電動は味気ないなんてハーレーは言わせない! ライブワイヤー来春上陸!!

ハーレーダビッドソンの電動バイク「LIVEWIRE」が、いよいよ2021年春に日本で販売されることが正式発表されました。「LIVEWIRE」のプロトタイプから市販モデルまでの試乗を重ねる青木タカオ氏にハーレーダビッドソンの電動バイクについて紐解いていただきます。

正規ディーラーも販売準備を整えつつある

 創業から6年後の1909年にVツインエンジン搭載の『MODEL 5-D』を発売して以来、V型2気筒エンジンにこだわり、伝統を継承してきたモーターサイクルメーカー「ハーレーダビッドソン」。ライバルらがスペック重視のパワー競争となっても我流を貫き通し、日欧のバイクが4気筒化しようともVツイン一筋というブレない姿勢に世界中のバイクファンが共感し、唯一無二の根強い人気を誇ってきました。

2021年春、ハーレーダビッドソンの電動バイク「LIVEWIRE」日本発売

 良くも悪くもアナログ感タップリのバイクブランドですから、衝撃が走りました。なんと、ハーレーが電動ロードスポーツを開発中と2014年に発表。そして、いよいよ2021年春に日本で販売されることが正式発表されたのです。

「あのハーレーが電動……!?」と、開発段階ではピンと来ませんでしたが、ついに日本上陸が間近となりました。HDJ正規ディーラーへ聞き込みをすると、取扱店も決まってきているとのこと。もう間もなく、電動ハーレーが日本の道を走ろうとしています。

わずか3秒で100km/h到達!

 じつは筆者(青木タカオ)は、2015年にプロトタイプをマレーシア・セパンサーキット敷地内で、2019年に米国向け市販版をアメリカ・オレゴン州ポートランドで試乗しました。乗ってまず驚くのが、強烈なまでのダッシュ力。停止状態から、たった3秒で100km/hに達する驚異の加速性能を持ち、ライダーはシフトチェンジもクラッチ操作も一切不要です。

2015年LIVEWIREプロトタイプをマレーシア・セパンサーキット敷地内で試乗

 100→129km/hへもわずか1.9秒、最高速は177km/hに達しました。「H-D Revelation」と名付けられた電動パワートレインは最大出力105PSを発揮し、116Nm(11.832kg-m)の最大トルクは国産リッターSS(スーパースポーツ)に匹敵します。

ホンダCBR1000RR-R=113Nm(11.5kg-m)/12,500rpm
ヤマハYZF-R1=113Nm(11.5kg-m)/11,500rpm
カワサキNinja ZX-10R=114Nm(11.6kg-m)/11,200rpm
スズキGSX-R1000=117Nm(11.9kg-m)/10,800rpm

電動なのに音にこだわる!!

 意外なのはサウンド。無音かと思いきや、“ドコドコ”といったVツインサウンドのかわりに“キーン”というモーター音がし、これが乗り手をエキサイティングな気持ちにさせます。ポートランドでの試乗を終え、開発責任者のGlen Koval(グレン・コバール)さんに「サウンドに酔いしれた」ことを伝えると、「メカニカルなギヤ音をサウンドチューニングし、加速時に官能的な音がするよう味付けした」とのこと。

電動バイクでもサウンドにこだわるハーレーダビッドソン

街乗りは回生ブレーキで航続距離が伸びる

 気になる航続距離ですが、1度の充電で最大235km、WMTC測定値は158kmと発表しています。バッテリーの消費は走行状況によって異なり、高速道路などでアクセルを開けて走り続けると電力を消費し続ける一方で、距離は短くなってしまいますが、街乗りでストップ&ゴーを繰り返すと回生ブレーキで充電されるため距離が伸びます。ガソリンエンジンとは逆ですね。

急速充電に対応しているLIVEWIREの充電時間は、0%から100%までの充電を60分で完了

 見逃せないポイントは、電動バイクではまだ珍しい「急速充電」に対応していること。0%から100%までの充電を60分で完了し、40分でも80%チャージできます。

クラウド接続など先進装備満載!!

 アメリカ仕様ではクラウド接続する「H-Dコネクトテクノロジー」も搭載し、スマートフォンのアプリを介して離れた場所からでも車両の充電状況がわかったり、万一の盗難時には位置情報がGPSで追跡できるなどします。日本向けは価格や仕様が未定ですが、「H-Dコネクトテクノロジー」も使えるとなれば、ますます魅力は増すでしょう。

4.3インチカラーTFTタッチスクリーンで各モードを表示

 ライドモードも備え、出力特性を変更できるほか、トラクションコントロールやコーナリングABSなど電子制御も満載。また、4.3インチカラーTFTタッチスクリーンは最新ツーリングファミリーのインフォテインメントシステムのように、スマートフォンやワイヤレスヘッドセットとブルートゥース接続ができ、音楽再生や電話に応対可能です。

本格派ロードスポーツであることも見逃せない

 電動という点に目を奪われがちですが、軽量なアルミフレームに前後17インチの足まわりがセットされた車体は、従来のハーレーにはあまりなかったロードスポーツ然とした設計です。

 15.5kWhの高電圧バッテリーが重いこともあって車両重量は249kgと、最新リッターネイキッドと比較すれば30kgほど増しますが、SHOWA製のフルアジャスタブルサスペンションを前後に装備し、ブレーキはブレンボ製モノブロック式ラジアルマウントとハイスペックとしか言いようがありません。

ハーレーダビッドソンの新たな挑戦はLIVEWIREから始まる

 先進的な電子制御も組み合わさり、LIVEWIREを足がかりにVツインスポーツにも期待せずにはいられないのです。すでに水冷60度Vツインを搭載したニューコンセプトモデルを発表済みで、今後のハーレーダビッドソンのラインナップが幅広いセグメントに及んでいくことは明らか。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2021年モデルの発表が遅れるなどしていますが、ライブワイヤー上陸からまた勢いを取り戻すのは間違いないでしょう。今後も目が離せません。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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