原付一種の二段階右折は本当に意味があるのか?

排気量が50cc以下のバイクを指す原付一種には、自動車や原付二種とは異なるルールがあります。そのひとつとして挙げられるのが二段階右折ですが、どのような意味があるのでしょうか。

二段階右折はどのような目的で行われているのか

 原付一種は自動車など他の車両と異なり、制限速度が時速30kmになっています。制限時速60kmという自動車等との速度差があるため、右側の車線に侵入すると接触事故を起こす危険性が高くなってしまいます。

原付一種は自動車など他の車両と異なり、制限速度が時速30kmに設定されています

 そのため、原付一種のバイクは特段の指示がない限り、道路の左端を走行するように義務付けられています。右折時には右端の車線に移動できないため、二段階右折をしなければならないのです。

 二段階右折を行えば他の自動車等と接触する機会を減らすことができますが、交差点によっては二段階右折をする方が事故のリスクが高くなることもあります。そのような交差点には標識が設置されており、二段階右折は禁止されているため、標識の確認を怠らないように心がけると良いでしょう。

二段階右折禁止標識

 二段階右折については罰則も設けられています。義務を怠った場合もしくは二段階右折禁止標識に従わなかった場合、交差点右左折方法違反として処罰の対象となり、反則点数1点と3000円の反則金が科せられるのです。

 二段階右折の規定は原付一種だけでなく、自転車を含む全ての軽車両にも適用されます。特に、自転車以外の軽車両にもあてはまるという点には、注意が必要です。

 二段階右折のルールが制定された背景には、原付バイクを含めた二輪車の交通事故増加を抑制したいという時代の要請がありました。その対応策として、1986年に原付の二段階右折が法制化されたのです。

二段階右折のルール・方法をおさらい

 二段階右折については、道路交通法第34条第5項で「交差点の側端を通行することが指定されている道路」「3つ以上の車両通行帯が設けられている道路」を右折する場合に交差点の左端に沿って徐行する、と規定されています。

片側3車線以上の交差点は原則として二段階右折が義務付けられています

 内容としては歩行者等と同じように大回りすることになりますが、具体的な右折の仕方について、一般的な十字路で右折する場合・T字路を右折する場合・左折専用車線のあるところで右折する場合に分けて説明します。

 まず十字路で二段階右折を行う場合は、直進方向の信号が青のときに右ウィンカーを出したまま道路の左端を直進。交差点を渡りきったところで方向転換を行い、一旦ウィンカーを消灯します。その後、右折方向の信号が青に変わったとき直進し、二段階右折が完了するという流れです。

 直進方向が突き当たりになっているT字路で二段階右折を行う場合は、十字路を右折する場合と同様の右折方法となります。初めの信号を渡った後、突き当たりで方向転換をしてウィンカーを消し、信号が青になったら直進しましょう。

 直進と右折に分かれる方向から進入する場合で二段階右折が必要なT字路には、原則として左側に二段階右折用の待機所が用意されています。二段階右折車両専用の信号が青に変わるのを、待機所で待つことになるのです。このとき、右ウィンカーを点灯させることを忘れないようにしましょう。

道路の左側に二段階右折用の待機所が用意されている交差点もあります

 左端の車線が左折専用車線になっている場合、右ウィンカーを出したまま左折専用車線を直進するのが正しい二段階右折です。非常にややこしいルールですが、しっかりと理解しておくことが重要でしょう。また、片側3車線以上の交差点は原則として二段階右折が義務付けられています。しかし、片側3車線以上であっても信号機がなく、手信号での交通整理も行われていない交差点では、二段階右折をする必要はない点も覚えておくと良いでしょう。

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 原付ライダーにとっては面倒に感じるかもしれない二段階右折は、自動車をはじめとした他の車両との接触事故を回避するための、大切な制度なのです。

 基本的に交通量が多い大きな交差点義務付けられていますが、実際に行うべきかどうかは各交差点によって異なるため、道路標識をしっかりと確認する必要があります。原付を運転する方だけでなく、自動車等のドライバーも仕組みを理解し、原付バイクを事故に巻き込まないことも重要といます。

【了】

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