美味しいアジフライを求めて走る旅 観音崎『夢Dream食堂』はアジの中骨まで堪能できるお店だった

アジと言えばアジフライ! というライダーのために、美味しいアジフライを味わえるお店を紹介します。神奈川県の観音崎にある「夢Dream食堂」を訪れました。

神話の時代から続く観音崎、地場もののアジは間違いのない美味さ

 神奈川県横須賀市の米海軍基地がある市街地から、国道16号を東へ8kmほど走ると観音崎に到着します。駐車スペースもあることから日帰りツーリングの目的地や休憩スポットになっているようで、筆者(増井貴光)が訪ねた平日でも多くのライダーが立ち寄っていました。

「夢Dream食堂」の「アジフライ定食」(1300円)。大きめのアジを3枚に下ろしたアジフライに、ご飯、みそ汁、小鉢、漬物がセット
「夢Dream食堂」の「アジフライ定食」(1300円)。大きめのアジを3枚に下ろしたアジフライに、ご飯、みそ汁、小鉢、漬物がセット

 観音崎は、三浦半島から東京湾に突き出した岬で付近一帯は「県立観音崎公園」になっています。街からそれほど離れていないにも関わらず自然の豊かな場所です。今回のアジフライを求めて走る旅の目的地は、この観音崎の入り口にある「夢Dream食堂」です。

 平日は無料の観音崎公園第2駐車場にバイクを停めて、横断歩道を渡れば到着。建物の壁にある掠れた「REST HOUSE KANNONZAKI」の文字に歴史を感じます。

 入り口を入ってすぐにある券売機で食券を買います。今回は迷うことなく「アジフライ定食」です。ほかにも写真付きのメニューがありましたが、気移りしないよう見ませんでした。

 カウンターで食券をお店の人に渡せばオーダー完了。空いている席に座ってアジフライが来るのを待ちます。

 店内を見渡すと、自衛隊の船や飛行機の写真が飾られ、スカジャンを販売しているという貼り紙があるなど、ここも横須賀なんだなぁと実感します。と、思っているうちに「アジフライ定食」がやってきました。

観音崎公園のロータリーにある「夢Dream食堂」は観音崎レストハウスで営業中。掠れた「REST HOUSE」の文字に歴史を感じる
観音崎公園のロータリーにある「夢Dream食堂」は観音崎レストハウスで営業中。掠れた「REST HOUSE」の文字に歴史を感じる

 定食は大きめのアジを3枚に下ろした1尾分のフライに素揚げされた中骨が盛られています。トマトと千切りのキャベツにはドレッシングがたっぷり。この日の小鉢はひじきの煮物でした。普通サイズの茶碗に盛られたご飯、みそ汁、漬物がセットです。

 早速アジフライに箸を入れると、サクっとした感触の後にフワッと感じたのですが、食べてみると良い感じの歯応えです。

 こちらは地産地消を掲げているお店で、アジも近くの走水漁港に揚がった地場ものだそうです。名産地だけあって非の付け所の無い美味しさ。そういえば東京湾のアジは久しぶりです。

 半身を食べ終えたところで素揚げの中骨を食べてみます。これがうっすら塩味でなかなか美味しい。ビールのつまみに良さそうです。そして残りの半身もいただき完食です。1尾分だとちょっと少ないかな、と思ったのは杞憂で、十分にお腹いっぱいになりました。

大きめで厚みのあるアジフライ。サクサクフワフワかと思いきや、身は歯応えがあって味も濃い
大きめで厚みのあるアジフライ。サクサクフワフワかと思いきや、身は歯応えがあって味も濃い

 お店を出て観音崎灯台まで行ってみることにしました。もちろん公園内にバイクは入れないので徒歩での散策です。案内看板によると、公園入り口から灯台までは徒歩10分。海沿いの散歩道を、のんびり景色を見ながら歩きます。

 ここは東京湾の出入口が近く、流れの早い浦賀水道に面してることもあって海はかなり綺麗です。対岸の房総半島もよく見えます。

 しばらく歩くと、観音崎の名前の由来となった十一面観音像が祀られている権現洞窟がありました。天平13年(西暦741年)に行基上人によって祀られた木彫りの小さな観音像は、鎌倉時代の和田合戦(1213年)で忽然と姿を消しますが、それが鎌倉時代末期に海中から発見され、再び祀られました。

 江戸時代には観音寺が設立されましたが、明治時代に帝都防衛の要として砲台が設置されることになり、観音寺と観音像は南側の亀崎に場所を移します。そして昭和61年(1986年)、火事により観音寺と観音像は焼失してしまいました。現在祀られている観音像は、令和元年(2019年)に市民活動で復元されたものだそうです。

初代は明治元年に建てられ、日本で最初の洋式灯台となる観音崎灯台。現在は大正時代に建てられた3代目で、登ることができる貴重な灯台
初代は明治元年に建てられ、日本で最初の洋式灯台となる観音崎灯台。現在は大正時代に建てられた3代目で、登ることができる貴重な灯台

 権現洞窟を後にして灯台に向かって階段を登ります。途中からは、大型船の錨に使うような太い鎖がガードレール代わりに使われています。到着した観音崎灯台は、明治元年(1868年)に完成した日本で最初の洋式灯台です。大正11年(1922年)の地震で亀裂ができたので建て替えられましたが、大正12年(1923年)の関東大震災で崩れ、現在の灯台は大正14年(1925年)に建て替えられた3代目になります。

 この灯台は、日本に16カ所しかない登れる灯台です。もちろん上まで登ってきました。この日は霞んでいましたが、それでも北側には横須賀から横浜、東側には房総半島が見えました。

浦賀水道を背景に筆者(増井貴光)のホンダ「CT110」を撮影。影が写り込んでいるのは自己主張
浦賀水道を背景に筆者(増井貴光)のホンダ「CT110」を撮影。影が写り込んでいるのは自己主張

 景色を堪能し、灯台を降りて駐車場に向かいます。途中には明治期に作られた砲台跡などもありました。また、岬の北側にも歴史的な遺構が多数あります。神話の時代から続く観音崎、面白そうなのでまた訪れてみたいと思います。

■夢Dream食堂
所在地:神奈川県横須賀市鴨居4-1226
営業時間:11時から16時、15時から22時(不定休)
※営業時間、休日は変更となる場合があります

【画像】観音崎「夢Dream食堂」のアジフライ定食を見る(21枚)

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Writer: 増井貴光

旅をライフワークにバイク専門誌などで活躍するカメラマンでコラムニスト。国内だけでなく、アメリカでランドスピードレースやドラッグレースの撮影を続けている。著書としてユタ州ボンネビルで最高速に挑戦するライダーを撮影した写真集『bonneville』と、ルート66を実際に走って撮影した『movin’on』がある。また撮影だけでなく、イベント等の企画・運営にも携わるなどその活動は幅広い。愛車はハーレーFLTRXS、ホンダXR250とCT110

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