ホンダ電動2輪「CUV e:」で体験!! 充電待たずに30秒でバッテリー交換 電動バイク社会の課題に挑む「ガチャコ」の賢い利用法とは!?
ホンダの新型電動バイク「CUV e:(シーユーブイ・イー)」で、電動2輪車の共通仕様バッテリーのシェアリングサービスを提供する「Gachaco(ガチャコ)」をモーターサイクルジャーナリストの青木タカオさんが体験しました。充電待ち解消の最新事情をレポートします。
充電ではなく交換、電動2輪車の課題解消へ
電動バイクのバッテリー切れを心配する必要は、もうなくなるのかもしれません! バッテリーを充電したくなったら、バッテリー交換ステーションで「ガチャ」と「交換」すれば良いのです。その所要時間は30~60秒ほど。すぐに走り出せるのです!!

充電ではなく、取り換えてしまう。ガソリンスタンドで燃料を給油してきたベテランライダーの世代には、驚くべき発想ではないでしょうか。将来のライダーの姿は、これがスタンダードになるのかもしれません!!
環境にやさしい社会の実現のために、排気ガスを出すガソリン車から電気自動車(EV)に移行する動きが世界で広がっているのはご承知の通りでしょう。
東京都では「ゼロエミッション東京」の実現に向けて、都内で新車販売される2輪車を2035年までに100%非ガソリン化することを目指しています。
しかしバイクの場合、大きなバッテリーを搭載するにはクルマと違ってスペース的に不利で、1回の充電で走行できる距離が短いなど課題は山積みです。
バッテリー切れの不安を解消するため、共通仕様の充電済みバッテリーを充電ステーションに用意し、バッテリーを交換するだけでエネルギー補充できる仕組みを構築しているのが「Gachaco(ガチャコ)」です。
エネルギー企業であるENEOSホールディングスと、本田技研工業、カワサキモータース、スズキ、ヤマハ発動機といった2輪4社がタッグを組み(共同出資)、2022年4月に「株式会社Gachaco(ガチャコ)」が設立されました。
電動2輪車の共通仕様バッテリーのシェアリングサービス提供と、そのためのインフラ整備を目的としています。
スポーツモードで俊敏に走る原2EV
筆者(青木タカオ)はホンダの新型電動バイク「CUV e:(シーユーブイ・イー)」に乗って、実際にガチャコを体験しました。

「CUV e:」は、「Honda Mobile Power Pack e:(ホンダ・モバイル・パワー・パック・イー)」を2個搭載したEVシステムを採用し、定格出力0.98kW、最高出力6.0kWを発揮。定格出力が0.6kWを超え1.0kW以下の電動バイクは原付2種クラスに相当します。
3つのライディングモードとリバースモードが選択可能で、「SPORT」に設定すれば幹線道路でクルマの流れをリードすることもできます。
スペック値を確かめると、最大トルク22Nm(2.2kg-m)をわずか2300rpmで発揮。電動の持ち味である停止時からのダッシュ力があり、スタートの良さを活かして市街地はキビキビ走ります。
一方で、ガソリンエンジンのような高回転域での伸びはなく、最高速は83km/h程度。都市部でコミューターとして使うことを考えれば不満は無さそうですが、もっと交通の流れが速い郊外に出れば違ってくるかもしれません。
航続距離を優先する「ECON」は出力特性が穏やかで、バイクに乗り慣れている人なら発進加速が物足りないと思います。筆者は住宅街など、後続車がいないシーンでのみ使いました。
3つのライディングモードとリバースモードの特徴は以下の通りです。
STANDARD=誰でも安心して扱える出力特性で、出力と航続距離のバランスを保つ
SPORT=最もパワフルでEVならではの力強い加速とスロットルレスポンスの良さを体感できる
ECON=モーターの出力を抑え、他のモードよりも航続距離を伸ばすことができる
REVERSE=後進をモーターでアシストする機能を追加し、狭い場所や傾斜地での切り返しなどでライダーの負担軽減に寄与
スマホアプリがメーター表示され、いざステーションへ
大型の7インチTFTフルカラー液晶メーターに、スマートフォンの専用アプリ「Honda RoadSync Duo(ホンダ・ロードシンク・デュオ)」によるナビゲート画面を表示させることができます。

車両とスマートフォンはBluetoothによって連携し、ハンドル左のマルチセレクションスイッチで直感的な操作ができ、ヘッドセットでのハンズフリー通話やナビゲーション機能などを利用可能としています。
ルート検索では、バッテリー交換ステーションを中継するルートを設定します。ナビに従って進むと、大きなガソリンスタンドの裏手にガチャコのバッテリー交換ステーションを見つけることができました。
バッテリー交換ステーションはGachacoアプリでも検索できるほか、公式ホームページにも地図アプリ連携で紹介されています。
ステーションはドリンクの自動販売機くらいの大きさで、注意していないと気づかないほど街に馴染んでいます。
利用するには会員登録が必要で、契約すると500円硬貨くらいの大きさのICタグが送られてきます。
これをリーダーにかざして本人確認をすることで使用可能となります。3列×4段=12個分のスロットには、10個のバッテリーが収納されていて、2カ所が空いています。
バイクのシートを開け、残量の減ったバッテリーを空いているスロットに差し込むと、自動的に充電がスタート。
ユーザーは充電を待つのではなく、光で知らせてくれる(青い色が点灯しているスロットの)満充電のバッテリーを自分で抜き出して、車体にセットすればすぐに走り出すことができるのです。
ホームページにステーション利用プランでの利用料金シミュレーション機能があるので、試算してみました。
「CUV e:」で片道約10km(約15分)を週5日利用、月間走行距離は約400kmの場合、月額料金(バッテリー2本搭載車種)5060円+ステーション利用料金(消費電力量92.2kwh)9100円=合計1万4160円/月となりました。
なお、東京都の場合、月額1400円を上限に3年間で最大5万円の助成を受けることができます。
初期費用もリーズナブル
株式会社Gachacoの代表取締役社長である渡辺一成さんにいろいろと教えていただきました。まずガチャコのメリットについて、渡辺さんは3つあると言います。

「当社が所有し管理するバッテリーを使っていただくことで、バッテリーと充電器の購入が不要となり、初期費用を大幅に抑えられます」
「バッテリーの寿命を心配する必要がありません」
「充電場所までのバッテリーの持ち運びが不要となり、これがすでに利用していただいているお客様にご好評いただいております」
利用しているのはどんな人たちなのでしょうか。
「個人だけでなく、新聞配達や警備、信用金庫の方々など法人の方にも多く利用していただいています。機器のメンテナンスであったり、フードデリバリーの方々など、幅広くお使いいただいています」
ガチャコの公式ホームページにステーションの設置場所一覧があり、東京では43基、埼玉2基、大阪7基と、まだまだ少ないようです。(※2025年7月30日時点)
ステーションの間隔が利便性を大きく左右するのは明らかです。この点に関して、渡辺社長も「もっと増やしていきたい」と意欲的です。
また、「現在は電動バイクのバッテリー交換だけが対象ですけど、様々な用途で共通仕様のバッテリーを活用することで、社会の電化を押し進める」とのこと。ホンダも2輪だけでなく、軽自動車や農業機械、建設車両、船舶などへの応用も検討しています。
数を増やし普及させるには、自治体の積極的な参加も欠かせないでしょう。東京都では2025年度より、ガチャコのサービス利用料金に関する助成金が新設されました。渡辺社長も「まずは東京、首都圏から」と言います。
ガチャコのステーションが充実すれば、コミューターだけでなく、スポーツモデルのEV化も拍車がかかるかもしれません。今後の動向も注視していきたいと思います。

Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。










