ステアリングダンパーを新しく! そのメリットとは

ステアリングダンパー(Steering Damper)と聞くと、サーキットを走るようなレーシングバイクに装着するパーツというイメージを思い浮かべる人もいるかもしれません。確かにこのパーツ、あまり一般的ではありません。ステアリングダンパーには、どのような特徴があり、新調するとどのような効果・メリットがあるのでしょう。

そもそもステアリングダンパーとは

 ステアリングダンパーはロードレースなどでコンマ数秒のラップタイムを競い、しのぎを削っているマシーンには必須のパーツで、レース用のバイクには必要な装備のひとつです。

高速で争われるロードレースに参戦するバイクには、ステアリングダンパーが必ず取り付けられています

 しかし、一般道を走るライダーにとっては、あまり馴染みのあるパーツではないでしょう。むしろステアリングダンパーそのものを知らない、というライダーもいるのではないでしょうか。簡単に言うとステアリングダンパーとは、ハンドルの振動を軽減してくれるパーツです。或る意味、ライダーの身を事故から守るパーツとも云えるでしょう。レース用として多くのバイクが装着していますが、ストリートバイク向けの製品もあります。

 一般道のデータですが警視庁によると、バイクの死亡事故の原因1位は単独事故です。要因はさまざまですが、過去5年間、単独事故が1位という結果が出ています。単独事故を未然に防ぐためにハンドリングを安定させ、安心を買うという意味でステアリングダンパー装着を検討する余地はありそうです。

 基本的にステアリングダンパーはバイクのステアリング機構の振動を和らげる(減衰する)装備です。バイクのパーツ製造・販売を行っている会社の「スペシャルパーツ武川」によると装着するメリットは以下ふたつあるそうです。

 ひとつは「走行時、ハンドルの揺れから守る」です。特にサーキット走行時はコーナー等でバイクを傾けて(リーンさせて)コーナリングします。その時、わずかな振動もライダーにとっては微妙にドライビング感覚が狂うことがあるのです。そうしたときにステアリングダンパーが力を発揮します。とくにレースではバイクと人馬一体にならないと、思うような走行はできません。高速走行時に役に立つアイテムでしょう。

 ふたつ目は「路面からのキックバックを吸収し、安定した走行を可能にする」です。キックバック現象とは、道路の段差や継ぎ目などを通過した時、或いは急加速時に起こる。進行方向は変わらないがハンドルが瞬間的に激しく左右に振られる現象であると、日本ミシュランタイヤに記載されています。時速100km/h以上で走っている状況において、このような現象が起こると大変に危険です。

MotoGPに参戦するホンダの2020年型RC213Vのトップブリッジの上にステアリングダンパーが固定されています

 クルマとは違い、自分の身を守っているのは着ているライディングウェアやヘルメットしかないのですから、しっかりとした対策は取っておかなければなりません。ステアリングダンパーは必ず必要というパーツではありません。しかし、万が一に備えて、ステアリングダンパーは付けておいても損はない筈です。

ステアリングダンパーを新しくするメリットとは?

 ステアリングダンパーは主に高速走行時において力を発揮してくれます。揺れなどから身を守ってくれる装備です。ですが、ステアリングダンパーも消耗品です。オーバーホールや交換が必要となる場合もあるのですが、どのくらいを目安とすればいいのでしょうか。

ステアリングダンパーは定期的にメンテナンスが必要です

 バイクのパーツ製造・販売等を行っている企業「アクティブ」によると、ステアリングダンパーのオーバーホール推奨時期は2年間とされています。もちろん乗り方によって消耗度は異なるとは思いますが、2年程度でオーバーホール、あるいは新品と交換するのがお勧めだそうです。

 少し短いと感じられるインターバルかもしれませんが、オーバーホールの内容は、部品の洗浄やオイルのエア抜き、錆の除去などが挙げられます。サッと自己点検して大丈夫というものでもないので、最高のパフォーマンスを期待したいのであれば、ステアリングダンパーの状態もしっかりと点検・整備しておくべきでしょう。

 ステアリングダンパーはしっかりと点検しておかないとパフォーマンスが落ちることは分かりました。新しいダンパーに交換すると、上記で示したような振動等から守る能力を最大限に発揮してくれます。

 また、ステアリングダンパーにはふたつの種類があり、RSCタイプ(リアクティブセーフティコントロール)とCSCタイプ(コンスタントセーフティコントロール)に分けられます。違いは、RSCタイプが通常のハンドル操作時には減衰力を発生せず、バイクのセルフステアを妨げない動きをしてくれます。こちらはストリート向けです。

 一方のCSCコントロールは、任意設定の減衰力を常にかけ続けます。一定のハンドルの切れ方を設定した走行に適しています。こちらはサーキット走行向けです。これらも前述したアクティブによる説明ですが、それぞれ目的が違います。今の自分のバイクについているダンパーがどちらのタイプなのか、今後どのような乗り方をするのかを想定して新調するのがベストです。

 それでは、取り付ける手順を説明しましょう。①取り付ける場所を決める②ステアリングダンパーの仮組み③問題なければ取り付ける④動作確認をする、となります。意外と簡単そうに思えますが、車種によってはカウルを外したりする作業も発生します。仮組みをしても素人目果たして、正しいのか誤りなのかわからない場合もあるでしょう。少しでも不安があるのでしたら、無理に自分で作業しようとせずにディーラーやカスタムショップで取り付けてもらうほうが確実です。

 ステアリングダンパーはドレスアップパーツとは異なり、装着に失敗すると走行に危険が及びます。取り付けに失敗した状態で、そのバイクでショップに駆け込むこと自体が危険な行為です。排気量にもよりますが、1万円前後で取り付けしてくれるショップが多いようです。少し痛い出費かもしれませんが、命には代えられません。安心を買うという意味で、プロに任せたほうが安心です

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 ステアリングダンパーは必ずしも必要な装備ではありません。自分の使い方では必要なしという方もいるでしょう。ですが、自分の身を守ってくれるパーツと考えたら必要だと思うライダー諸氏も少なくありません。そのようなライダーはきっと、自分の用途と照らし合わせて、ステアリングダンパーがバイクとライダーを繋いでくれる大切な必要性の高いパーツであると分かったユーザーでしょう。ステアリングダンパー、今後の快適なバイクライフのために装着を検討する価値はありそうです。

【了】

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