ホンダ新型「アフリカツイン」 パワーアップと軽量コンパクト化を両立させた理由とは?【TMS2019】

東京モーターショー2019にブース出展するホンダは、大型アドベンチャーモデル「CRF1100L Africa Twin」「CRF1100L Africa Twin Adventure Sports」を展示しています。前モデルから刷新されたエンジンや車体、その狙いとは何でしょうか。

排気量は大きく、車体は軽量コンパクト化を実現

 欧州におけるアドベンチャーモデルの需要拡大に呼応し、ホンダは2016年に「CRF1000L Africa Twin(アフリカツイン)」を発売しました。排気量998ccの水冷直列2気筒SOHC4バルブエンジンを搭載し、他メーカーよりもオフロード走行性能を重視した作りが好評となり、ビッグセールを記録しました。

東京モーターショー2019のホンダブースに展示された新型「CRF1100L Africa Twin」

 東京モーターショー2019では、排気量アップに加え軽量化を実現した新型のアフリカツイン(およびアフリカツイン・アドベンチャースポーツ)が展示され、多くの来場者から注目を浴びています。

 同モデルの開発を担当した、本田技研工業株式会社の二輪事業本部 ものづくりセンター商品開発部 森田健二さんに話を伺いました。

──今回エンジンの排気量が998ccから1082ccに拡大されていますが、その理由を教えてください。

 欧州から上がっていたご意見として、高速走行をメインとする公道走行の面では、今までの排気量では物足りないという声があり、改善の余地、対応の必要性がありました。

 しかしエンジンを作り直すとなると、一般的に出力向上は重量増を伴うことでもあります。そんな折に新法規(Euro5:2020年より適用される欧州排出ガス規制)に対応するタイミングと重なり、いずれにしてもエンジン開発に着手しなければいけないこともあり、今回の排気量変更につながりました。

アフリカツイン開発責任者の森田健二さん(本田技研工業株式会社 二輪事業本部 ものづくりセンター 商品開発部)

 結果として、排気量を上げながらもエンジン単体、MT(マニュアル・トランスミッション)仕様で2.5kg、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)仕様で2.2kgの軽量化を達成することができました。

 開発を担当したライダーからは、エンジンのパンチや加速感を体感していただいていますし、私自身も旧アフリカツインオーナーですが、この新型車はオフロードでの扱いやすさ、安心感、軽快感を感じています。機敏性も増しました。

──とくにスタンダードモデルはコンパクトになり、外観もかなり変わりましたね。

 バイクはコンパクトで軽いことが、操る魅力において最も大事な項目だと考えています。それは誰に要求されるまでもなく、ホンダは常にそこを目指しているものなのです。

 アフリカツインのようなアドベンチャーツーリングやオフロードを楽しむバイクは、大きすぎないことが大事だと思っています。もちろん他社さんのバイクには、装備が追加され重量が増えている事例もありますが、ホンダのどのモデルにも共通している開発テーマが「軽量、コンパクト」です。

──変更されたデザインのコンセプトを教えてください。

「Africa Twin」と「Africa Twin Adventure Sports」は、それぞれ明確にイメージを変えました。今までのスタンダードモデルとアドベンチャースポーツは、それほど外観に大きな差はなかったのですが、今回はせっかくのニューモデルなので、よりコンセプトの違いをわかりやすくしたのです。

高さが抑えられたアフリカツインのフロントスクリーン。顎くらいの高さで通常の走行では十分な防風効果を発揮するという。オプションでロングスクリーンへの換装も可能

 まずヘッドライトの位置(高さ)が違います。アフリカツインの方が高く、アグレッシブなオフロードのイメージを持ち、それでいてコンパクト感を出してます。いわゆる「マス」がやや高い方がオフロードらしさを演出できるんです。一方のアドベンチャースポーツは、質実剛健で堂々としたイメージにしました。

──アドベンチャースポーツESにはSHOWA電子制御サスペンションが前後に搭載されていますね。

 ホンダとしては、CBR1000RR SP(ホンダのスーパースポーツモデル)にOHLINS(オーリンズ)製電子制御サスペンションを搭載していますが、このモデルはSHOWA(ショーワ)との共同開発によるものです。

 慣性計測装置(IMU)と連動して、あらゆる条件下での減衰力を最適化しています。簡単に説明すると、「硬め」「中間」「柔らかめ」「オフロード向け」の4モードがあり、各ライディングモード(「ツアー:荷物を積載した高速走行など」」「アーバン:オールマイティ」」「グラベル:不整地を安心して走れる、ソフトな乗り心地」「オフロード:細かいギャップをこなし、ジャンプ着地などの速い動きにも踏ん張る」)と連動して、サスペンションのダンピング特性が決まります。

 よくお客様に聞かれるのが「エンジンを切ると、カチカチに固まってしまわないか?」ということです。電子制御サスペンションの中には、壊れた時に減衰がミニマムかマックスの最大値に振られてしまことがありますが、ホンダは断線した時にも減衰値がセンターになるように設定されています。この状態でも違和感なく走れますので、いたずらによる断線などへの対策もできていますから、安心していただけます。

※ ※ ※

 よりパワフル&コンパクト化され、先進機能も強化された新型アフリカツインは、今後のアドベンチャーバイクの新たな指針となることが期待されます。

【了】

ホンダの新型アドベンチャーモデル「アフリカツイン」はどこが変わった?

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