オフロードバイクが優雅に空を舞うジュース・ワールド「Conversations」
若くしてこの世を去ったジュース・ワールドの遺作「Conversations」のMVには、オフロードライダーのアクロバティックなトリックが盛りだくさん。生前を偲ばせる映像とともに胸がアツくなる1本です。
若き天才の苦悩と戦い
スティングの名曲「Shape of My Heart」をサンプリングした「Lucid Dream」が全米No.1を獲得し、一躍スターの仲間入りとなったジュース・ワールド。エモ・ラップシーンの第一人者として、Z世代のゆううつや悲しみを表現して絶大な人気を得ましたが、2019年に薬物の過剰摂取により、21歳にして早すぎる死を遂げました。

1000曲以上あると本人が語っていた、生前に録りためていた音源を含む遺作アルバム『Legends Never Die』(2020年)は、主役不在のまま全米で初登場第1位を記録し、アップルなどの配信サービスで再生回数1位から16位までをこのアルバムの収録曲が独占するなど、数々の記録を打ち立てました。
そしてこのアルバムの2曲目に収録されている、心の悪魔が自分を追いつめている状況を歌った「Conversations」はアメリカのSportifyで1日に345万回再生され、2020年の“1日で最も再生された楽曲”となりました。

「Conversations」のミュージックビデオは、生前のライブでの様子やレコーディング風景を織り交ぜながら、彼を襲う悪魔も登場します。高層ビルほどもありそうな巨大な悪魔が迫りくるなかで、オフロードライダーたちがカワサキを自在に操りながら数々のトリックを繰り出し、ひらひらと舞い、土埃を上げます。まるでオフロードライダーたちが悪魔と戦っているかのようにも見えるし、悪魔は彼らの舞いをただ傍観しているだけのようにも見えます。
その光景は、心の中に住む悪魔の存在と対峙しながら、最後にはオーヴァードーズでこの世を去ってしまったジュース・ワールドの生々しい人生の戦いが象徴されているかのよう。最後に悪魔が少しずつ崩壊しそうな気配を漂わせて終わったことだけが、残された少しの希望といえるでしょうか。

オフロードライダーたちの息をのむようなスリリングなジャンプやテクニックは、ドローンを使ったダイナミックな映像でさらに臨場感が増し、思わず見入ってしまいます。MVの一番最後はジュース・ワールドの圧巻のフリースタイル。若き才能があまりにも早く失われてしまったことが、心から悔やまれます。






