バイク駐車問題解決されず 放置車両確認標章(駐車違反の張り紙)取付件数 首都圏・関西圏で突出
2024年に「放置車両確認標章」(駐車違反の張り紙)を取り付けられたバイクの件数が、警察庁の統計でわかりました。2024年1年間の全国取付件数は前年より約3%減少。都道府県別では首都圏での減少が目立ちました。ただ、駐車場整備の追いついていない都市部での取付件数は突出し、課題が解決していないことを物語っています。
東京都の件数が突出、全国の13県では実績ゼロ
全国のバイク放置駐車車両の「確認標章(駐車違反の張り紙)の取付件数」は、2024年1年間では8万1474件でした。四輪車を含む総件数は約77万件だったので、全体の約10%がバイクの違反でした。

東京都のバイク確認標章取付件数は1万8353件。この数字は、確認標章取付実績がある34都道府県の22%を占めています。全国13県での取付実績はありません。
東京都は全国でもっとも確認標章の取付件数が多く、その数は突出しています。主要な公共施設でもバイクの駐車場が用意されていないことが多く、駐車場法や自転車法が改正されても、駐車環境が改善されていない状況が続いている地域も目立ちます。
一方、国土交通省は駐車場法を改正。付置義務駐車場を設置する要件を緩和しました。今後、四輪車の付置義務のために用意した駐車場台数は減少します。国土交通省都市局は縮小できるスペースをバイク転用も可能であると説明しますが、バイク駐車場増加の追い風とはなっていません。
東京都は四輪車の取付件数でも全国の約29%を占める、19万6275件が摘発されています。
四輪車より摘発が簡単? なぜこれほどバイクは多い
バイクの確認標章取付件数には、四輪車にはない大きな特徴があります。東京都を含む上位6都府県で約7万台。残り1万1000台を、28道県の摘発で積み重ねている形です。
バイクの確認標章取付件数が目立つ主な府県は以下の通り。参考に四輪車の取付件数も並べます。
・神奈川県=1万7497件(7万645件)
・大阪府=1万3903件(9万6218件)
・兵庫県=1万665件(4万1215件)
・埼玉県=5378件(4万1604件)
・京都府=4049件(2万2003件)
東京都を除く5府県の状況には共通する特徴があります。全体の確認標章取付件数と比較して、バイクの摘発割合が極めて高いことです。
駐車環境や交通環境の違いを考えると、都市部ほどバイクが利用されていることは理解できますが、特に兵庫県や京都府では認知された車両の5台に1台がバイクです。
国土交通省都市局は、四輪車の付置義務駐車場を見直す理由のひとつとして、登録台数の減少などによる駐車場需要の低下を挙げています。
一方、バイク駐車場は駐車場法が改正されて18年経過する現在でもユーザーが不足を訴え、バイクイベントでは整備のための署名活動が毎年行われています。
放置駐車車両の確認標章取付件数は、実質上の「駐車違反」件数とされています。2006年6月に道路交通法が改正されて、反則金と反則点数制度に基づく駐車違反に加えて、駐車監視員の民間委託による放置駐車確認制度が導入されたことによる変化です。
現在でも駐車違反として運転者が出頭した場合は反則金処理が行われ、納付金は国庫に収納されます。一方、放置車両として放置違反金を納付した場合は、行政制裁金として都道府県の歳入になります。
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。