自転車の「変速機」 上手に使えば平地も上り坂も軽い力で進むことができる
自転車の「変速機」は、走行スピードをアップさせたり、ペダルを踏む力を軽くしたり、さまざまな調整ができる便利な機能です。「変速機」の仕組みを解説します。
「変速機」の段数選び、上手に使ってラクに進む
基本的に人力だけで進む自転車は、乗っている人の筋力や体力で発揮できるパワーが決まります。どんな急坂でも登り切れるような足を持っている人もいれば、平地で少しスピードを出しただけで息切れするような人まで、そのポテンシャルには個人差があります。その差を埋めてくれるのが「変速機」です。「変速機」を上手に使えれば、なるべく力をかけず楽に走行できるようになります。

大昔の自転車は、幼児用の3輪車の様に前輪とペダルが一体化しており、ペダルを1回転させると車輪が1回転する原始的な仕組みでした。
その後、1879年にイギリスのヘンリー・ジョン・ローソンという人が歯車(ギア)とチェーンを使って後輪を回転させる後輪駆動の自転車を生み出すのですが、この後輪駆動の自転車の画期的な点は、ペダルについているギアと、後輪についているギアの大きさ(歯の数)を変えることで、車輪の回転数をコントロールできることでした。
実際の自転車ではありえないシチュエーションですが、例えばペダル側のギアの歯の数が20で、後輪についているギアの歯の数が10だった場合、ペダルを1回転させると後輪は2回転し、後輪ギアの歯数が5だった場合は4回転します。
これはペダルを踏み込むのに必要な力を調整できるという事でもあり、ペダル1回転で後輪を2回転させるのに比べ、後輪を4回転させるのは、ペダル1回転で進む距離が単純計算で2倍になりますが、それに比例してペダルを回すために大きな力が必要になります。
この前後のギアの組み合わせ(ギア比)を変更して、自転車の進み具合やペダルを回すのに必要な力を、路面状況やその日の体調などに応じてコントロールできるように進化してきたのが現在の「変速機」です。
ママチャリ(シティサイクル)などの軽快車では「変速機」が付いていないモデルもありますが、クロスバイクなどのスポーツタイプの自転車は、安価なものでも「変速機」が標準装備されています。
具体的な使い方の例として、障害物のない舗装された平らな道路ではペダル側のギアは大きいものを選択し、後輪のギアは小さいものを選びます。そうすることでペダルは重くなりますが、1回転で長い距離を進むのでスピードを上げることが可能です。
勾配のきつい上り坂では、大きいサイズの後輪ギアを選んでギア比を小さくし、ペダルを踏む力を軽くします。そうすることで少ない力でも前に進めるようになります。

装備されているギアの設定にもよりますが、上手に「変速機」を使えば坂道だからと言って大きな力を入れる必要はなく、平地と同じ力で進み続けることができるのです。
ギアの枚数については「変速機」の種類によって様々ですが、多いものだとペダル側に3枚、後輪に10枚のギアが装着されており、最大30段階の変速が可能なモデルもあります。それなりの価格と重量になりますが、かなり細かいギア比の調整ができるので、長距離を走行する人は重宝すると思います。
ここでひとつ気をつけたいのが、変速段数に惹かれて何枚もギアが装着されている自転車を手に入れたものの、あまり変速せずに特定のギアで乗り続けている人が意外と多いという点です。
最初は楽しくていろいろと変速を試すと思いますが、通勤・通学など同じ道を繰り返し走る場合、足が慣れて「変速機」を使わなくなり、後輪ギアの変速だけで十分に対応できるので、とくにペダル側のギアは変速されないことが多いようです。
「使わない変速機」はただ重量が増すだけなので、自転車で走る上でメリットにはなりません。自転車を購入する際は「ギアが多くてカッコイイ!」に惑わされず、用途に合わせた枚数を選ぶと良いでしょう。




