改めて知りたい 全幅、全高、全長…どれがどれだっけ!?

バイクを選ぶ際の参考材料のひとつになる、「全幅」「全高」「全長」の3つの表記。なんとなく理解してはいても、いざカタログを目にすると、どれがどれだっけ…と思う人も少なくないかもしれませ ん。実際、どの表記が何をさしているのでしょうか。

いざとなるとごちゃごちゃになる?全幅、全高、全長はどれがどれなのか

 バイクのスペック表には、車体の大きさを示す具体的な数値が記載されています。バイクを購入するときは、実物を確認するだけで細かい数字までは気にしないという人も多いかもしれません。

スズキ「GSX-R125 ABS」でスペックを見る
スズキ「GSX-R125 ABS」でスペックを見る

 しかし、保管場所のスペースが限られている場合などは、車体の正確な数値が必要な人もいるでしょう。そんなとき重要になるのが、カタログやスペック表(主要諸元表)に書かれている「全幅」「全高」「全長」の3つの表記です。

 自分にぴったりのバイクを選ぶためにも、正しいサイズの見方を理解しておくことが大切といえますが、どれがどれだかわからない…という場合もあるかもしれません。

 では、「全幅」「全高」「全長」は、それぞれどの表記が何をさしているのでしょうか。

車体の横幅を示す数値が「全幅」です
車体の横幅を示す数値が「全幅」です

 まず、車体の横幅を示す数値が「全幅」です。全幅というと、ボディの横幅だと思っている人もいるかもしれません。しかし車体の左右の一番出っ張った部分の距離のことを示し、ほとんどのモデルでハンドルの両端を表すのが一般的です。このとき、ミラーは可動する部品という理由から、車体のサイズ表記には含まれません。また、全幅が狭いと、走行中の風の空気抵抗を受けにくくなり、スペースの限られた駐輪場でも停めやすいといったメリットがあります。

一般的に地面から一番高い位置にあるパーツまでの距離を「全高」といいます
一般的に地面から一番高い位置にあるパーツまでの距離を「全高」といいます

 そして「全高」は、車体の高さを示す数値で、一般的に地面から一番高い位置にあるパーツまでの距離を表します。全幅同様に、この場合もミラーは含まれません。ただし、スクリーンは全高に含まれるので、ツアラータイプのスクリーンが大きいモデルは全高が高くなる傾向があります。

 全高が高いバイクは、ライダーの視点が高くなるので視野が広がり運転がしやすくなるのがメリットです。また、大きなタイヤを装着できるので、直進性の安定感が良くなり、サスペンションも長くとれるので、コンディションの悪い道での走破性が良くなります。しかしその反面、風の影響を受けやすくなるので、強風の日や橋の上での走行は、車体があおられて怖い思いをすることもあるかもしれません。

前と後ろの一番先端の部分の距離の長さを示すのが「全長」
前と後ろの一番先端の部分の距離の長さを示すのが「全長」

 そして、バイクを真横から見たときに、前と後ろの一番先端の部分の距離、つまり車体の長さを示すのが「全長」です。一般的にはフロントタイヤの先端から、リヤフェンダーの後端となりますが、車種によってはナンバープレートの先端やリアキャリアが一番後ろになる場合もあります。

 また、全長が長いバイクは、ホイールベースも長いモデルが多いのが特徴です。一般的にホイールベースが長いと直進の安定性が向上し、どっしりとした乗り心地が得られ、長距離でも疲れにくいメリットがあります。ただし、小回りが利きにくいため、取り回しが大変だったり、カーブの多い狭い道路などは不向きといえるでしょう。

 このように車体の大きさを示す表記のほかにも、スペック表には乗り心地や特性がわかるように、さまざまな数値が記載されています。

 例えば、おおよそのバイクの特徴を把握できるのが「軸間距離(以下、ホイールベース)」で、前輪ホイールの中心軸から後輪ホイールの中心軸までの距離を表したものになります。

前輪ホイールの中心軸から後輪ホイールの中心軸までの距離を表す「軸間距離(以下、ホイールベース)」
前輪ホイールの中心軸から後輪ホイールの中心軸までの距離を表す「軸間距離(以下、ホイールベース)」

 ホイールベースが長くなると、全長も長くなる傾向があり、どっしりと安定感のある乗り味になるため、クルーザータイプや大型モデルは長い傾向にあるようです。逆にホイールベースが短くなると、クイックで軽快なハンドリングになり、こちらはスポーツタイプや小型バイクに多く見られます。

 そして「最低地上高」は、タイヤ部分を除き、地面から一番近いパーツまでの距離を表した数値です。オフロードバイクはエンジンが地面の障害物に当たらないように、最低地上高が高く設計されているのが特徴。また、アメリカンモデルといった低重心のバイクは、最低地上高が低い傾向がありスタイリング重視といえます。
 
 続いて「最小回転半径」は、バイクを直立させた状態でハンドルを目いっぱい切って、円を描くように一周したときの半径を表した数値をさします。この数値が小さいほど、小回りが利くことを意味するので、取り回しが良くUターンがしやすいバイクということです。

「シート高」は、地面からシートの一番低い部分までの距離を数値化したもの
「シート高」は、地面からシートの一番低い部分までの距離を数値化したもの

 また、「シート高」は、地面からシートの一番低い部分までの距離を数値化したものです。シート高が低いほど足つき性が良くなる傾向がありますが、必ずしもそうとはかぎりません。シートの幅や車体の幅自体が広かったり、サスペンションの沈み具合なども影響してくるので、シート高の数値はあくまでも参考程度にして、実際にまたがって確認するのが無難といえるかもしれません。

 そして「車両重量」は、文字通りバイクの重さを表す数値です。一般的に、エンジンを掛けてすぐ走り出せる状態の装備重量のことで、ガソリン(満タン量)やエンジンオイル、冷却水、バッテリー液などを含めたトータルの重量になります。

 車体重量が軽いと取り回しが楽になり軽快な走りが可能ですが、逆に重くなると、安定感が増しゆったりとした乗り心地になります。

キャスター角は、地面に対してフロントフォークがどれだけ斜めに取り付けられているかを示す角度を表した数値
キャスター角は、地面に対してフロントフォークがどれだけ斜めに取り付けられているかを示す角度を表した数値

 ちなみに、あまり聞き慣れないスペック表記に「キャスター角」と「トレール量」があります。まずキャスター角は、地面に対してフロントフォークがどれだけ斜めに取り付けられているかを示す角度を表した数値です。一般的にキャスター角が寝ているほど、直線の安定性が高くなり、垂直に近いほどクイックなハンドリングになり、曲がりやすくなります。

 そしてトレール量は、ステムシャフト中心の延長線の地面に接する点と、フロントホイールのアクスルシャフトから垂直に地面に降ろしたときの地面に接する点の距離を表した数値です。これもキャスター角と同様に、数値が大きくなるほど直進の安定性が増し、短いほどハンドリングが良くなります。

 これらの表記が何をさしているのかを十分に理解しておけば、バイク選びの際に役立つことは間違いなさそうです。

※ ※ ※

 スペック表の数値を見れば、そのバイクのおおまかな大きさや重さ、扱いやすさや乗り心地などを知ることができます。各項目に書かれている数値をしっかり理解することで、自分にとって最適な一台を見つけることができるかもしれません。

■GSX-R125 ABS 諸元

全長/全幅/全高:2000mm / 700mm / 1070mm
シート高:785mm
最小回転半径:2.6m
キャスター/トレール:25.5゜/ 93mm

【画像】全幅、全高、全長をGSX-R125 ABSで見る

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