自転車保険加入を義務化するエリア拡大中 エリア外から自転車で入ったらどうなる?

宮城県仙台市や埼玉県など、自転車保険加入を義務化する自治体が登場していますが、2019年10月1日から神奈川県でも全域で義務化が始まります。どんな保険に加入し、自転車に乗る場合はどうしたらよいか、そして、他のエリアから義務化エリアに自転車で入った場合はどうなるのでしょうか。

自転車保険義務化、地域をさらに拡大

 夏の行楽シーズンになりました。少々暑いですが、夏休みに自転車でツーリングを計画している人もいるかと思います。そこで注意すべきなのが、自転車保険加入の義務化エリア拡大のニュースです。そして、ツーリングでなくても該当エリアの自転車ユーザーは注意が必要になります。

自転車保険義務化エリア拡大中につき、他県へのツーリングの際などには注意が必要

 兵庫県が2015年10月1日に施工して以来、自転車保険加入の義務化地域は滋賀県や仙台市、埼玉県、京都府などと、徐々にエリアを拡大しています。2019年10月1日からは神奈川県全域と茨城県笠間市、2020年1月1日には東京都足立区でも保険加入の義務化が予定されています。

 気になるのはどのような保険に入ったらよいか、ということと、他のエリアから自転車保険に加入してない自転車を漕いで、義務化エリアに入った場合はどうなるかというものです。

神奈川県は県境に所在する駅で、ポスター告知

 そこで、2019年10月1日に義務化を予定しているエリアのひとつ、神奈川県の“くらし安全交通課”に加入する自転車保険の種類や保険証書の携帯義務、他エリアから入ってきた場合の対応について伺いました。

──多様に自転車の補償が受けられる付帯サービス等がありますが、それとは別に自転車保険として再加入が必要なのでしょうか?

 自転車損害賠償責任保険等には、「自転車向けの保険」だけでなく他に多くの種類があり、ご自身が加入している保険等が自転車利用時の事故による他人の生命又は身体への損害が補償されているものであれば、自転車向けの保険に新たに加入する必要はありません。

神奈川県では2019年10月1日より自転車損害賠償責任保険等への加入を義務化(出典:神奈川県)

──自転車保険を自転車に乗る際に、自動車やバイクの自賠責保険と同様に携帯する義務はあるのでしょうか?

 自転車には自動車やバイクのように登録制度が確立されておらず、一般的には保険証書等を携帯する設備もありません。また、加入義務の対象となる保険等には、人にかける保険と車体にかける保険があるほか、自動車保険や火災保険の特約等は契約者だけでなく家族全員が対象となるものもあるなど、保険証書等を携帯することが困難です。

 そのため、『神奈川県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例』(以下、「条例」といいます)では、保険証書等の携帯を義務づけておりません。

──自転車保険未加入の他県の方が神奈川県の路上を走行するケースに対し、どのような見解でしょうか?

 条例では、県外から自転車で乗り入れる場合でも保険等の加入を義務付けております。県ではホームページや条例の内容を分かりやすく説明した小冊子などで周知を図っており、今後、県境に所在する駅でのポスター掲示や県外を走行する電車内広告などを通じて県外の方への周知に努めてまいります。

※ ※ ※

 まとめると、何らかのかたちで自転車に乗車する際の補償を受ける準備の必要があり、ツーリングや県をまたいでの通勤・通学等で、乗り入れを行う際にも必要となりますが、保険証書の携帯義務はないということです。

自転車事故では、1億円近い高額賠償金の例も

 国土交通省の報告(2017年)を見る限り、2007年に17万1171件であった自転車関連の事故は、2017年では9万407件と減少傾向にあります。

 しかし、高額の賠償金を支払う例もあり、例えば2008年に神戸市北区で発生した自転車に乗る11歳の小学生が、歩行中の62歳女性に衝突し重症を追わせた事故では、2013年に神戸地裁が約9500万円を支払うよう命じています。

 自転車対歩行者の場合、車と同様に高額の賠償となるケースは多く、歩行者が死亡した場合を含め、5000万円以上の高額請求が発生しているケースが散見されます。

仙台市自転車の安全利用に関する条例(出典:仙台市)

 国土交通省の報告では事故数は減少しつつも、未成年による自転車事故(6~19才)は全体の38%と高い割合を占めています。そうした責任能力のない未成年者が事故を起こす比率が高いことも、自転車保険加入の義務化が広まる要因のひとつといえそうです。

 自転車保険は自動車保険や各種損害保険に付帯するものや、単体でも少ない費用で加入できるものもあります。自分の加入している保険の範囲に入っているかなど、いまいちど確認してみてはいかがでしょうか。

【了】

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