新型CRF250Lはナニが変わった!? 特にオフ性能向上、開発責任者が詳細解説!!

ホンダ CRF250L/RALLYが新型となりました。フレームを刷新し、ストローク量が増えたサスペンションを採用。エンジンは吸排気系を最適化しています。新型の開発責任者の声とともに、まずはCRF250L/CRF250L<s>から詳しく見ていきましょう。

毎日乗って気づいた新型に必要なこと

 オンロードからオフロードまで様々な用途に対応するフルサイズトレール「CRF250L」は、2012年に初代が登場。2017年にはバリエーションモデルとして「CRF250RALLY」も追加し、世界累計生産台数13万台を超える人気シリーズとなっています。

フルモデルチェンジしたホンダ「CRF250L」。たくさんの魅力が詰まっています

 新型の開発責任者である杉山栄治さん(本田技術工業株式会社 二輪事業本部ものづくりセンター)は、従来型のCRF250Lを通勤やツーリングなどに使用し、とことん乗ることで気づくことがありました。

「お客様の意見と同様に、燃費、舗装路での安定性が良く、特に峠のワインディングではしっかりとした車体、アップライトなライポジで気持ちよく走ることができます。ところが目的地となる林道に到着し、これからダートを楽しむぞとなったとき、重くて実際に扱いきれないかもしれないと不安を感じました。

 また、お客様とのコミュニケーションの中でもオフロード性能への期待感、特に軽量化の要望が高いことに気付きました。そこで今回のニューCRF250Lの開発の狙いですが、従来モデルの持ち味である“何でも使える扱いやすい特性”の中でも、特に“オフロード性能の向上”が必要だと考えたのです。

 しかし、オフロード性能だけを向上したことにより、好評いただいている市街地の乗りやすさや普段の使い勝手の良さを犠牲にしてはいけません。そこで我々開発チームでは、開発のポイントを“ONでもOFFでも感じる扱いやすさの向上”とし、オンロードとオフロードの両性能を高次元でバランスさせることを目標としました。

 平日の通勤を便利で快適に、休日のツーリングは道を選ばず楽しめる。オンロードでもオフロードでも扱いやすい、頼れる相棒のような存在のモデルを目指しました」(杉山さん)

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 つまり新型では、長所を伸ばし、足りない部分を補ったということでしょう。また、新型では、低シート高のCRF250LDをCRF250Lとし、標準仕様のCRF250LをCRF250L<s>としています。

徹底した軽量化

「もっとも力を入れたのは、車体全体の軽量化です」と、開発責任者の杉山さんは教えてくれます。「主に骨格部品を中心に、新設計パーツを多岐にわたって軽量化しています。剛性などの機能要求を見直し、高強度材料の採用による板厚の削減、パイプサイズの変更などです」(杉山さん)

剛性を見直したフレームを採用したホンダ「CRF250L」。軽量化が図られています

 新型CRF250LではABSなしの条件で、従来モデル比トータル6kg弱の軽量化を達成しました。また、ディメンションも変更があり、<s>について次のように説明してくれました。

「オフロード性能を向上するために、最低地上高をこれまでの255mmから30mmアップした285mmとし、走破性を向上させました。使い勝手を考慮し、シート高を従来型(870mm)と同等の880mmに抑えつつ対応しています。シートや外装部品の形状の工夫で、足つき性はベースモデルと同等です」(杉山さん)

足つき性を確保しつつ最低地上高をアップしたホンダ「CRF250L」。オフロードでの走破性が高められています

 最低地上高を上げるために、エンジンを従来型より20mm高い位置でマウントし、クランクケースも最下部を10mm高くした形状に。トータルで30mmをここで確保しています。また、エンジン位置を上げたことにより、サスペンションストロークを増やすことにも寄与しました。

「フレームはもっとも軽量化量の多い部品で、2150グラムの軽量化を達成しました。オフロードでの安心感を高めるために、剛性の最適化をおこない、しなやかさと路面からの入力を受け止める強度を合わせ待つ仕様としました。今回、しなやかさを得るためにフレーム全体の横剛性を25%抑えました。ダウンチューブの幅を狭めパッチの小型化をおこない、メインパイプにくびれを入れたりしています」(杉山さん)

サスペンションはストローク量を増加

 足まわりはどうなったのでしょうか。フルモデルチェンジしたCRF250Lはオフロードでの走行性能を向上しながらも、街なかで使い勝手良く走れるように、ボトムブリッジ、フロントフォーク、スイングアーム、リアクッションが新設計されています。

新しいサスペンションのを採用したホンダ「CRF250L」。軽快な操作性を実現しています

「ボトムブリッジは車体の重心よりも高い位置にあり、操舵慣性に影響が出るためアルミ鍛造製とし、730グラムの軽量化を実現しました。これにより軽快な操縦性に貢献しています。フロントフォークはストローク量を従来モデルより10mm増やし、260mmに。衝撃吸収性を向上しました。また、セッティングの最適化により、乗り心地も良くなっています」(杉山さん)

 新設計のスイングアームは軽量化とフレームの剛性バランス確保のため、形状を変更しています。

ホンダ新型「CRF250L」に備えられた新しいスイングアーム。550グラムの軽量化を実現しています

「接地感を感じさせる操縦性を得るために、横剛性は23%、ねじり剛性を17%減らし、均一なたわみを出すよう断面の形状を滑らかに変化させました。板厚の最適化により、550グラムの軽量化を実現しています」(杉山さん)

 リアクッションは従来モデルよりストローク量を20mm増やし、260mmに。衝撃吸収性を向上しています。

「リンクレシオの最適化のため、リンクとコンロッドを新設しています。オフロード路面での吸収性向上と制御感ある快適な乗り心地を両立しました」(杉山さん)

低中回転域の出力向上を実現したDOHC4バルブエンジン

 エンジンはオフロードモデルにふさわしい出力特性とするために、さまざまな変更を施し、全回転域で出力向上とトルクの向上を達成しています。

さまざまな変更を施し、全回転域で出力向上とトルクの向上を達成したホンダ新型「CRF250L」のエンジンユニット

「街乗りやオフロード走行で多用する低中回転域の出力を向上させるために、インテークカムシャフトを専用化し、バルブタイミングを変更しました。さらに新設計のエアクリーナーボックス、エキゾーストパイプ、マフラーに加え、点火時期を最適化したことにより低中回転域から扱いやすい出力特性にしています」(杉山さん)

 エキゾーストシステムは排ガス規制EURO5対応を見据えた仕様とし、低中回転域の出力特性向上、パルス感のある排気サウンド、軽量化を実現しています。

ホンダ新型「CRF250L」に採用されたエキゾーストシステム。迫力のある排気サウンドと優れた環境性能を両立します

「フロントコーン形状の最適化により、ピーク出力を確保しつつキャタライザーの容量と位置を見直し、法規対応と出力特性を両立させています。マフラー内部はインナーパイプやテールパイプ径を拡大することで、パルス感を際立たせた迫力のある排気サウンドを演出しています。グラスウールを廃止した薄板インナーボディ接触構造として、軽量化をおこなっています」(杉山さん)

 ギヤレシオも見直され、1~5速ではローレシオ化、6速では快適なクルージングのためハイレシオに設定。街乗りからオフロード、高速クルージングまで使い勝手を向上しています。

 また、新たにアシストスリッパークラッチも採用し、レバーの操作荷重を従来モデル比で約20%低減していることも見逃せません。

最新のCRFデザインを採用

 ヘッドライトは軽量コンパクトな薄型LEDタイプを新採用。車体の前後長を40mm短縮するだけでなく、発光基盤をリフレクターのサイド部に縦置きすることでレンズ面の幅を抑え、小型化を達成しています。重量は110グラムの軽量化を果たし610グラムに抑えています。

110グラムの軽量化を果たしたホンダ新型「CRF250L」のヘッドライト。小型化も図られています

 メーターは白背景に黒文字のポジティブ液晶画面を採用。文字サイズを17mmから23mmに大型化し、視認性を向上しています。ギアポジションインジケーターや燃費計が新たに追加されました。

 スタイリングデザインはCRF450RWワークスをイメージし、オフロードでの走りを直感させるシャープでエッジの効いた力強いものに。車体価格(消費税込)は次の通りです。

CRF250L:59万9500円
CRF250L<s>:59万9500円

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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