中量級クラス日本人19人目! 世界選手権moto2クラス初優勝の長島哲太ってどんな人?

2020年3月8日、ドーハにあるロサイル・インターナショナル・サーキットでおこなわれた、ロードレース世界選手権moto2クラスで、長島哲太選手が優勝を果たしました。250㏄クラスを含む中量級では、日本人19人目の優勝を手にした長島選手は、いったいどんなライダーなのでしょうか。

moto2参戦5年目の初優勝!

 ロードレース世界選手権(MotoGP)2020の開幕戦、カタールグランプリが3月8日におこなわれ、Red Bull KTM Ajoからmoto2クラスに参戦する長島哲太選手が優勝を果たしました。

 WGP250㏄を含む中量級クラスでは、日本人ライダー19人目となる優勝を手にした長島選手は、いったいここまでどのような道のりを歩んできたのでしょうか。

Red Bull KTM Ajo長島哲太選手

 長島選手が頭角を現したのは2011年。4ストローク250ccモトクロッサーエンジンを載せたロードレース専用バイクで戦う、全日本ロードレース選手権GP-MONOクラスでシリーズチャンピオンを獲得します。

 そして翌2012年はJ-GP3クラスにステップし、ランキング2位を獲得。2013年より、現在と同じ600㏄のマシンで戦うJ-GP2クラスへステップアップすると同時に、ロードレース世界選手権 日本グランプリのmoto2クラスに代役参戦。翌2014年には、世界グランプリ moto2クラスへのフル参戦を果たします。

 ここまで、とんとん拍子にステップアップしてきたかのように見える長島選手ですが、2014年シーズンは大苦戦。初めて経験する海外の各サーキットへの対応に苦しみ、完走しても結果は全てポイント圏外。第12戦イギリスグランプリのフリー走行での転倒による怪我で、その後のレースは欠場を余儀なくされてしまいます。そしてなんとか復帰した最終戦も26位と振るわず、苦しい1年を過ごすことになります。

 2015年・16年はヨーロッパを中心におこなわれるCEVレプソルインターナショナル選手権に参戦。シリーズ2位という結果を残し、2017年に再び世界グランプリのmoto2クラスに復帰を果たします。

SAGから2017年moto2に参戦

 世界グランプリへの復帰1年目となる2017年シーズンの自身最高位は、第17戦マレーシアグランプリでの10位。何度か転倒はあったものの、すぐにレースへ復帰し全戦完走。シリーズランキングは26位でした。

 IDEMITSU Honda Teamに移籍した翌2018年も第15戦タイグランプリで自身最高位となる8位を獲得するも、年間を通しての成績は振るわず、ランキングは20位に沈みます。

 世界グランプリ参戦4年目となる2019年は、第11戦オーストリアグランプリで自身初、日本人ライダー3人目となるポールポジションを獲得。第8戦オランダグランプリと第12戦イギリスグランプリでは5位入賞を果たすなどの健闘を見せ、シリーズランキングは14位と明らかな成長を見せた1年となりました。

 そして2020年の開幕戦、予選14位と厳しい位置からのスタートとなるも、ファステストラップを連発しながら1台1台冷静に追い抜きをかけ、着々とポジションアップ。遂に、優勝を果たしたのです。

初優勝を果たしたmoto2開幕戦カタールGP

 長島選手は自身のツイッターで、優勝後の気持ちを次のように話しています。

「興奮してるのか、なかなか眠れない。

 ここまで本当に長かった。辛いことも多かったしお前には無理だと言われたこともあった。でもそれ以上にお前なら出来ると信じてくれる人達がいた。

 きっと努力は報われない時の方が多いのかもしれないけど、報われる時は必ず来る!俺の事を信じてくれてありがとう!」

 ※ ※ ※

 長島選手が優勝を果たしたロサイル・インターナショナル・サーキットのピットビルの1階には、moto2クラス初代ウィナーで、2010年サンマリノグランプリでのレース中の事故により亡くなった、富沢祥也選手のモニュメントが建てられています。

 富沢選手と長島選手は兄と弟のように、ポケバイ、ミニバイクと切磋琢磨してきた仲。親友であり、憧れ、そしてライバルでもあった富沢選手と同じ地で初優勝を掴んだ奇跡のような優勝劇は、長島選手本人はもちろんですが、多くのロードレースファンの胸に刻まれました。

 速いのは当たり前。資金や環境を自分で作り出せる力が無ければ、続けたくても続けることすら困難なロードレースの世界で、諦めることなく頂点を目指し続けた長島選手のこれまでの道のりは、想像を絶するほど大変なものだったと思います。

moto2開幕戦カタールGP表彰台での長島選手

 しかし、「報われる時は必ず来る!俺の事を信じてくれてありがとう!」この言葉と共に、努力はいつか報われるということを、長島選手は自身で証明してくれました。

 コロナウイルスの影響で、開幕戦でのMotoGPクラスの中止やタイGPやアメリカズGPの延期など、まだまだ混乱が続いていますが、次戦も長島選手の活躍を期待せずにはいられません。 

【了】

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