「一時は諦めようかと……」錆が酷いインナーチューブが“ノーマル超え”の再生!? 「東洋硬化」はレストアの強い味方!!

レースや飛行機、グルメなど多方面に造詣の深いライターの後藤武さんが、酷く錆びたフロントフォークのインナーチューブ再生についてレポートします。

ノーマルを超える再生技術

 ライターのゴトー(筆者:後藤武)、旧車が好きなもので、さまざまなバイクをレストアしています。中でも困るのが、フロントフォークのインナーチューブの錆です。

 クロムめっきは、防錆効果だけで見ると万能ではありません。普段から走っていれば錆びることは少ないのですが、長く放置されていると、意外と簡単に錆びてしまうんですよね。

 現在レストアしているカワサキのミニバイク「KM90」も、フロントフォークのインナーチューブがひどく錆びていました。マイナー車種のため、リプロパーツもありません。

 じつは、こういうときの強い味方があります。それが、福岡県久留米市にある「東洋硬化」です。インナーチューブの再めっきでは非常に有名な会社で、ゴトーも過去に何度も作業をお願いしています。

ネットオークションで購入したフロントフォーク。錆がひどく、めっきもめくれ上がっています。おそらく屋外で長い期間放置されていたのでしょう。このままでは使えません
ネットオークションで購入したフロントフォーク。錆がひどく、めっきもめくれ上がっています。おそらく屋外で長い期間放置されていたのでしょう。このままでは使えません

 ただ、今回お願いする「KM90」のインナーチューブは、普通ではない錆び方でした。さすがにここまでひどいと再生は難しいかもしれないなあ、と思いつつも、東洋硬化に持ち込むことにしました。

「これはなかなかひどい錆び方ですね」と笑いながら、早速検査がスタート。最初に確認するのはインナーチューブの曲がりです。見た目では真っすぐでも、測定してみると曲がっているインナーチューブは多いのです。

 実際、過去にゴトーがお願いしたインナーチューブは、どれも微妙に曲がっていました。今回のインナーチューブも1本が曲がっていましたが、プレスで修正していただくことができました。

 ちなみに、この段階で曲がりの修正は0.05mm(5/100mm)以下を目安とします。めっきを厚めにしてから最終的に研削するので、このくらいまで曲がりを修正しておけば、最後の仕上げでまっすぐにできるのです。

 曲がり修正が終わったら、次は下研削をして表面のめっきを剥がします。一般的な再めっきであれば0.2mmくらい削れば済むことが多いのですが、今回のように錆がひどい場合は、削り込んで錆を完全に除去します。

 深い傷などが入っている場合、研削だけでは取り切れないことがあります。そういった場合は、溶接などで肉盛りを行うこともあるそうです。

美しいだけでなく、ニッケルめっきの上にクロムめっきをしているので防錆効果も高くなりました。新品以上の耐久性を確保できたことになります
美しいだけでなく、ニッケルめっきの上にクロムめっきをしているので防錆効果も高くなりました。新品以上の耐久性を確保できたことになります

 下研削が終わったら、いよいよめっきです。錆がひどくなければ、ここでクロムめっきをかけますが、今回のように錆がひどい場合は、研削量が増えるため、めっきも厚くなってしまいます。

 フロントフォークのクロムめっきは非常に硬いため、膜厚が増えすぎるとひび割れが生じる可能性があります。そういう場合は、下地としてニッケルめっきを施します。ニッケルめっきは柔軟性があるため、厚くめっきをするのに適しているのです。

 ニッケルめっきが終わったら、中間研削を行います。最終的にクロムめっきを適切な膜厚にし、仕上がり寸法に整えるためには、この中間研削での精度が重要です。

 この後、マスキングしてクロムめっきを施したら、仕上げ寸法まで研削し、バフ仕上げをして終了です。

 こうして「KM90」のインナーチューブは蘇りました。一時は諦めようかと思っていたほどひどい錆だったとは、とても思えません。再めっきする場合は、研削してからめっきで元の寸法に戻すため、めっき層が厚くなります。

 そのため、防錆性能なども向上することになります。まさにノーマルを超える再生技術。これで今後のレストア作業にも気合が入るというものです。

 ちなみに東洋硬化では、インナーチューブやリアショックロッドへの硬質クロムめっきに加え、ハードコーティングやイオンプレーティングを施すことも可能です。

「性能は上げたいけれど、これ見よがしに目立つのはちょっと……」と考えているのであれば、落ち着いたカラーもあります。これなら一見純正風なのに、高性能なサスペンションにすることができるわけです。

 単なるレストアではなく、新車以上の性能を追求したいというのであれば、東洋硬化に相談してみてはいかがでしょうか。

■取材協力=(株)東洋硬化

【画像】もはや新品以上!? ひどい錆から再生されたピカピカのインナーチューブを画像で見る(17枚)

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Writer: 後藤武

クラブマン誌や航空雑誌の編集長を経て現在はバイク、食、飛行機などのライターと
して活動中。飛行機とヘリの免許を所持しエアレースのTV解説も担当していたことも。2スト、旧車、V8のアメ車など多数所有。

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