ハスクバーナに250クラスのストリートモデル「スヴァルトピレン250」追加 見た目は同じでも異なる個性の人気シリーズを検証する

スウェーデン発祥のバイクメーカー「ハスクバーナ」は、2013年にオーストリアのKTMと同じグループに属し、2018年からエンジンを共用するストリートモデルの導入で人気を集めています。2020年の新型「スヴァルトピレン250」に試乗しつつ、それぞれの個性を検証します。

純粋なロードスポーツ、驚くほど造りこまれたそれぞれの個性

 KTMと同じ親会社の傘下に収まるハスクバーナ・モーターサイクルズ(以下、ハスクバーナ)は、オフロードモデルで実績のあるメーカーですが、現在はカフェレーサースタイルの「VITPILEN(ヴィットピレン)」と、ストリートスクランブラータイプの「SVARTPILEN(スヴァルトピレン)」という2つのロードスポーツが注目を集めています。

ハスクバーナ「SVARTPILEN 250」(2020年型)に試乗する筆者(和歌山利宏)

 この「VITPILEN/SVARTPILEN」シリーズはKTMの単気筒エンジンを搭載し、排気量別に692.7ccの「701」と373ccの「401」があり、2020年、スヴァルトピレンには排気量248.8ccの「SVARTPILEN 250」もラインナップに加わりました。ここではスヴァルトピレンを中心に、筆者(和歌山利宏)がこれらの特徴を検証してみたいと思います。

 そこで、まず強調しておきたいのは、スヴァルトピレンはスクランブラータイプであっても、乗り味は伝統的なロードスポーツそのものであることです。オフロード指向のタイヤを履き、701のフロントは18インチ化、サスペンションストロークも前後150mm(401と250のフロントは142mm)と大きめなだけに、意外だったほどです。

 これからすると、現在のハイグリップタイヤを履くロードスポーツは、タイヤに逆らわなければ高次元のコーナリングが可能です。悪く言えば、タイヤ主導ということになるかもしれません。

ハスクバーナ「SVARTPILEN 250」(2020年型)

 でも、これらスヴァルトピレンでは、リズムを伴った身体のバランスでラインをトレースしていくとでも言えばいいでしょうか、絶対スピードこそさほど速くなくても、日常域でコントロールする面白さは格別で、公道ではむしろ安全とも言えます。

 逆に言えば、グリップに依存せず、乗り手への依存度を高めるという然るべきライディングを実現するために、オフロード指向のタイヤを履いていると思えるほどです。また、豊かなサスペンションストロークもそうしたリズムに合っていて、マシンからの情報を豊かにしてくれています。

 ライディングポジションもアップライトで、伝統的なロードスポーツを思わせます。サスペンションストロークが大きめでも、足つき性は並みの水準で、意外や、前後サスペンションストロークが135mmの「ヴィットピレン701」よりも良好なほどです。

 そして、701、401、250の3モデルの車輌キャラクターは、根底に同じポリシーが貫かれながらも、それぞれ絶妙に最適化されています。

3機種となった「SVARTPILEN」シリーズ。左から、新登場の「SVARTPILEN 250」、2020年型となった「SVARTPILEN 401」と「SVARTPILEN 701」。見ての通りほとんど違いが分からないほど統一されたデザイン

 701は当然、動力性能に勝り、見合った車格と落ち着きを感じさせ、上質感にも勝ります。唯一、フロントが18インチであることも、こうした印象と好マッチングです。タイヤがピレリの「MT60 RS」というデュアルパーパスタイプであることも、アグレッシブではない安定感に寄与しているのでしょう。

 401は、701よりもずっとコンパクトで軽量な印象です。エンジンの性能を引き出してダイナミックに遊んでみようという気にさせます。タイヤはピレリの「スコーピオン・ラリーSTR」で、オフロード指向が強めなのも、意図されたことかもしれません。

 また、車体の基本を401と共用する250は、401以上にエンジンを使い切ってスポーツする気にさせます。タイヤはインド製MRFの「REVS FD/D」で、位置づけとしてはややオンロード寄り。ですから、ボーイズレーサーよろしく、ワインディングのコーナーで遊んでみたくなるキャラクターになっているのです。

 そんなわけで、ここで付け加えておくなら、これらスヴァルトピレンはタイヤの選択によっても大きくキャラクターを変え、楽しみの幅をオーナー自身が広げていくことができる可能性が高いと思うところでもあります。

ハスクバーナの真骨頂は、ロードスポーツにもあった!?

 さて、そんなスヴァルトピレンからすると、カフェレーサータイプのヴィットピレンは一体、どのようなものなのでしょうか。

ハスクバーナ「VITPILEN 701」(2020年型)に試乗する筆者(和歌山利宏)

「ヴィットピレン701」に乗って、驚かされました。何とも鮮烈なのです。コーナーでよく曲がるし、走りを撮影したコーナーでは、コーナリング速度はスヴァルトピレンよりも10km/h以上も速いくらいです。でも、タイヤに乗せられているわけではありません。曲げるというコントロールに応えてくれるから、スロットルを開けることができ、その結果、速いのです。

 漠然と走りがちな日常域では、スヴァルトピレンのほうが生き生きと感じられるでしょう。でも、上体を低く身構える前傾スタイルで、さらなるコーナリングのポテンシャルを取り出せるヴィットピレンは、さすがといったところです。

 日常域での寛容性と楽しさを求めるのか、それとも自分自身にチャレンジしていくのか? それぞれの個性の造り込みに感心させられた、ハスクバーナのロードスポーツだったのです。

※ ※ ※

 2020年新登場となった「スヴァルトピレン250」の価格(消費税10%込み)は59万9000円、生産国はインドです。

【了】

【画像】車検不要の250クラス「スヴァルトピレン250」の詳細を見る(15枚)

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Writer: 和歌山利宏

1954年2月18日滋賀県大津市生まれ。1975年ヤマハ発動機(株)入社。ロードスポーツ車の開発テストにたずさわる。また自らレース活動を始め、1979年国際A級昇格。1982年より契約ライダーとして、また車体デザイナーとして「XJ750」ベースのF-1マシンの開発にあたり、その後、タイヤ開発のテストライダーとなる。現在は、フリーのジャーナリストとしてバイクの理想を求めて活躍中。

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