ナゼそんなトコロに!? 山頂で望む「天空の鳥居」が映える オススメの自転車ヒルクライム【3選】
空に向けて標高を上げるヒルクライムの先で、鳥居越しに絶景を眺めることができる「天空の鳥居」があります。中でもオススメなのが、「高屋神社」(香川県)、「夷王山」(北海道)、「倉岳」(熊本)の3つです。
そもそも、なぜ鳥居が山頂に?
日本には古来から、山岳信仰や自然崇拝の文化があります。「自然そのものが神」とされる風土により、多くの神社が山中に建立されてきました。
標高の高い場所に建つ鳥居は、「神域」と「人間の世界」を分ける結界の役割を持ちます。そのため、山頂や登山道の途中に鳥居がある場合は、その場所が信仰の対象としての霊域であることを示しています。
空に向けて標高を上げる自転車ヒルクライムの先で、鳥居越しに絶景を眺めることができる「天空の鳥居」があります。
「天空の鳥居」という名称は比較的新しい観光的な呼び名ではあるものの、鳥居そのものは、古くからの信仰心や自然崇拝と通じるものです。
これまで筆者(才田直人)が訪れた多くの「天空の鳥居」の中から、とくにオススメな「高屋神社」(香川県)、「夷王山」(北海道)、「倉岳」(熊本)を紹介します。
その1.「高屋神社」(香川県観音寺市)
香川県観音寺市の稲積山(標高404m)山頂に鎮座する高屋神社本宮には、「天空の鳥居」として名高い絶景スポットがあります。斜面に立つ鳥居の向こうには、観音寺の市街地と瀬戸内海が広がり、晴れた日には遠く伊吹島までも見渡すことができます。

稲積山という名前から、稲積神社(稲積さん)とも呼ばれ、稲の神様として昔から親しまれてきました。最近ではSNSやテレビでも取り上げられるようになり、たくさんの観光客が訪れています。
登坂距離は約6kmで、中間区間の約4kmは10%超の急勾配と緩斜面が交互に現れ、下りや平坦区間はほとんどありません。
平均勾配は9%にも及びます。路面には苔やグレーチングが点在し、とくに雨天時は滑りやすくなるため慎重なライディングが求められます。
セグメント上のピークは実際の鳥居より1kmほど手前にあり、そこから少し下った場所に駐車場と自動販売機があります。土日祝日の午前9時~午後5時は交通規制がかかり、シャトルバス運行となるため、自転車で訪れる際は平日や早朝を狙いましょう。
その2.「夷王山・勝山館跡」(北海道上ノ国町)
北海道檜山郡上ノ国町に位置する夷王山(標高159m)は「医王山」とも呼ばれ、山岳信仰と歴史的遺構の両方が残る貴重な場所です。

中腹には15世紀に築かれた山城「勝山館(かつやまだて)」の跡があり、アイヌとの交易や戦の舞台となった歴史を持ちます。築城者は蝦夷地(現在の北海道南部)における和人勢力の拡大を進めた武田信広とされています。
現在では「勝山館跡ガイダンス施設」が整備されており、発掘された遺構や出土品を通じて中世の蝦夷地文化に触れることができます。施設から徒歩で山頂に向かえば、武田信広を祀る夷王山神社があります。そして目の前に現れるのが、草原の中に立つ鳥居です。その向こうには日本海と、長い海岸線の壮大な風景が広がります。
ヒルクライムルートは3ルートあります。山そのものが低いので、どれも短い登坂になります。路面の状態は良好で、走りやすいのが特徴です。
ヒルクライムの山頂には「北海道夜明けの塔」がそびえ、その背後に風力発電の風車が立ち並ぶ姿は圧巻です。人工物と自然が織りなす景観を目の前にすると、北海道ならではのスケールの大きさを感じることができます。
その3.「倉岳」(熊本県天草市)
熊本県天草市倉岳町にそびえる倉岳(標高682m)は、天草諸島の最高峰です。周囲にこの山より高い場所は存在しないので、360度の大パノラマが広がる山頂は絶景そのもの。

その山頂には、漁の安全を祈願して建てられた倉岳神社が鎮座していて、「天空の鳥居」と呼ばれる撮影スポットが存在します。断崖に立つ鳥居の向こうには、点在する大小の島々と、青く広がる天草灘が広がります。
主なルートは南側からの登坂です。最初は集落内をまっすぐ伸びる道ですが、すぐに九十九折れの山道へと突入し、林道特有の細くタイトな急勾配区間が続きます。そして最後の700mはコンクリート路面の超激坂です。ここを駆け上がる瞬間が、このヒルクライムのクライマックスです。
フィニッシュ地点は小さな駐車スペースとなり、そこから少し階段を登ると、眼前に鳥居越しの絶景が広がります。晴れた日には雲仙普賢岳や天草の各島々が一望できます。
※ ※ ※
「天空の鳥居」へ至るヒルクライムに挑戦し、自らの脚でペダルを踏み続けた先で、鳥居の向こうに広がる絶景を見渡す体験は、きっと忘れられないものになるでしょう。
もし「次はどこを走ろうか」と迷っているなら、空にいちばん近い鳥居を目的地にしてみてはいかがでしょうか。
Writer: 才田直人
1985年生まれ。学生時代に通学用に購入したロードバイクをきっかけにトレーニングを開始。サイクルロードレースの全日本選手権参戦やフランスでの選手生活、国内での社会人兼選手生活を経て2023年に引退。日本だけでなく東南アジアなど自転車旅をこよなく愛し、現在はワーケーション自転車旅を続けている。専門的な知識と経験でTV出演やヒルクライムイベントのアテンド、講師なども務める。









