タイヤ選びのアドバンテージ消えるも9位ゴールでポイント獲得 難しい状況で小椋藍選手らしいレースだった

MotoGP第3戦アメリカズGPが、2025年3月28日から30日にかけて、アメリカのサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行なわれました。MotoGPクラスに参戦する唯一の日本人ライダーにしてルーキーの小椋藍選手(トラックハウス・MotoGP・チーム)は、スプリントレース、決勝レースともに9位で終えました。

ルーキー3戦目もTOP10圏内!「課題だらけ」とはいえポイント獲得

 2025年シーズンのMotoGPルーキーの小椋藍選手(トラックハウス・MotoGP・チーム)にとって、第3戦アメリカズGPは難しい週末だったと言えるでしょう。

小椋藍選手(トラックハウス・MotoGP・チーム)【2025MotoGP第3戦アメリカズGP】
小椋藍選手(トラックハウス・MotoGP・チーム)【2025MotoGP第3戦アメリカズGP】

 というのも、初日の金曜日は雨によってウエットコンディションでのスタートとなったからです。

 午後にかけて次第にコンディションは回復していき、午後のセッションの後半はドライコンディション用のスリックタイヤでの走行となりましたが、完全なウエットでもなく、完全なドライでもない路面での走行はライダーを悩ませます。とくにルーキーにとっては、Moto3、Moto2クラスでそのコースを走ったことはあっても、MotoGPマシンでの走行は初めてです。コンディションが複雑になるほど、土曜日のスプリントレース、日曜日の決勝レースに向けた作業は難しくなります。

 こうした状況の中、小椋選手は金曜日午後のプラクティスを14番手で終え、土曜日の予選Q2ダイレクト進出を逃しました(※プラクティスのトップ10がQ2へダイレクト進出となる)。土曜日のQ1は8番手となり、小椋選手はスプリントレース、決勝レースを18番手から迎えることになりました。

 そんな中、小椋選手は土曜日午後、ドライコンディションで行なわれたスプリントレースでポジションを上げてみせます。10周のレースで、18番手からポジションを回復し、9位でゴールしたのです。見事、ポイントを獲得したのでした。難しい週末の中、後方からのスタートでしっかりと順位を浮上させての完走は、小椋選手らしいレースでした。

 小椋選手はスプリントレースについて、「朝は転倒もあって、予選までは少し苦しんだのですが、スプリントでは完全にドライコンディションの中で価値のある10周を走ることができました。日曜日のメインレースに向けて、今日は良い形で終われたかなと思います」とMotoGP.comに語っており、小椋選手自身も悪くないレースだったと考えていたことが窺えます。

 ただ、日曜日の決勝レースは天候に翻弄されました。Moto2クラスの決勝レース中に降っていた雨は、次第に小康状態となっていきました。レース後に小椋選手がMotoGP.comに語っていたところによると、グリッドについてスタートを待っていたとき、小椋選手のマシンはスリックタイヤを履いていたということでした。一方、例えば1列目のライダーたちは濡れた路面用のレインタイヤを装着していました。

小椋藍選手(#79/トラックハウス・MotoGP・チーム)【2025MotoGP第3戦アメリカズGP】
小椋藍選手(#79/トラックハウス・MotoGP・チーム)【2025MotoGP第3戦アメリカズGP】

 しかし、スタート直前に状況が一変します。天候を見てレース中に路面がドライになると判断したポールポジション(予選1番手)のマルク・マルケス選手(ドゥカティ・レノボ・チーム)が、スリックタイヤを履いたマシンに乗り換えるためにピットに走ったのです(※レースはウエットレースが宣言され、ライダーはいつでもマシンの乗り換えが可能とされていた)。

 これを見たレインタイヤ勢の多くはマルケス選手にならい、一目散にピットへと駆け出しました。ピットレーンは混乱状態となり、レースはスタートディレイとなりました。

 再開されたレースでは、全てのライダーがスリックタイヤでグリッドにつきました。これによって、小椋選手が持っていた「スリックタイヤでのスタート」というアドバンテージがなくなったことになります。

 最初からスリックタイヤを履いていたライダーにはアンラッキーなスタートディレイになりましたが、スタート直前のマルク・マルケス選手のマシンの乗り換えは英断でした。これもまた、レースであるとも言えるでしょう。

 レースは当初予定されていた20周から1周が差し引かれた19周で行なわれ、小椋選手はレース中盤以降、10番手付近のポジションを争っていましたが、終盤に前のライダーの転倒が相次いだことで、9位でのゴールとなりました。

「僕たちはスリックを履いていたので、状況的にスタートディレイになってしまって残念でした。チームがせっかく(スリックタイヤという)良い判断をしてくれたんですが、その良い判断からは何もポジティブなものを結果として得られなかったので、状況的に、チームにはほんとに申し訳ないですし……」と、小椋選手はレースを振り返っています。

「レースも、土曜日(のスプリントレース)は自分でポジションを上げていけたのですが、今日は前でのクラッシュがあり、それで上がったポジションです。まだまだ課題だらけですけど、難しいウイークのふたつのレースをトップ10圏内でゴールできたのが良かったことかなと思っています」

 第4戦カタールGPは、ナイトレースです。4月11日から13日にかけて、カタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで行なわれます。

【画像】22人中完走は17人。18番手から追い上げる小椋選手を見る(8枚)

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Writer: 伊藤英里

モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

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