普通二輪免許で乗れるBMWスクーター「C400GT」 機動力とゴージャス感の好バランスが魅力
BMW Motorrad「C 400 GT」は、排気量349ccの水冷単気筒エンジンを搭載するミドルサイズ・スクーターです。走行性能、使い勝手、快適性を確かめるべく試乗したところ、満足度の高い結果となりました。
400cc未満で? この満足度の高さはスゴイ!
BMWモトラッドの「C400GT」は、普通二輪免許で運転ができるミドルサイズ・スクーターです。ヤマハ「TMAX」(排気量561cc)やホンダ「X-ADV」(745cc)等、世界でも人気のスクーター、ATモデルと比較すると排気量分の性能差はありますが、「C400GT」の佇まいは高級感があり、GTという名に恥じないツーリング性能も持ち合わせています。

同時に、大きさ、重さをカバーするパッケージで市街地でもスイスイ走ることを許容し、全体として満足度と楽しさが良きところでバランスしたバイク、というのが「C400GT」に乗ったあとの印象です。
エンジンは水冷OHC4バルブ単気筒、排気量は349ccです。車名の400はちょっと背伸び系ですが、その性能はスズキ「バーグマン400」(こちらは正真正銘400クラス)よりパワーで上回り、最大トルクが同値という性能を持ち、乗ってもハンディを感じません。
車体のスリーサイズを「バーグマン400」と比較しても、「C400GT」は全長こそ35mm短いですが、幅は15mm広く、全高は85mm高いことがスペックから解ります。ホイールベースは15mm短い1565mm、車重は2kg重たい220kg(車検証表示値)となっています。
「C400GT」はBMWモトラッドが誇るツアラー系モデル、「RT」や「GTL」等と同じベクトルのゴージャスさを持っているのが魅力です。シートの表皮やステッチ、左右に分かれたLEDヘッドライトが造る表情も同様です。LEDでも貧相な光量のモデルが少なくないなか、BMWの他のモデル同様、道路を照らす配光も光量も抜群。街灯ひとつ無い夜道でも高い視認性を確保してくれます。市街地で隣にレクサスが並んでも、自分のヘッドライトがどこを照らしているのかしっかり解るほど。プレミアム! と心の中でガッツポーズが出ます。

テストをした真冬の時期、グリップヒーター、シートヒーターは一度味わうと他のバイクに装備していないのが不思議なくらい有り難く便利な機能です。ライダーにとっては贅沢品ではなく、安全機能と言ってもかまいません。
走るとエンジン、ミッション、クラッチのセッティングが絶妙で、振動が少なく軽快さのある加速を楽しませてくれます。やはり250クラスのスクーターとは比較にならない余裕があります。エンジンだけの回転が高まり、加速を待つようなじれったさもありません。
市街地、ツーリングシーンでは満足ある走りだと思いました。100km/hで走行する高速道路の場合、上り坂で向かい風という条件が重なるとゆとりは少なくなるものの、120km/h道路でも走りに余裕があり、車体のしっかり感と併せて長距離ライドも得意技のひとつのようです。
とくにフロント15インチ、リア14インチという大径ワイドラジアルタイヤを履き、サスペンションの作動性も上々で結果的に快適な乗り心地を提供してくれます。タイヤとのコンビネーションもあり路面追従性が高く、市街地のギャップからツーリング時のワインディング、高速道路のつなぎ目などでもタイヤの接地感を失いません。このシャーシ性能はチョイ乗りから長距離まで生きる大切な性能です。

いわゆるビッグスクーターに、シート下ラゲッジスペースの容積を求める人には少し解説が必要です。この「C400」シリーズのラゲッジスペースは、BMWが「フレックスケース」と呼ぶ伸縮式のトランクを採用しています。停止時のみ後輪上部のスペースにトランクを拡張し、ヘルメットなどを収めるような仕組みです。エコバックのような発想でもあり、走行中は折りたたむので容量は停止時よりも少なくなります。
これは「C650」シリーズから受け継がれたもので、大径の後輪が持つ走行性能とラゲッジスペースの折り合いを付けたひとつのアイディアです。BMWの設計者はこう読んだに違いありません。ヨーロッパの街を行くスクーターは運動性能が大切。石畳のある道ではタイヤは大径のほうが安定感を出しやすい。郊外の道を100km/hで走る時、高速道路でを2人乗りで130km/hで走行する時も同様。ヨーロッパの多くのライダーが荷物を積むのにスクーターにもトップケースを付けるケースが少なくない。ならば、割り切ろう……となったのでしょう。
過去に試乗した多くのスクーターのシート下ラゲッジは、ヘルメット2個、つまりスイカが2個入るようなくぼみはあるものの、パソコンを収納したビジネスバッグやバックパックがすんなり収まりきらないことも多く、容積サイズと現実の違いを目の当たりにしたことは一度や二度ではありませんから納得です。

どうでしょうか。BMWモトラッドの「C400GT」。価格(消費税10%込み)は93万円(テスト車はオプションカラーで+2万6000円)ですが、グリップヒーター、シートヒーター、ETC2.0はもちろん、ABSとトラクションコントロールも標準装備。もちろん燃料キャップを含めキーレスです。メーカー3年保証、USB充電ポートももちろん標準装備です。TFT6.5インチモニターとスマホの連動など拡張性も他のBMWのモデル同様。2021年モデルではシート下を照らすイルミネーションも変更が加えられています。こんなスクーターとの暮らし、悪くないかもしれませんよ。
Writer: 松井勉
モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

















