初めて操るホンダ「スーパーカブ」は教育熱心で偉大なレジェンド!?

2018年に誕生60周年を迎えたホンダ「スーパーカブ」は、世界累計生産台数1億台を超えるなど、バイク界のレジェンド的存在として知られています。そんな伝統あるカブに初めて試乗した筆者(金子陽一)の目にはどのように写ったのでしょうか。

様々な表情を見せるバイク界のレジェンド

 自分(筆者:金子陽一)の中でのホンダ「スーパーカブ」は、ほとんどの方々が思い浮かべるのと同じく、新聞や郵便の配達で活躍する存在と認識しています。過去に街でブラックを基調としたモデルをオシャレに乗りこなすオーナーを見かけ「ほ~っ」と感心したこともありましたが、自分から試乗を考えたり、購入を試みるターゲットとして、その名が上がったことはありませんでした。

2018年に誕生60周年を迎えたスーパーカブ(左:50cc/右:110ccモデル)

 しかし、その詳細をチェックすると、世界で生産された台数が累計でなんと1億台を超え、2018年には誕生60周年を迎えたモデルだということを知り、普段は身近に感じさせながらも達成したその偉業の重み、そして日本を代表する偉大なモデルなのだということを改めて理解しました。

 今まで気にすることがなかったのですが、そんなバイク界の“レジェンド”をじっくり見てみると、その偉業を知っているからなのか、外観のデザインには威厳があるようにも見えたり、可愛くも見えたりと、不思議と表情があるように思えてきます。

 試乗するうえで車体にまたがる際には、少々中途半端な高さのセンターフレームにより、通常のバイクと同じく足をシートの後ろから回すのか、はたまたスクーターのように前から乗るのか、微妙に迷いながらまたがります。

シンプルで使いやすい形状のスイッチ類(写真はスーパーカブ50)

 乗車姿勢はすべてを含めてとにかくシンプルです。そのシンプルさは、セルスタート、プッシュキャンセルウインカー、ヘッドライトLo/hi切り替えなどの各スイッチの位置にも現れており、形状も使いやすさもほぼ完璧。初めてスーパーカブに乗る人でも迷いなく操作が可能だと感じさせます。

 エンジンをかけ、初めてスタートさせたスーパーカブは、完全に熟成されているからなのか意外に乗り心地良く感じられました。乗り始めはカブならではの常時噛合式4段リターン(停車中のみロータリー式)ミッションのシフト操作に慣れが必要でしたが、慣れてしまうとこの操作がとにかくおもしろい。最初に操作を理解するのはもちろんですが、このシフト操作次第でどうにでも走らせることが出来てしまうというのが本音です。

50ccをスムーズに走らせてこそ「真のカブ使い」

 今回は50ccと110ccの両モデルに試乗させていただいたのですが、乗り比べると110ccの方はパワーにも余裕があり、すべてにおいてスムーズに走るので、誰が乗っても本当に乗りやすいモデルに仕上がっています。

余裕のある走りを見せる「スーパーカブ110」

 一方の50ccでは、1速で引っ張ってから2速へシフトアップをすると、“ビョン”と唐突なつながりとなってしまい、カブの方から「もっと落ち着いて走ってください!」と伝えてきているように感じられます。そう言われないように、1速から2速への操作ではある程度の車速でシフトアップを済ませスマートな走りを心がけると、断然スムーズな走りをしてくれます。

 慣れてくると、減速時などもシフトダウンの駆動が抜けたタイミングで上手くアクセルをあおってエンジン回転を合わせてあげると、よりスムーズな減速が可能。こちらのコントロールも本当におもしろく、自分で操っている感が満載です。 

操っている感満載の「スーパーカブ50」

 この50ccモデルをスマートかつスムーズに走らせてこそ、偉大なスーパーカブを自在に操る「真のカブ使い」なのだと感じます。操作は簡単ですが、ごまかしが利かないアナログなモノ。ホンダ「スーパーカブ」は、ある意味ライダーの真価が問われる、走らせがいのある偉大なレジェンドです。

【了】

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Writer: 金子陽一

トップドライバーを目指し自動車レースに参戦。幾度かの資金難から挫折しかけたところをチューニングカー雑誌の編集部に拾われ、タイムアタック/レポートドライバーを担当。現在、それらの経験を活かし自動車ブランドが開催するドライビングレッスンのインストラクター、そして販売店スタッフ向けの研修トレーナーとしても活躍中。学生時代に乗っていたバイクからはしばらく離れていたが、近年、最新バイクの進化、またバイクを取り巻く最新アイテムの進化に感動しバイク熱が復活。大型自動二輪免許も取得。クルマで経験してきたセンサーを活かして「バイク」「ブランド」「アイテム」「こだわり」など、最新のバイク界をピュアな目線でレポートする。

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