【MotoGP】クラッチローがレッドブルリンク2連戦に参戦か!? 現役復帰の可能性は?
左膝を手術したフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハ・セパン・レーシング・チーム)の代役にカル・クラッチローが起用されるようだ。とりあえず2~3レースの参戦となりそうだが、今後、現役復帰の可能性はあるのだろうか?
レッドブルリンク2連戦に代役として参戦か!?
左膝の半月板と前十字靭帯を傷め、手術を受けたフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハ・セパン・レーシング・チーム)は、直後に行われたMotoGP・第9戦オランダGPを欠場。WSBK(スーパーバイク世界選手権)をヤマハで戦うギャレット・ガーロフ(GRT・ヤマハ・WorldSBK・チーム)が、その代わりを務めた。

モルビデリは8月8日に決勝レースを迎える第10戦スティリアGPで復帰するものと思われていたが、通常、前十字靭帯手術のリハビリテーションには2カ月程度を要するため、サマーブレイクが終わった後もしばらく参戦を見送る公算が高まり、どうやらその間の代役としてカル・クラッチローが起用されるようだ。
アッセンでまずまずの走りを見せたガーロフは、その週にWSBK・第6戦チェコ大会があるため、現在、ヤマハでテストライダーを務めるクラッチローに白羽の矢が立った模様だ。
翌週の第11戦オーストリアGPも同じくレッドブルリンクで行われるため、2戦連続でクラッチローが参戦する方向で話が進められており、モルビデリの回復状況によっては母国開催の第12戦イギリスGPを走る可能性も十分だろう。

2020年いっぱいで引退したクラッチローだが、当初は現役続行を希望し、実際、アプリリアと合意に向けて契約交渉が進んでいた。しかし、ドーピング問題で出場停止になっていたアンドレア・イアンノーネの処遇などの問題が絡み、交渉が長引いたことも影響し、最終的には「家族との時間を大切にしたい」という理由で現役から退くことを決意。「(引退を伝えた際に)パパともっと一緒にいられるの? と涙を流す娘の姿を見て、自分の判断が間違ってなかったと確信したよ」と語っており、2018年のオーストラリアGPで負った右足首の大怪我、2020年のシーズン中に受けた腕上がり手術の経過が芳しくなったことも引退に傾く気持ちに拍車をかけた。
なお、出走した場合、ヤマハからのMotoGP参戦は、サテライト・チームのモンスター・ヤマハ・テック3時代の2013年以来となる。
ペトロナスからの現役復帰の可能性はいかに?
しばらく欠場すると予想されるモルビデリ自身は、ヤマハからの離脱が先日発表されたマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハ・MotoGP)の後任に納まることでヤマハ、ペトロナス首脳陣の間で合意に至ったといわれているが、空席になると思われるペトロナスのシートについてはさまざまな憶測が渦巻いている。

ガーロフもその有力候補だが、ヤマハ・ファクトリーのマネージングディレクター、リン・ジャービスが、サバティカル休暇中のアンドレア・ドヴィツィオーゾとモトクロスレースの会場で接触するなど、まだまだ不明な点が多い。

また、これはファクトリー・チームの話ではあるが、断れたものの、ビニャーレスの後釜として、ミゲール・オリベイラ(レッドブル・KTM・ファクトリー・レーシング)にオファーがもたらされていたことも明らかになっている。

昨年もMotoGPを統括するドルナスポーツのCEO、カルメロ・エスペラータが、イギリスの有料チャンネル『BTスポーツ』との関係から現役続行か否かで揺れるクラッチローを後押ししたとされており、本人のモチベーション、代役参戦の結果次第では、MotoGP屈指のファイターの現役復帰があり得るかもしれない。
【了】
Writer: 井出ナオト
ロードレース専門誌時代にMotoGP、鈴鹿8耐、全日本ロードレース選手権などを精力的に取材。エンターテインメント系フリーペーパーの編集等を経て、現在はフリーランスとして各種媒体に寄稿している。ハンドリングに感銘を受けたヤマハFZ750がバイクの評価基準で、現在はスズキGSX-R1000とベスパLX150を所有する。
Twitter:@naoto_ide