マレーシアにもバイクメーカーが!? 知らなかった……セパン・サーキットのミュージアムで新発見

MotoGP取材の合間になかなか行けずにいた、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットにあるミュージアムを、ようやく訪れることができました。そこには、マレーシアの国産バイクが展示されていました。

気になっていたミュージアムで、新たな発見があった

 MotoGPの公式テストを取材するために、わたし(筆者:伊藤英里)はこれまでに何度もマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットに足を運んできました。その間、ずっと気になっていた場所があります。それがサーキット内にある「ナショナル・オートモービル・ミュージアム」です。存在自体は知っていたミュージアムに、2025年シーズンのMotoGP公式テスト取材のあと、ついに行くことができました。

「MODENAS」のスクーターモデル「Karisma125」。マレーシアの複合企業「DRB-HICOM Berhad」の事業の中には自動車サービスも含まれており、「MODENAS」の株式の70%を保有している
「MODENAS」のスクーターモデル「Karisma125」。マレーシアの複合企業「DRB-HICOM Berhad」の事業の中には自動車サービスも含まれており、「MODENAS」の株式の70%を保有している

 サーキットの「メイン・グランドスタンド」に通じるエントランス近くの駐車場にクルマを止めると、エントランスにいたマレーシア人のお兄さんに手続きをしてもらい、パスをもらいます。料金は無料でした。

 エントランスに入ると正面左右に建物があり、その奥が「メイン・グランドスタンド」です。ミュージアムは、右側の建物内にありました。こじんまりしているミュージアムですが、マレーシアのモビリティにおける歴史の長さを考えれば、そうだろうと思います。セパン・インターナショナル・サーキット自体、1999年にオープンした、若いサーキットなのです。

 ミュージアムにはMotoGPやF1(2025年現在は開催なし)、国内モータースポーツを紹介するエリアがあり、20世紀にヨーロッパから輸入されていたクルマを展示するエリアがありました。

 マレーシアは、過去にイギリスの植民地だった時代(1945年~1957年)があり、第2次世界大戦終結後は、オースチン、オースチン=ヒーレー、ジャガー、ラゴンダ、ブリティッシュ・レイランド、MG、ロールス・ロイスなどが輸入されたそうで、そうしたクルマが展示されていました。

 ミュージアムではマレーシアにおけるモビリティやモータースポーツの歴史をたどることができるのかと思っていたのですが、予想外のバイクメーカーに出会いました。2階展示室の奥に進むとスクーターが見えます。説明によると「最初の国産バイク」というではありませんか! お恥ずかしながら、わたしはマレーシアにバイクメーカーがあったことを知りませんでした。

 そのバイクは「Kriss110」というモデル名の、いわゆるビジネスバイクで(説明にはモペッドと表記されていた)、「Motosikal dan Enjin Nasional Sdn Bhd(MODENAS)」によって1996年に発売された、と記されていました。

 製造したMODENASは、1995年に設立されたバイクの設計、開発、製造を行なう会社で、マレーシアのケダ州グルンを拠点としています。

 日本の川崎重工はこのMODENAS設立当初から資本参加しており、MODENASブランドのバイクへの技術援助を行なっています。2019年には川崎重工がMODENASの既存株式を取得し、出資比率を19%から30%に引き上げています。

 川崎重工のほか、現在では台湾の光陽工業(KYMCO)、中国のエンジンメーカーであるZongshen、インドのバジャジ・オートなどとパートナーシップを結び、製品ラインナップの多様化、国際市場への展開を目指しているそうです。

 展示されていたのはモペッド型だけではなく、クルーザー(アメリカン)タイプ、スクータータイプなどもありました。

 こうした展示やマレーシア製バイクを見ていると、そして街中を走っているバイクを見ると、マレーシアではまだ、当たり前のように内燃機関を中心としているのだなと感じます。もちろん、ガソリンスタンドにはEVカー向け充電ステーションを備えているところもあるのですが、街中で走っているEVカーは見られませんでした。

 こうしたマレーシアの2輪メーカーは、今後どのような方向性で発展していくのでしょうか。できることなら、また10年後にこのミュージアムに来てみたいなと思いました。

 そのとき、この「ナショナル・オートモービル・ミュージアム」には何がどう展示されているのか、とても興味をそそられたからです。

【画像】館内にはマレーシアのバイクメーカー「MODENAS」が展示されていた(14枚)

画像ギャラリー

Writer: 伊藤英里

モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

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