たまに見かける色のついた道路…何か意味はあるのか?
普段、街を走っていて、カラー舗装された道路を見る機会があります。では、カラー舗装された道路にはどのようなものがあるのでしょうか。また、どのような意味合いがあるのでしょうか。
カラフルな道路…いったいどんな意味がある?
街中を走行していると、赤や緑色に舗装された道路を見かけることがあります。実際に、そういった道路を走行した経験のあるライダーも多いでしょう。しかし、なぜ道路がカラフルな仕様になっているのか、理由を説明できる人は少ないかもしれません。いったい、カラー舗装された道路にはどのような意味があるのでしょうか。

一般社団法人全国道路標識・標示業協会東京都協会が公表する情報によると、カラー舗装を採用する目的及び効果には、視環境の改善による抑止力強化と、すべり止め効果による交通安全対策、歩道の確保による歩行者保護と目標物の表示の4つが挙げられるといいます。
世の中にはさまざまなカラー舗装された道路があります。例えば通学路では緑色、自転車通行帯なら青色、歩車道区分や交差点などの注意喚起には、赤色が使用される傾向があります。
路側帯を強調するようなカラー舗装なら、歩道部が視認しやすくなり、加えて、カラー舗装で駐停車禁止区域の表示や歩行禁煙の表示をすることで、視環境の改善による抑止力強化と歩道の確保、歩行者保護の向上が期待できるというわけです。
また、カラー舗装することによる表現の効果や視知的特性として、識別性や記憶色、色による効果などが挙げられます。例えば、識別性とは色の区別のしやすさのことをさします。異なる色を並べることにより、色同士の境目で大きなコントラストが生まれます。つまり、それぞれの色の属性がより強調され、視認しやすくなるというわけです。
それぞれの色は、見る者に一定の効果を与える傾向がある
例えば、青系の色は集中力を増加させる効果があります。他にも、茶色や黄色系統は癒し効果や安心感を与える効果があるほか、赤やオレンジ系は興奮作用を与える効果が認められます。

これらの色を組み合わせたり、単色で使用することによって、色ごとによる効果を期待することができます。
つまり、カラー舗装を採用することは、視覚的にドライバーや歩行者など、道路を利用する人に対する注意喚起や、交通事故防止対策になるということです。実際に、道路の危険箇所をカラー舗装することによって、交通事故防止に多大な効果を上げています。
一方で、多種多様なカラー舗装が氾濫している側面もあるといいます。色味が多すぎることで視覚的に混乱したり、景観を損ねる可能性が考えられるため、目立たせようとして、なんでもかんでもカラー舗装すればいいというわけではありません。
また、カラー舗装は人目を引くように目立たせる必要がありますが、道路には標識や信号といった、さまざまな道路付属物が設置されているため、カラー舗装が目立ちすぎると、標識などが目立ちにくくなる可能性もあります。舗装は道路景観の中で大きく面積を占める分、周囲の景観を引き立たせるように抑える必要があることも、求められているようです。
ただ、こういった問題は、2004年に「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン」が施行されたことにより、解決の方向へ向かっています。「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン」は、観光業によって日本経済を活性化させようという狙いの一環で施行されたものです。これによって、道路付属物の整備がされていくことになりました。
例えば、従来の白一辺倒の色味から、景観3色といわれるダークブラウン、グレーベージュ、ダークグレイを標準色として定めたことで、日本の道路の景観の向上に繋がりました。
このガイドラインには、カラー舗装の留意事項なども記載されてます。代表的なものとして、特に使用されることの多い赤色や青色、緑色の彩度や明度の指定や、使用する幅の範囲などが挙げられます。

赤・青・緑の3色は使用されることの多い基本的なカラー舗装といえますが、景観保全の観点から、地域の意向によって他の色彩の使用も認められています。しかし、道路標識への影響から、白や黄色系統の使用は控えることが推奨されているようです。
ちなみに、カラー舗装は効果が出やすいという点以外にも、比較的簡単かつ早く施工できる点や、コストを抑えやすい点や維持管理がしやすいなどのメリットもあります。
以上のことから、カラー道路は全国的に統一されつつも、地方自治体ごとによって独自の基準が設けられることもあります。
例えば、熊本県宇城市にある中学校近くの県道は、横断歩道は緑と白色に、手前の車道は赤茶色系の色で舗装されています。これは、ドライバーへ視覚的な注意を促すことで、通学路の安全性を高める狙いがあります。
その他にも、愛知県豊田市では、自転車通行帯を緑色で表示することで自転車通行帯区分をドライバーへ周知したり、愛知県名古屋市や広島県広島市では右折帯を青色でカラー表示しています。神奈川県横浜市ではバス停の位置を赤色でカラー表示しているなど、こういった表示によって、交通事故防止効果を高めているというわけです。
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カラー舗装によって、歩行者や自転車の安全が守られたり、ドライバーやライダーにとっても走行レーンがわかりやすくなったりすることで、交通事故防止効果が得られるようになりました。何気なく走行している普段の道も、どれくらいカラー舗装が施工されているかを意識して見ると、面白いかもしれません。