絶対に盗まれたくない!! じつはメーカーも昔からバイクの「盗難抑止」に取り組んでいた!?
バイクライフでなにがツラいかと言えば、暑さ寒さや転倒よりも「盗難」が一番ではないでしょうか。愛車が忽然と姿を消すショックは計り知れません。そこでバイクメーカーも、古くから様々な盗難抑止対策をしてきました。
ライダーを悩ませる「バイク盗」
近年では2020年頃のコロナ禍でバイク人気が上昇したのに伴い、残念ながらバイクの盗難件数も増えてしまいます。とはいえバイクの盗難は、かなり昔からライダーの悩みの種であり、盗難抑止に対して様々なアイテムが登場しています。
もちろんバイクメーカーや行政も盗難問題を把握しています。例えば「ハンドルロック」は車検項目にも含まれており、標準で装備され、機能することが定められています。

とはいえ、ハンドルを動かないように固定するハンドルロックだけでは心もとないのが実情です。そこでバイクメーカーも、けっこう昔から様々な盗難抑止の方法を考えてきました。
ケーブルロックの内蔵や切断アラームも登場
昔から(現在も)盗難防止として、頑丈なワイヤーケーブルやチェーンなどで、車体を何かしらの構造物に固定する「地球ロック」と呼ばれる方法がメジャーです。
とはいえ自宅での保管時はともかく、出先でロックするためにワイヤーケーブルなどを常に持ち歩くと荷物になるため、現実的にけっこう大変です。
そこでカワサキは、1980年代初頭に発売した「Z1000J」や「Z1000R」などに(いずれも輸出モデル)、盗難防止用のケーブルロック(純正オプション)をフレームに収納できるようにしました。国内モデルでは1982年発売の「Z750GP」などが装備していました。

フレーム左側に収納用のパイプを設け、そこからメインフレームのダウンチューブにケーブルロックをスルスルと差し込むというシンプルな構造ですが、なかなかのアイディアです。
そしてホンダは、そんなケーブルロックをさらに進化させた「オプティカルファイバー・アンチセフトデバイス」を、1982年発売の「VF750 SABRE(セイバー)」に装備しました。
左側サイドカバーの中に収められたロッキングワイヤーは、一見すると普通のワイヤーケーブルですが、中に光ファイバーが仕込まれています。そしてロッキングワイヤーを車体のソケットに差し込んでセットすると、発光ダイオードから受光ダイオードに光が送られます。
もしこの状態でロッキングワイヤーが切断されると光が遮断され、それを検知してブザーが鳴り響いて盗難を知らせるシステムです。
物理的なロックとアラーム機能を併せ持つ意味では、当時としてはかなり先進的な盗難抑止機構だったと言えます。
シャッターキーやイモビキーが標準化
1980年代はスポーツバイクだけでなく、スクーター人気も一気に拡大し、やはり盗難も増加しました。
大型バイクと比べるとメインキーやハンドルロックの構造が簡易的な場合も多く、メインキーをピッキングしたり、ドライバーで強引に回すなども横行しました。
そこで1990年代からシャッターキーを装備するスクーターが増加します。文字通りメインキーにシャッターを設けて、鍵穴にアクセスできなくする構造です。相応に盗難抑止効果が高いため、現在もスクーター系の多くに採用されています。

そして1990年代後半から2000年代初頭から装備が増えたのが、「イモビライザー」と、シート下にU字ロックを収める構造でしょう。
イモビライザーとは、車体側のECU(エンジンコントロールユニット)と、キーに埋め込んだチップが通信することで「このキーはこの車体と合致している」と判断したらエンジンを始動できる盗難抑止システムです。
そのためピッキングや不正に製作した合鍵などでメインキーをONの位置に回してもエンジンがかかりません。このイモビライザー(イモビキー)は、現在では国内外の多くのバイクが採用しています。
そして物理ロックでメジャーなU字ロックは、強度が高く装着が容易なのがメリットですが、持ち運びに不便なのがデメリットです。
そこでシート下の小物入れやテールカウルの中にU字ロックを収められるようにしたり、シートのベースプレートにU字ロックを固定できる形状にした車両も登場しました。
とはいえこの「U字ロック内装」は、バイクのカテゴリーによってはスペース的な難易度が高いため、現行バイクだと必ずしもシート下に収納可能なワケではありません。
また収納できる車両の場合でもU字ロックのサイズや形状に制限があったり、純正アクセサリーで用意したU字ロックしか収納できない場合もあるので注意が必要です。

絶対に避けたい盗難ですが、そのためには単一の盗難抑止方法ではなく、複数の機能やアイテムを用いて「いかに盗みにくい車両か」をアピールすることも大切です。
その意味では標準装備が普及しているイモビライザーに加え、ケーブルやU字ロックなど「物理ロック」のアイテムの車両への搭載機能も重要になります。
バイクを新規で購入する際には、(それが最優先ではないにしても)盗難抑止アイテムの装備や積載性もチェックすることをオススメします。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。










