新油冷エンジンの出来栄えに満足し、R750好きのチーフエンジニアも購入! Vストローム250SXがスゴイ!!
3つ目の柱とは!
最後に3つ目の柱、「ツーリングでの走破性」です。ツーリングで遭遇する様々な道、舗装路、未舗装、市街地、高速道路、ワインディングといろいろとありますが、その状況を選ばず安心して走れるように『Vストローム250SX』は作り込まれています。

まず、未舗装路を安心して走行するため、ベースとなった『ジクサー250』に対してフロントホイールを19インチ化、ホイールをフロントフォークから前方に30mmオフセット。タイヤはセミブロック調パターンとしています。
さらにスイングアームが伸ばされ、『ジクサー250』と比較し、ホイールベースを95mm延長しています。
そして、最低地上高は205mmを確保。その結果、路面の凹凸の影響を受けにくく、安定した走りを実現できました。また、未舗装路での耐キックバック性を考慮して、幅広なハンドルバーを採用しました。
スリム軽量なショートストロークエンジン
市街地、高速道路、ワインディングを気持ちよく走行するためのエンジン仕様についても鈴木さんは説明してくれました。

エンジンは『ジクサー250』と同じ油冷SOHC4バルブエンジンですが、水冷DOHCエンジンに比べ、フリクションロスが小さいため低速域からトルクフルで、軽量・スリムであることもあいまって市街地でも乗りやすくなっています。
また、ボア・ストロークを76×54.9mmのショートストロークにし、ロッカーアームも軽量化することで限界回転数を上げています。
結果、高速道路でもワインディングでも楽しめるエンジン特性になりました。
弱点を克服した新油冷システム
エンジンは『ジクサー250』共通の油冷SOHC4バルブエンジンを使用。新油冷システムは、従来の油冷とは全く異なる冷却方式で、従来の油冷の弱点を改善していることを鈴木さんは教えてくれます。

まず、新油冷システムは冷やしたい高温部、具体的にはエキゾーストバルブシート周辺、燃焼室上壁面、シリンダー上部に、冷却用のオイル通路を張り巡らし、そこにオイルクーラーで冷やしたオイルを圧送し、高い流速で効率よく冷やします。
従来の油冷は燃焼室上壁面にオイルジェットを吹き付けますが、冷やせるのはその1ヶ所だけで、しかも表層のみです。新油冷システムでは、冷やしたい箇所を全て確実に冷やすことができるようになりました。
新油冷システムでは燃焼室上壁面に加え、さらにエキゾーストバルブシート周辺とシリンダー上部にもオイルジェットを吹き付け、効果的に冷やします。
さらに、冷却ファンをオイルクーラーに装着。規定油温を超えれば強制的に冷却し、油温を規定温度以下に管理することができます。
従来の油冷では、高負荷時に油温が高くなってしまい、効率的な冷却ができず熱だれや圧縮漏れを起こしていました。新油冷システムによって、エキゾーストバルブシートやシリンダー壁面の温度上昇を抑え、熱だれや圧縮漏れを解消しています。
小型軽量化にも貢献
新油冷システムとSOHCの組み合わせは、エンジンを小型軽量化するのに非常に相性が良いことも鈴木さんは教えてくれました。
DOHCではなくSOHCを採用することで、カムシャフト1本分の軽量化、およびシリンダーヘッドとシリンダーのカムチェーン室の小型化が図れます。
そして、水冷ではなく油冷方式を採用することで、ウォーターポンプの廃止、さらにその駆動ギアやシャフトの廃止、またコンダクション、サーモスタット、リザーバータンクが不要となり、シリンダーヘッドとシリンダーからフィンをなくすなど様々な方法によって軽量化を実現しています。
エンジンを小型軽量化することにより、車体も軽量化でき、相乗効果で燃費向上とともに軽快で扱いやすいライディングを実現しています。
さらにフリクションロスを減らすことと、吸入空気量を増やすことを達成しました。ボアを『GSX-R1000R』と同一の76mmとし、バルブの傘径を確保。76×54.9mmのショートストローク設計で、高回転のポテンシャルを持たせています。
走ってる間ずっと楽しい
実際、『Vストローム250SX』に乗ると、低回転からトルクフルで扱いやすいエンジンであることがわかりました。リニアなスロットルレスポンスで、高回転もスムーズに吹け上がり、街乗りからツーリングまで幅広いシーンでストレスのないパワーユニットになっています。
チーフエンジニアの鈴木さんにとっても会心の出来栄えで、「通勤通学はもちろんツーリング、走ってる間ずっと楽しいバイクに仕上がっています」と、自信満々です。
「入社以来、油冷のGSX-R750、水冷のGSX-R750に長年乗ってきましたが、それをついに手放してこのVストローム250SXを予約しました」(鈴木氏)

Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。















