「コーヒー豆」=「エンジン」!? バイクの乗り味とコーヒーの味わいに共通する要素とはデイドリップ通信VOL.19

バイク乗りのコーヒー店主、黒田悟志さんによる連載コラム。今回はバイクとコーヒーに感じる「味わい」の共通項ついてのお話です。

コーヒーにおける味わいの決めてとは?

 こんにちは! バイクを楽しむコーヒー屋、Day Drip Coffeeのクロダです。バイクとコーヒー、どちらも奥深い世界観を持つ魅惑の存在だと思っています。このコラムでは、そんな二つの世界を行き来して気付いたトピックや出来事をお届けしています。

 と言うことで、今回のテーマは「味わい」について。コーヒーは飲み物なので、味について語るのは当たり前ですが、バイクも「乗り味」なんていう表現をしますよね。それぞれの「味わい」について、コーヒー屋なりの視点で考察してみました。

コーヒーの味わいを決める2大ポイントは「豆」と「淹れ方」にあるといえるでしょう
コーヒーの味わいを決める2大ポイントは「豆」と「淹れ方」にあるといえるでしょう

 まずはコーヒーのお話から。コーヒーの味わいは苦味や酸味以外にも、豆の種類や、淹れるための器具、それらを準備した上で用いるレシピに至るまで、味が決まるポイントは多岐に渡ります。それらをあえて分類するなら、究極的には「豆」と「淹れ方」が2大ポイントです。そしてどちらもさらに2つの要素で出来ています。

 一つ目のポイント「豆」は、「産地や品種」という先天的な要素と、「焙煎」という後天的な要素の掛け合わせとなります。特に「焙煎」は同じ豆でも焼き具合で印象が大きく変わる要素です。ただしどんなに上手く焙煎をしても、元の生豆が持ち合わせる以外の味は出てきません。逆に言えば原料である生豆のポテンシャルが、表現できる味わいの範囲そのものです。

 二つ目のポイント「淹れ方」は、「抽出スタイル」と「レシピ」に分けられます。「抽出スタイル」とはエスプレッソだペーパードリップだといった“抽出の方式、方法”のことですね。それぞれの「抽出スタイル」ごとに固有の味わいがあります。それは元の豆が持っている味の中から、ある特定の味を引き出しているということで、同じ豆でも異なる印象になります。

 また同じ抽出スタイルでも、もう一つの要素「レシピ」によって味わいが変わります。温度や抽出時間、果ては湯の掛け方といった数値化出来ないことも含めて「レシピ」ですね。また例えばペーパードリップ同士でも、ドリッパーを変えると味わいも変わります。もっと瑣末なことを言えば、使うペーパーフィルターの違いでも味わいに変化が起こります。

バイクの味わいを決める大きな要素の一つエンジン。しかしながら、同じエンジンを使用していても車体のセッティングやタイヤで大きくフィーリングが変わります(写真はカワサキ「KLX230S」/オフロードと「KLX230SM」/モタード)
バイクの味わいを決める大きな要素の一つエンジン。しかしながら、同じエンジンを使用していても車体のセッティングやタイヤで大きくフィーリングが変わります(写真はカワサキ「KLX230S」/オフロードと「KLX230SM」/モタード)

バイクとコーヒーの「味わい」は似てる?

 これらのことをバイクのイメージに置き換えると、「豆」は「エンジン」のように感じます。例えば250ccで発生するトルクなり最高出力は、その排気量で自ずと決まってきます。ECUなどの調整で出力の印象は変えられますが、元のエンジンが持つ以上の力は出せないです。

 また抽出スタイルは“オフロード”や“ロードスポーツ”といった違いのようなものでしょうか。具体的にはフレーム設計やサスペンションなどの話に似ていると思います。同じエンジン(豆)を用いつつ、フレームや足回りの設計(レシピ)の違いでオフ車とオンロード車に作り分ける、みたいな。ドリッパーを変えるあたりは、タイヤの変更みたいな感じでしょうか?

 そんなことを踏まえつつ、では実際にバイクの乗り味をコーヒーの味わいで表すとしたら、どんな感じなのか。僕は3つほどのポイントがリンクすると思っています。味わいの印象として一番大きいのは気筒数×回転型だと思います(印象には個人差があります)。

 概ね単気筒、2気筒、4気筒が主流ですが、ざっくりと気筒数が増えるに従い、なめらかさが増す傾向にありませんか? ここには「粗さ加減」という尺度がありますね。もちろん気筒数の要素だけではありませんが。コーヒーにもマウスフィールといって、舌触りのなめらかさという尺度があります。

 もう一つは「力加減」。アクセル開度のままリニアにドン! と出たり、じんわりフラットに穏やかに出たり。排気量とも密接な関係ですが、バイクの用途(街乗り→ツーリング→峠→サーキット)みたいなことも関係する、力強さの尺度です。コーヒーでは味わいの強さを意味し、苦味や酸味に関わらず立ち上がりの鋭さや柔らかさにも置き換えられます。

 あとあえてポイントに加えたいのがバイクの持つ「時代感」です。ストリートファイターなどの現代的なバイクに対し、懐古的なデザインも増えてきました。意匠は乗り味とリンクしていることがほとんどです。コーヒーでも喫茶店文化のようなものから、サードウェイブ的なスペシャルティコーヒーまで、時代感を表す味わいがあります。

 バイクとコーヒーの味わいポイントが何となく繋がってきた所で、次回は手始めに僕のバイクの乗り味を表現する、オリジナルのブレンドコーヒー作りに挑戦してみようと思います。それぞれが持つ味わいを想像力でリンクさせ、果たしてどんなコーヒーが出来るのか?? どうぞお楽しみに♪

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Writer: 黒田悟志

世田谷の自家焙煎カフェDay Drip Coffee店主。自転車ロードバイクに20年ほど乗ってきたが、2年前オートバイに目覚めて自動二輪免許取得。両足2気筒から4スト単気筒へ。昨年はSSTRにも初参加しバイクライフを堪能中。

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