長野から世界へ! 地域密着チーム「信州活性プロジェクトTeam長野」に聞いた全日本ロードレースチームの作り方

JSB1000とST1000への参戦、どちらが低コストかは考え方次第

―――チーム員はどのように集めたのでしょうか?

 基本的には、長野県出身者や長野県在住者、長野県にゆかりのある人がほとんどです。
 
 地元でおこなったイベントで話しているうちにチーム長野のコンセプトに共感し、なにか手伝えることがあれば手伝いたいと声をかけてくれた人などが、集まっています。

信州活性プロジェクトTeam長野のレース用バイクを走らせるライダーの東村 伊佐三選手

―――全日本に参戦するためのチームの作り方を教えてください。

 最初は右も左も分からない手探り状態で、僕はライダーだったので、乗ることはできるけど、ほかのことは出来なくて……。

 なので、周りに「困っています!助けてください!」と常に声をかけていたら、手伝ってくれる人が増えて今に至るという感じです。お恥ずかしい話ですが、危なっかしくて見ていられない!と言って助けてくれた人もいます。

 とはいってもレースは資金が無いと動かないので、最初に始めたのは地元の企業さん回りでした。

 初めは伝手もなにもなかったので、地元の市役所に行って「こういう活動をしているので、地元の企業を紹介してください」とお願いし、ご紹介いただきました。当時は実績もないのに、ほぼ飛び込み状態で企業さんに連絡をしていましたね。もちろん最初はお断わりされました。ですが、何度か通っているうちに話を聞いていただけるようになり、他の企業も紹介してもらえる事も増えました。そこからスポンサーが1社決まり、2社決まりという感じでスポンサーが増えていきました。本当にいろんな人の協力を頂きながら、少しずつスポンサー活動を広めていきましたね。

―――そうやって地道に作ってきたチームでの全日本フル参戦を決め、レースWEEKを迎えるまでの準備で一番大変だったことはなんですか?

 一番大変だったのは、人集めですね。やはり全日本となると、平日におこなわれる事前テストからとおしで参加できる人が必要なのですが、そんなに自由にスケジュールを何週間もあけられる人はなかなかいないので……。

 そういった人を確保するのが大変だったのと、全日本となると、それなりの機材も必要となるので、それをどうやって揃えるかというところですね。だから、この2、3か月は休みなしで走り回っていました。

―――全日本フル参戦チームとして初めての開幕戦のレースWEEKを迎え、大変だったことはありますか?

 いままでは鈴鹿8耐への参戦をメインにしていたため、年に数回のレースに参戦していましたが、シリーズ戦に参戦することが初めてです。全てが手探りで、経験もお金も時間も何もかも足りないことだらけ。想像以上に大変でした。

信州活性プロジェクトTeam長野が使用するBMW S1000RRベースのレース用バイク。JSB1000クラスのレギュレーションに準じた仕様となっています

―――参戦カテゴリにJSB1000クラスを選んだ理由は?

 最大の目標として鈴鹿8耐のEWCクラス参戦を掲げているのですが、そうするとマシンの仕様が全日本ではJSB1000クラスのレギュレーションということになるからです。

 鈴鹿8耐のSSTクラスや全日本のSSTクラスは改造範囲を狭くすることでイコールコンディションでレースをすることを目的にしているため、コストを抑えらるイメージですが、JSBクラスでもレース専用パーツを効率的に使用することでコストを抑えることが出来ます。また、耐久仕様のパーツは専用品ですのでピット作業を少なくすることができます。

 STやSSTは純正そのままなので、タイヤ交換などが複雑で、経験の浅いスタッフばかりだとやることが増え、ミスが起きるリスクが増えるという懸念があります。

 そういうピット作業の確実さもメリットだし、SSTやSTクラスは改造範囲が狭く、制限も多いためレース用パーツを使えないところは、消耗が早く交換サイクルが短期間になる場合もあります。

 だから、例えばブレーキパットも、レーシングキャリパーなら無交換で8時間走れても、純正パットでは当然、8時間は持たない。でも、毎回交換していると、コストがだいぶかかってしまいます。

 STやSSTクラスは改造範囲が狭いため、車体のコストが抑えられていますが、消耗部品の交換サイクルが短期間ということなども考慮すると、JSBやEWCクラスと変わらない部分もあると思います。

 といっても、うちのマシンはJSBには参戦していますが、エンジンはノーマルのままだし、足回り以外はほぼ純正なので、そういう最低限必要なパーツを交換したレベルでのEWCやJSBでの話ですけどね。JSBマシンやEWCマシンは、お金をかけようと思えば、無限にかけられちゃうカテゴリなんで(笑)。

 私達はまだまだマシンの良さを引き出せていません。その為にライダーにも苦しい思いをさせてしまっている状態です。ですが、確実にレースをこなし、完走してポイントを積み重ねていくことで、前進できるのではないかと信じています。

※ ※ ※

 全日本に参戦している数あるチームのなかでも、信州活性プロジェクトTeam長野は、読者の皆さんの感覚に一番近いチームであり、やる気と行動力があれば、一般の人でもこれだけできるということを形にしているチームだと話す櫻山さん。
 
 レースをとおして長野の魅力を伝えたいという信州活性プロジェクトTeam長野が、どこまで成長していけるのか……全国ロードレースや鈴鹿8耐での活躍を、是非応援してみてはいかがでしょうか。

【了】

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