自転車ユーザーには苦難の時代? 2026年「青切符」導入で取り締まり強化 理想の道路環境とは?

反則金制度、いわゆる「青切符」が自転車にも導入されることになり、原則車道走行がいっそう厳しくなりそうですが、現実的に車道は自転車が走るには障害が多いものです。利用者が安全な道を選べる「ちょうどイイ道路」とはどのような環境なのでしょうか。

「自転車に優しい時代」は、まだ先か……

 日本国内の自転車利用者にとって、現在は苦難の時代と言えるかもしれません。自転車の交通違反に反則金を科す「青切符」による取り締まりが2026年4月からスタートすることが決まっていますが、そこで想定されている113の違反行為の中では「自転車通行可能」の標識がない限り、原則として自転車は車道の左側を走行する必要があり、逆走や歩道走行は違反の対象になるとされています。

自転車にとって逆風の時代、いったいどこを狙って走ればイイ?
自転車にとって逆風の時代、いったいどこを狙って走ればイイ?

 歩行者の安全確保のために必要なルールではありますが、実際に自転車で車道を走っていると、クルマが多い道はプレッシャーを感じ、例え車道の左側に自転車レーンが設置されていてもクルマが駐停車してあって避けるためには大きく膨らまなければなりません……。なかなか厳しい時代です。

 では自転車にとって「ちょうどイイ道路」とはどのような環境なのでしょうか。

 理想としては、完全分離型の道路であることは間違いないでしょう。進行方向に向かって左から歩道、自転車専用通行帯、そして時間制限駐車区間(パーキングチケット)、車両通行帯と並んでいる道路であれば、利用者がストレスを感じることはほぼないでしょう。

 ただ、そんな「贅沢な」道路を用意できる条件が整っている場所はなかなか無く、東京都などの極一部にしか存在しません。

 そこで自転車にとって理想的な道路の条件を整理してみましょう。車道を走る場合、クルマとの距離にゆとりがあると安心です。狭い道路では追い越されるときにヒヤヒヤします。また、予期せぬ対向車とのすれ違いの際も、十分な幅があると余裕を持って走行できます。

 路面状況も重要なポイントです。ガタガタした路面や段差の多い道路は、疲れるだけでなく転倒の危険もあります。綺麗に舗装された道路はペダルも軽く、愛車にも優しい条件です。マンホールの蓋や側溝の格子なども、濡れているときは特に注意が必要な箇所になります。

 交通量については、やはりクルマが少ない道路の方が当然走りやすく、特に大型トラックが頻繁に通る道路は風圧や排気ガスの影響もあり、できれば避けたいところです。

 そして見通しの良さも大切な要素です。カーブの多い道路や坂道では、前方の状況が見えないと不安になります。歩行者の飛び出しやクルマの動きも早めに察知できれば安心というもの。また急な上り坂は体力を消耗し、逆に急な下り坂はスピードが出過ぎて危険です。緩やかなアップダウンくらいが、程よい運動にもなって理想的でしょう。

 道路の種類によって特徴が違ってくることも注意したいところです。住宅街の細い道は交通量が比較的少なく、静かで走りやすく、信号も少ないので頻繁に止まことなく進めるでしょう。ただし住宅の駐車場からクルマが出てきたり、子供が飛び出してくる可能性があります。また道幅が狭いため、クルマとのすれ違いが困難な場合もあります。

 一方、幹線道路は道幅も広く、見通しも良い場合が多いのですが、交通量が多く、大型車も頻繁に通り、信号待ちも多く、排気ガスの影響も受けやすいなどのデメリットがあります。

 サイクリングロードは自転車専用または歩行者と共用なので、クルマを気にせず走ることができますが、設置されている場所が限られ、目的地まで続いていない場合が多いのが現実です。もちろん歩行者との接触にも注意が必要です。

 時間帯もポイントです。朝の通勤帯(7~9時頃)は交通量が最も多くなるので、幹線道路は避けて住宅街の抜け道の活用がオススメと言えそうです。昼間(10~16時頃)は比較的交通量が少ない時間帯なので、普段避けている道路も走りやすくなります。夕方(17~19時頃)は再び交通量が増加します。そして夜間(19時以降)は交通量は減りますが、視認性も視界も悪くなるため、街灯の多い道路を選び、反射材やライトを準備することが大切です。

 季節や天候による道路選びも重要です。雨の日はマンホールの蓋や白線、側溝の格子など、濡れると滑りやすくなる場所は避けるべきでしょう。水たまりができやすい道路や、排水性の悪い道路も避けたいところです。

 夏の暑い日は日陰や木陰のある道路を選ぶと、多少は涼しさを感じて走れます。逆に冬の寒い日は橋の上や高架下、トンネルの出入り口など、凍結しやすい場所は避けるべきでしょう。風の強い日は、高い建物に囲まれた道路は風の影響を受けにくく、逆に川沿いや海沿いの道路は風の影響を受けやすくなります。

 ざっくりと理想的な道路の条件を挙げてみましたが、実際のところ「ちょうどイイ道路」は人それぞれかもしれません。

 通勤で時間を重視する人、景色を楽しみながら走りたい人、とにかく安全を重視する人など、「ちょうどイイ道路」は変わるでしょう。

 ただ、共通して大切なことは「心の余裕」です。人間焦ればどうしても無理な行動をとってしまいがちです。心に余裕さえあれば少しの遠回りで景色を楽しんだり、今まで気づかなかった新しいお店を発見したりなど、自転車ならではの楽しみを見つけることもできます。

「今日はどの道を通ろうかな?」くらいの気持ちで安心・安全なサイクルライフを送りたいと思う一方で、自転車が走りやすい道路事情が整備されることにも期待したいところです。

【画像】いつもドコ見て走ってる? 自転車にとって「ちょうどイイ道路」を見る(5枚)

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