「渡し船」が市道の一部!? 松山市でわずか80mの船旅 自転車も乗れる「三津の渡し」と昭和レトロな港町を堪能!!
愛媛県松山市三津浜には、自転車ごと乗れる無料渡船「三津の渡し」があります。レトロな港町でノスタルジックな船旅は、サイクリングにちょっとしたアクセントになります。
港町の風情を味わえる、松山の小さな船旅
愛媛県松山市三津浜は、レトロな町並みが残る港町です。ここではたった80mの小さな船旅を楽しめます。自転車を乗せることができる市営の無料渡船「三津の渡し」に乗ってみました。

三津浜という港町には、私(筆者:才田直人)が訪れるたびについ足を運んでしまう場所があります。それが「三津の渡し」です。
初めて乗ったのは2017年のこと。その後も2022年、2025年と、松山を訪れるたびにフラッと立ち寄り、また乗ってしまうのです。自転車旅の途中で、あえてこの船に乗ると、どこか旅情が深まるのを感じます。
自転車ごと乗れる、市道の船
「三津の渡し」は、正式には「松山市道高浜2号線」の一部で、道路の延長として船が運航しているという、全国でもちょっと珍しい形の公共交通です。
運行は年中無休で、朝7時から夕方19時までの随時運航、しかも料金は無料です。地元の人たちにとっては生活の足でもあり、年間約4万人が利用しているそうです。
この船の魅力は、自転車ごと乗れること。船が対岸に停泊中の時は、乗り場にあるインターホンのようなボタンを押して船を呼びます。
私が利用する時は、いつも写真を撮ったりしている間に船頭さんが気づいて迎えに来てくれました。
船が到着すると、スロープ状の板を渡してくれるので、自転車と一緒に乗船します。座席にはクッションがあり、ちょっとした観光船のような快適さ。内港なので波も穏やかで、揺れることもありません。
船旅はほんの2~3分であっという間に対岸へ。それでも自転車とともに船上で過ごす時間は特別感があります。
昭和の町並みと、三津浜のやさしい時間
三津浜はゆったりとした時間が流れているように感じます。乗船場では、道路のど真ん中でのんびり寝転がる猫に出会いました。ふてぶてしくて、でもどこか人懐こい雰囲気で、まるでこの場所の主のようです。
船頭さんに聞いてみると、その猫は「コンブ」という名前で、お隣の「性西寺」という寺の猫だそうです。運が良ければコンブに出会えるかもしれません。
三津浜の町もまた、散歩していて楽しい場所です。戦災を免れたエリアだけに、古い建物や町家が数多く残っていて、昭和の面影を残すレトロな風景が広がります。
近くには、海を間近に望める伊予鉄の「梅津寺駅」や、航路の守り神とされる「湊三嶋大明神」などの見どころも点在します。自転車で少し足を延ばすだけで、いろんな風景に出会えるエリアです。
三津浜焼きと、地元の味に舌鼓
三津浜と言えば、ぜひ味わいたいのが「三津浜焼き」です。広島風お好み焼きにも似た、そばが主役の一品で、たっぷりのキャベツを使い、外はカリッと中はふんわりとした食感が特徴です。

オススメは地元で人気の店「那須」です。80歳を超える元気いっぱいのおばあちゃんが切り盛りしていて、朝の9時から営業しているのもありがたいところ。夜は常連さんがカラオケを楽しむアットホームな雰囲気で、観光客もあたたかく迎えてくれます。
刺身や揚げ物、焼き魚など日替わりの一品料理も充実しています。ボトルキープの数からも、地元の人たちにどれだけ愛されているかがよく分かります。
「三津の渡し」に乗って、昭和の町並みを散策して「三津浜焼き」でお腹を満たす……それだけで、いつもとはちょっと違った自転車旅になるのです。
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「三津の渡し」の歴史は室町時代までさかのぼります。対岸にあった港山城への物資輸送や、三津浜側の市場に朝食材を届けるための手段として活用されていたそうです。
地元の人に長く愛されてきた「三津の渡し」は、最近では観光スポットとしても知られるようになってきました。
自転車で旅をする人にとって、「三津の渡し」は目的地というよりは「寄り道」のような存在だと思います。古き良き港町の風情に浸る。そしてほんのひととき、海の上をゆったりと渡る……そんな一連の体験が、旅の印象をぐっと深めてくれることでしょう。
Writer: 才田直人
1985年生まれ。学生時代に通学用に購入したロードバイクをきっかけにトレーニングを開始。サイクルロードレースの全日本選手権参戦やフランスでの選手生活、国内での社会人兼選手生活を経て2023年に引退。日本だけでなく東南アジアなど自転車旅をこよなく愛し、現在はワーケーション自転車旅を続けている。専門的な知識と経験でTV出演やヒルクライムイベントのアテンド、講師なども務める。










