センターキャップボルトを締め付けたら指先のチカラだけでスムーズにクランクシャフトが回転するか確認します。この段階で、クランクシャフトの回り方が渋い際は、何かしらの原因が考えられます。締め付け部分へのゴミの混入には要注意です
ロアクランクケース内側の中央部分には、オイルフィルターケース用リリーフバルブがセットされているので復元します。締め付け後は、専用のロックワッシャーで固定し、緩み止め処置を施します
リリーフバルブ用のネジ山に限らず、締め付け復元時にサンドブラストの砂や汚れによって「ジャリッ」とした感覚がある際にはクランクケースのねじ山汚れをすべて再点検することをお勧めします
シフトドラムを復元します。このエンジン組み立てでは、充填式スプレーボトルに詰めた組み立てオイルを利用しました。添加剤を混ぜたエンジンオイルを詰めて、エアー加圧することで、スプレー式の組み立てオイルになります
シフトドラムを復元する際には、組み付け向きを間違えないようにシフトフォークをドラム本体に差し込みセットします。シフトフォークが作動するシフトドラム外周の溝の中にも組み立てオイルを塗布します
分解前のエンジンにギヤ抜けやギヤの入りが悪かったような事象があったときには、組み立て時にもシフトフォークの作動性やガタが、許容範囲外になっていないか、しっかり最終確認します。状況によっては部品交換も視野に入れましょう
シフトドラムの作動節度を保持するレバープレートを点検します。このバネが折れるとチェンジ節度が悪くなるため、分解オーバーホールを契機に新品スプリングに交換しました。伸びている例も多いそうです
シフトドラムのポジショニングプランジャを復元します。ロックワッシャーはプライヤーで折り曲げ固定します。このプランジャは、太く細目ネジなので、復元前にネジ山の汚れやダメージがある時には徹底的に修正しておきます
シフトドラムを復元したら、ロアクランクケースを立ててシフトドラムがスムーズに回転するか確認します。ポジショニングプランジャやレバーの組み付け状態が悪いと、作動性が今ひとつになり回転しにくくなってしまいます
上下クランクケースを一体化する前に締め付け面をしっかり脱脂します。液状ガスケットを適量塗布しますが、旧いガスケットが残っている際には、すべて除去します。液状ガスケットの塗布は、ロアクランクケースの合わせ面に行うのが良いです
上下クランクケースの合体時は、エンジン後方に立ち、作業進行するのが良いです。作業者がエンジン後方にいることで、合体するタイミングから内部を覗き込めます(隙間から覗き見できます)。そのためシフトフォークが正しく定位置にセットされているか確認できます
上下クランクケースの締め付けは、クランクシャフト周辺のM8ボルトから始めます。各ボルトはしっかり洗浄し、ネジ山コンディションを確認後にカジリ防止のためにモリブデングリスもしくはアンチシーズを塗布します
一気に一箇所ばかり締め付けるのではなく、平均的に順序通りに締め付けていきます。まずは15Nm程度ですべてのボルトを締め付け、クランクの作動状況を確認しながら規定値の25Nmで仕上げ締めしました
規定の順序、規定の締め付けトルクでM8ボルトを締め付けたら、クランクシャフトがスムーズに回るか再度確認します。その後、ミッション室やその他用のM6ボルトを洗浄して、エアブロー後に10Nmで締め付けます
ここで再確認します。トルクレンチにはプリセット式やレバー式などがありますが、プリセット式を利用する場合は、ゆっくり締め付けながら「カチッ」という音が鳴ったらそれでOKです。カチカチッと「2度鳴らしは」トルク変化の原因になるのでダメです
さらに再確認します。クランクシャフトのM8ボルトの締め付け順序は、クランクケースのボルト横に明示されていますので、その順序通りに締め付けていくのがセオリーになります。独特な締め付け順序になっています
上下クランクケースを一体化したら、外側から確認できる作動ポイントはすべて確認します。クランクシャフトはスムーズに回転作動するか? ミッションもスムーズに回って、かつギヤシフトがスムーズに入るか確認します
エンジン分解前の750cc時代に先行で強化クラッチキットを組み込んでいましたので、組み立て復元時にクラッチユニットは一切分解せず、ミッションシャフトと一体のまま作業進行しました。キックラチェットがカチカチとスムーズに回るかも確認します
ここで残りのシフトフォークとスピンドルを組み込みます。ちなみに初代空冷Zエンジンは、クランクケースを分解しなくてもこれらシフトフォークは交換可能な設計となっています。将来を見据えたエンジン設計とメンテナンス性の良さには驚きます
シフトフォークとシフトスピンドルを復元したら、組み立てオイルをミッション系パーツにしっかりスプレーして、エンジン始動以前に回転馴染みを良くします。それにしても、メンテナンス性が素晴らしく良いエンジンです
ここまで作業を進めたら、1速から5速までスムーズにシフトできるか再度確認します。ドライブシャフトを回転方向に回しながらシフトフォークをドライバーで回すことで、スムーズにシフトできることを確認できます
上下クランクケースの合わせ面にセットしたメインギャラリ用オイルシールと同じタイプのOリングを準備します。この部品はオイルポンプボディーをセットするオイル通路部分に組み付けます。Oリングの横には位置決めピンが入ります
エンジン分解前の点検では、規定値に達していることを確認していたオイルプレッシャーデータ。ここでは、オイルポンプを敢えて分解しませんでした。オイルスラッジで汚れていたら、歯ブラシなどを使って洗浄しておきます
オイルポンプの組み立て前には、オイル通路内にエンジンオイルをたっぷり流し込みます。さらにドライブギヤを回転させて、オイルポンプ内にエンジンオイルをしっかり巡らせます。このオイル回しが大切かつ重要な作業です
オイルポンプをセットする際には、ドライブギヤがクランクシャフトギヤとしっかり噛み合っていることを確認しながら組み付けます。規定トルクで締め付け後のギヤ部分には、バックラッシュがあることを確認します
オイルパンの内側には、エンジン内部空間とオイルエレメント室の気密を遮断するためのOリングかセットされます。念のために、このOリングは液体ガスケットを併用して締め付けることにしました。あくまで念のためです
オイルパンを締め付ける際には、ガスケット面の汚れを徹底的に清掃して、脱脂した後に液状ガスケットを薄く均一に塗布します。普段からオイル滲みが多いエンジンは、ガスケット交換しつつ、締め付け座面のクリーンナップを行います。
オイルパンガスケットをセットします。ガスケットやOリング関係の部品は、ドレミコレクションから発売されているガスケットキットを利用しました。液体ガスケットは塗り過ぎても良くないので、はみ出さないように適量を塗布します
オイルパン裏側のOリングは、液体ガスケットを併用することでOリングが落ちにくく、組み立て作業時の接着剤代わりにもなります。各部品は単品でしっかりクリーンナップと脱脂しておいたので、組み立て時も気持ち良く作業進行できます
ボルトはすべて洗浄してネジ山コンディションを確認してから締め付け復元しました。締め付けトルクは10Nmなので、オーバートルクには要注意です。締め付け順序は中央から両外側へ向けて締め付けていきます
初代空冷Zのドレンボルトはワッシャータイプのガスケットではなく、Oリングでシールする仕様を採用しています。ネジ山にダメージが無いか? オイルパン側のネジ山が痛んでいたら、組み付け前に必ず対処しておきます。
オイルエレメントをカバーと締め付けボルトにプリセットしてから、所定の位置へ組み付けます。各部のラバーシールが位置ズレしないように、ボルトを差し込む際にはオイルを塗布するのが良いです。Oリングはオイルの塗布で滑りが良くなります
オイルパンを復元したら、クランクケースを表に向けて、アッパークランクケース側から差し込むM6ボルトをすべて締め付け固定します。締め付けトルクは10Nmなので、オーバートルクには十分注意します
威風堂々の空冷ツインカムエンジンです。Z1/Z2シリーズをリスペクトしたZ900RSのデザインや性能も魅力的ですが、エンジンを丸出しにした、往年のツインカム4気筒空冷エンジンの迫力は、それ以上に圧巻です。存在感が違いますね
エンジンの土台といえる「クランクケース」

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