「表彰台に上がれれば理想的」とビアッジも高評価! 5月にはドヴィツィオーゾが再テストするアプリリア「RS-GP」

エースのアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)が3戦連続10位以内と好調なスタートを切ったアプリリア。アンドレア・ドヴィツィオーゾが5月中旬に再びテストするRS-GPの競争力は、果たしてどの程度のものなのだろうか。

エスパルガロがMotoGP復帰以来最高位タイの6位 「今年中には100%表彰台に上がれる!」と自信

 2021年のMotoGPは、もうすぐ第4戦スペインGPを迎えるが、今のところ、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)の健闘が光っている。

2021年のMotoGPで健闘を見せているアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)

 7位、10位、6位とそこまで目立った結果ではないが、ホンダ、ヤマハ、ドゥカティなどのファクトリー勢に割って入ってのリザルトだけに十分価値は高い。

 特に第3戦ポルトガルGPの6位は、自身が2017年のカタールGPで、アンドレア・イアンノーネが2019年のオーストラリアGPで記録したアプリリアがMotoGPに復帰して以来最高位タイの成績であり、優勝したファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハ・MotoGP)との差も8秒885と、去年の11月に開催された同GPでの8位、16秒034差(優勝はミゲール・オリベイラ)から大きく前進している。

 開幕3戦を終えた時点でエスパルガロはランキング6位。すでに2020年シーズンを通して得た42ポイントの半分以上となる25ポイントを獲得しており、31歳のスパニッシュは「優勝や表彰台を争うにはまだ一歩足りないけど、あと少しのところまで来ている。今年中には100%表彰台に上がれると思うよ!」とかなりの手応えを感じている様子だ。

アレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)のチームメイト、ロレンツォ・サバドーリ

 また、チームメイトのロレンツォ・サバドーリもポルトガルGPを14位でフィニッシュ。MotoGP初ポイントを獲得している。

ギアボックスの問題を指摘したドヴィツィオーゾ 5月11日~12日にムジェロで2回目のテスト走行

 全ての面で進化したアプリリア「RS-GP」の競争力は昨年と比較して格段に上がっており、それに興味を引かれたのか、4月12日~15日には浪人中のアンドレア・ドヴィツィオーゾがスペインのヘレス・サーキットでテストを行った。

アプリリア「RS-GP」のテストを行ったアンドレア・ドヴィツィオーゾ

 レギュラーライダーのふたりが長身なこともあり、小柄な35歳はシートやタンクなどのポジションが決まらず、あまりペースを上げられなかったが、「イージーなバイクだ」と第一印象を述べている。

 エスパルガロは「ダウンフォース(走行するマシンを路面に押し付ける空気の力)が増えて身体への負担が増えた」と新型マシンを評するが、昨シーズンまで空力デバイスを満載したドゥカティ・デスモセディチで戦っていたドヴィツィオーゾにとっては、まだ扱いやすかったということかもしれない。

2020年シーズンはドゥカティ・チームに所属していたアンドレア・ドヴィツィオーゾ。RS-GPと同じ90度V4エンジンを搭載した類似性が感じられるマシンでシーズンを戦いました

 同じ90度V4エンジンを搭載し、シートカウル内にマスダンパー(振幅の大きい部分にウェイトを積んで振幅を相殺し、振動を小さくする装置)を内蔵することからRS-GPにはドゥカティのマシンとの類似性が感じられるが、ドヴィツィオーゾはむしろ、当時、ヤマハのサテライト・チームだったTech3時代に走らせていたYZR-M1に近いと感じたようだ。

「古いバイクは試してないけど、外部から見ていた僕から見て、彼らは良いベースを手に入れたと思う。昨年から一歩前進したことは明らかだ」と評価する。

 テクニカルディレクターのロマーノ・アルベシアーノは「アンドレアはすぐそれに気付きました。私たちは彼が乗っていたドゥカティとは全く異なる方法でバイクを速く走らせようとしています」と話すが、予期していなかったギアボックスについてのコメントがあったことにも驚かされたという。

 ウィングレットの効果でダウンフォースが増加した一方でタイヤへの負担も増えたが、当面、空力デバイスについては大きな変更を行わず、エンジン開発に力を入れる予定だ。
「この2年間で大幅な変更を何度も加え、パワーは上がりました。ブレーキング時の安定感が向上し、電子制御も進化しましたが、まだまだ純粋なパフォーマンスが足りていません(笑)」

 現状、アプリリアのパワーは、同じV4のホンダ、ドゥカティ、KTMより劣り、直列4気筒のヤマハ、スズキをわずかに上回っていると見られるが、唯一、開幕後のエンジン開発が許されるコンセッション(優遇措置)を受けるメーカーであることからシーズン中に勢力図を塗り替えることも決して不可能ではない。

 5月11日~12日に今度はイタリアのムジェロ・サーキットでドヴィツィオーゾがテストを実施することになっており、もし今後もイタリアのベテランが継続的にRS-GPをテストしていくことになれば、昨シーズン、テストライダーのダニ・ペドロサが事前にGP開催サーキットでベースセッティングを見つけていたことでKTMが躍進したように、大きな助けとなることは間違いないだろう。

 アプリリアでロードレース世界選手権250ccクラス、ワールドスーパーバイクのチャンピオンに複数回輝き、今なお深い関係を持つマックス・ビアッジも3レースを経た段階でRS-GPをこう評価している。

アプリリアでロードレース世界選手権250ccクラス、ワールドスーパーバイクのチャンピオンに複数回輝いたマックス・ビアッジ(写真は2012年WSBK参戦時)

「結果の安定性は、プロジェクトが成功に近づいてきたことを示している。ノアーレの技術者は、コンセッションを利用して次の一歩を踏み出す必要がある。スズキとの速さの違いはそれほどではないが、まずはそこを目指し、次にヤマハとドゥカティに迫ることだ。まだまだ改善の余地はあるが、今シーズン、表彰台に上がれれば理想的だ」。

【了】

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Writer: 井出 直人

ロードレース専門誌時代にMotoGP、鈴鹿8耐、全日本ロードレース選手権などを精力的に取材。エンターテインメント系フリーペーパーの編集等を経て、現在はフリーランスとして各種媒体に寄稿している。ハンドリングに感銘を受けたヤマハFZ750がバイクの評価基準で、現在はスズキGSX-R1000とベスパLX150を所有する。
Twitter:@naoto_ide

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