ずっと長く乗って頂くために!【ホンダモーターサイクルジャパン室岡社長インタビュー第1回/全3回】

株式会社ホンダモーターサイクルジャパン室岡克博社長(57歳)に、バイクジャーナリストの青木タカオさんが全3回に渡り、室岡社長のバイクライフや今後のホンダとしての戦略などについて、アレコレ聞いてみます。

長く乗って頂いている人には、それぞれの感動体験がある

 CT125・ハンターカブ、レブル1100、GB350、ホンダのバイクが大人気です。株式会社ホンダモーターサイクルジャパン室岡克博社長(57歳)に、バイクジャーナリストの青木タカオさんが全3回に渡ってアレコレ聞いてみます。

右から株式会社ホンダモーターサイクルジャパン室岡克博社長とバイクジャーナリストの青木タカオさん

 青木:室岡社長も毎日オートバイで出勤していると聞きました。僕らと同じ、根っからのバイク好きだと思うと、なんだか嬉しくなります。

 室岡社長(以下、敬称略):ありがとうございます。バイクで出社し、会社に着いたらさっと着替え業務を行う。オートバイは、安全に留意すれば便利で快適、何よりも気持ちがいいですからね!

 青木:いつからバイクに?

 室岡:自分たちの世代は、16歳になったらバイクの免許を取得するというのが当たり前。だいぶ緩和されてきましたが、今のように三ない運動なんてありませんでしたから・・・。

 いとこに、バイアルスTL50を譲ってもらって、毎日もうバイク三昧の日々で、行動範囲や見分が広がっていきました。

 青木:本田技研工業への入社は二輪部門に?

 室岡:Hondaは、実は配属面談では、汎用機(現ライフクリエーション事業)の業務を希望していました。海外業務に就きたかったのですが、最初の配属は二輪車を生産している熊本製作所で総務の仕事でした。

 普通二輪免許を持っていなかったものですから、上司に「バイクに乗れないと、君に将来はない」と言われ、バイクの免許をすぐに取得しました。義理の兄からCBR250Fを譲ってもらって、乗り始めたのが最初です。

義理の兄から「CBR250F」を譲られた時から本格的にバイクライフがスタートした室岡社長

 青木:カムギヤトレインの直4エンジン搭載のスポーツバイクですね!

 室岡:そう、よく存知ですね。カムギアの恩恵で高回転域までよく回るけど、下のトルクがぜんぜんない。熊本製作所にツーリングチームがあるのですが、ツーリングに同行させてもらうと四国や紀伊半島、ときには東北や北海道までと、とんでもない距離を走るのです。

 青木:さすが、バイクをつくる人たちですね。

 室岡:もうタイヘン、泣きながらついていきました。ある秋、ツーリング先から九州宮崎にフェリーで戻ると、みんなバラバラに帰っていくのですが、やまなみハイウェイをひとりで熊本へ戻っていると、夕陽のあたった阿蘇・外輪山の草原が黄金色に輝き始めました。

 青木:あぁ、いいですね。情景が思い浮かびます。

 室岡:すると周りの音が全部消えて、高回転のエンジン音と心臓の鼓動がシンクロする瞬間があって、あぁ、バイクの素晴らしさ、人馬一体はコレだなって思いました。こういう体験をすると、もうバイクは降りられない。長く乗っている人には、素晴らしい原体験がそれぞれあるのでしょうね。

夕陽があたる阿蘇・外輪山の草原が黄金色に輝き始め、周りの音が全部消えて、高回転のエンジン音と心臓の鼓動がシンクロする瞬間が、あぁ、バイクの素晴らしさ、人馬一体はコレだなって思います(写真:阿蘇山・米塚)

 青木:はい、そう思います。

 室岡:オートバイって、時には辛さを感じる時がありますから、そうした感動体験がないと乗り続けられないと思います。レブル250などのおかげで、いま若年層のライダーが増えていますが、どのようにそうした感動体験をしてもらうか、我々の大きなテーマ、課題だと思っています。

二輪車に触れて、乗れる機会の拡大を目指す!

 青木:イベントが難しい時代。どのようにユーザーとつながっていきますか?

 室岡:現在のコロナ禍においては、お客様と直接コミュニケーションをとるイベントの開催が難しい状況です。しかし、コロナ禍においても、お客様にバイクの魅力をお伝えしたいという思いから、2月20日~5月末にかけてWEBで開催中の「ホンダモーターサイクルフェス2021」ではさまざまなコンテンツを発信し、お客様とともに「バイクライフの提案」や「バイクの楽しみ方や楽しさ」を共有しています。

Webコンテンツで発信するオンラインイベント「Honda Motorcycle Fes 2021(ホンダ モーターサイクル フェス 2021)」を特設サイトにて2月20日(土)より公開中

 青木:なるほど。でもWEBだけでは……。

 室岡:もちろん、WEBでの取り組みとともに、趣味性の高い二輪車は「実車」とともに、実際に試乗体験できるリアルな「場」と「機会」の提供は必然と考えていて、様々なメディア様と一緒にバイクの楽しさを発信しながらバイクユーザーはもちろんのこと、バイクに乗っていない方にもバイクの魅力をお伝えできる取り組みをおこなっていきます。

 青木:新しく若者に乗ってもらうには?

 室岡:魅力ある商品や先進技術というハードについては継続的に商品を投入していくのはもちろんですが、ソフト面では新しい施策となる国内二輪市場の活性化として、新規若年層のみなさまに「二輪車をもっと気軽に、もっと身近に」を合言葉に、二輪車に触れて、乗れる機会の拡大を目指し、ご協賛いただいたホンダコミューターとホンダドリームの2チャネルの販売店様とともに「Honda Goバイクレンタル」を、昨年4月よりスタートしています。

「Honda Goバイクレンタル」を活用し、バーチャルからリアルへの体験をしていただきたい

 青木:まずはレンタルで、体験してもらうのですね。

 室岡:現在、二輪免許保有者の内、二輪車を所有していない方が43%。その方々は、二輪車の利便性や楽しさの魅力は十分にご理解頂き、免許を取得したものの、二輪車を所有しない理由として、費用面での理由が上位となっています。

 この費用面でのネガを払拭し、特にミレニアル世代の方々に二輪車で、バーチャルからリアルへの体験をしていただきたいとの思いで「Honda Goバイクレンタル」を開始しました。

 青木:好調と聞きます。

 室岡:おかげさまで4月13日時点、日本最大の加盟店263店舗、4万5000人を超える登録会員となっており、今後も利用しやすい環境を整えながら会員様の利用率を上げていくことが課題となっています。是非一度ご体験頂きたいと思います。

https://hondago-bikerental.jp/
「Honda Goバイクレンタル」

つづく。

【了】

【画像】ホンダモーターサイクルジャパン室岡社長インタビュー第1回の画像を見る(7枚)

画像ギャラリー

Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

最新記事