ストリートで育った少年がダンスに出逢い、人生を切り拓いていく感動のドキュメンタリー『リル・バック ストリートから世界へ』

米国屈指のタフな街で育った少年が、唯一無二の世界的なダンサーとなる姿をとらえたドキュメンタリー映画『リル・バック ストリートから世界へ』が、2021年8月20日(金)より全国順次公開されます。

少年はいかにして世界を代表するダンサーになったのか?

 米南部の街、テネシー州メンフィスといえば音楽が盛んな地として有名ですが、治安の悪さでも知られています。そんな街で銃を手にするのではなく、地元発祥のダンス“メンフィス・ジューキン”に魅せられたことで世界的に有名なダンサーとなった、チャールズ・ライリー(愛称リル・バック)の半生を追ったドキュメンタリー映画が『リル・バック ストリートから世界へ』です。

『リル・バック ストリートから世界へ』(c) 2020-LECHINSKI-MACHINE MOLLE-CRATEN “JAI” ARMMER JR-CHARLES RILEY

 米南部のヒップホップシーンでは2000年以降、地元発のヒット曲の登場と共に新たなダンスが生まれ、それがインターネットの普及とともに世界中で広がっていくというムーブメントが起こっています。ジューキンのスタイルは80年代から存在しますが、当時は「ギャングスタ・ウォーキング」と呼ばれており、00年代初頭に再び注目を浴びた際に「メンフィス・ジューキン」という呼称が定着したそうです。

 独特のステップやスピン、スライドなどの軽快なフットワークから成るジューキンは、どこか前衛舞踏の要素も感じられ、見る者の心を揺さぶる不思議な魅力を放っています。13歳の頃にジューキンと出会い、たちまち魅了されたと語るバックは現在33歳。本作では幼少期の貴重な映像も多数見ることができますが、この青年がダンスに救われたことがひしひしと伝わってきます。

 バックのダンスへの探究心は凄まじいもので、奨学金を得てクラシックバレエも学んだというから驚きです。そもそも彼が有名になったのは、あのヨーヨー・マが弾くチェロに合わせて踊る姿がネット上で拡散されたことがきっかけ。しかも、その動画を撮影したのが偶然その場に居合わせた映像作家スパイク・ジョーンズだったのですから、強運を掴む力も持っていたのでしょう。なお、ヨーヨー・マとのコラボは、ドキュメンタリー映画『ヨーヨー・マと旅するシルクロード』(2015年)にも収められているので、彼の姿を目にしているクラシックファンは多いかもしれません。

『リル・バック ストリートから世界へ』(c) 2020-LECHINSKI-MACHINE MOLLE-CRATEN “JAI” ARMMER JR-CHARLES RILEY

 タフな街に育った少年が唯一無二の世界的なダンサーとなり、メンフィスの子どもたちの光になるまでの軌跡を描く感動的なドキュメンタリー『リル・バック ストリートから世界へ』は、2021年8月20日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開です。

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