“じゃない方”のカワサキ最新「Z900」900SUPER4(Z1)から続く伝統の“マジック9”が飛躍的進化!! パンチの効いた加速トルクも電スロで扱いやすい!!

カワサキ「Z1」をオマージュし、レトロスポーツモデルに仕立て直した『Z900RS』は2017年に登場して以来、爆発的ヒットを続けていますが、そのベースとなったのが『Z900』です。実力派のスーパーネイキッドは新型へ進化。バイクジャーナリストの青木タカオさんが試乗し、開発陣にもお話を聞きました。

電スロ&6軸IMU採用で電子制御が拡充!

「スポーツ」「ロード」「レイン」の3つのライディングモードから「スポーツ」を選べば、強烈なダッシュが味わえます。

 アクセルをさらに大きく開けようものなら、直4エンジンらしい伸びやかなサウンドがライダーを包み込み、高ぶる気持ちをもう抑えきれません!

 低中速からのトルクの立ち上がりが鋭い、スーパーネイキッドらしいパンチの効いた加速感はそのままに、新型『Z900 SE』はスロットル操作への反応がより繊細で、ライダーの意図する通りに操れます。

カワサキ「Z900 SE」2026年モデルに乗る筆者(青木タカオ)
カワサキ「Z900 SE」2026年モデルに乗る筆者(青木タカオ)

 開け始めでもギクシャク感がなく、低開度でのコントロール性に優れるのは、電子制御スロットルを新採用したことによる賜物です。

 また、ライダーとの意思疎通がより緻密になっただけでなく、クルーズコントロールや双方向アップ&ダウン対応のクイックシフターといった新機能も新たに追加装備されています。

 ボッシュ製6軸IMU(イナーシャル・メジャーメント・ユニット=慣性計測装置)を搭載したことで、トラクションコントロールとパワーモードを連携した包括的なモードセレクト機能が飛躍的に進化していることも見逃せません。

 クイックシフターは1500rpmという低回転から作動し、低速走行時を含めて実質全域でシフトチェンジをサポートしてくれるようになりました。

カワサキ「Z900 SE」2026年モデルと筆者(青木タカオ)
カワサキ「Z900 SE」2026年モデルと筆者(青木タカオ)

 シフトペダルの操作を検知すると、加速時は点火/燃料カット、減速時はエンジン回転制御の信号をECUに送信し、クラッチ操作なしに次のギヤへシフトチェンジ(アップ&ダウン)できます。

 また、クルーズコントロールシステムは、手元の「+」と「-」のボタンで速度設定の変更がセット後もでき、ブレーキ/クラッチレバー、リヤブレーキ/シフトペダルいずれかの操作をおこなうことで解除されます。また、スロットル全閉からさらに閉じる操作や、トラクションコントロールの大きな介入があった場合にも自動的に解除される優れものです。

由緒正しきマジック9の系譜

『900 Super Four(Z1)』から『GPZ900R』、そして『ニンジャ ZX-9R』を経て、脈々と受け継がれてきたカワサキ“マジック9” (カワサキ製900ccクラスのモデルのナンバリング)の系譜は現在、Z900シリーズへバトンが渡されています。

『900 Super Four(Z1)』(左上)から『GPZ900R』(右上)、そして『ニンジャ ZX-9R』(左下)を経て、脈々と受け継がれてきた “マジック9”の系譜。現在はZ900シリーズへと受け継がれ多くのユーザーから支持を集めています
『900 Super Four(Z1)』(左上)から『GPZ900R』(右上)、そして『ニンジャ ZX-9R』(左下)を経て、脈々と受け継がれてきた “マジック9”の系譜。現在はZ900シリーズへと受け継がれ多くのユーザーから支持を集めています

 ストリートファイタースタイルの次世代Zシリーズは、600クラスの軽量ボディに『ニンジャ ZX-9R』の953cc水冷4気筒エンジンを搭載し、2003年にデビューした『Z1000』から始まりました。

 常にファイティングポーズをとり続けるようなスタイリングとライディングポジションで、見た目も乗り味も超過激。既存の国産ネイキッドとは一線を画す新機軸を打ち立て、新たなるジャンルを構築し、シーンをリードし続けています。

カワサキ「Z900 SE」2026年モデル
カワサキ「Z900 SE」2026年モデル

 現行のZ900シリーズは、2004年に登場した『Z750』をルーツにします。2013年に『Z800』へと進化を果たし、2018年にはその後継機種として『Z900』が誕生しました。

 このとき、鋼管バックボーンフレームを新設計の鋼管トレリスタイプに刷新し、『Z800』では231kgだった車体重量を210kgにまで軽減。圧倒的な軽さから、俊敏なフットワークが生み出されます。

Z900RS“じゃない方”

 2017年秋の東京モーターショーでは『Z900RS』が公開され、同年12月に発売されると瞬く間に大人気となったことは、バイクファンになら説明するまでもないでしょう。初代“Z1”を彷彿とさせる火の玉カラーは、入手困難となるほどの爆発的ヒットに至りました。

カワサキ「Z900 SE」2026年モデル。ネオクラシック路線の『Z900RS』とはあらゆる面で差別化が図られています
カワサキ「Z900 SE」2026年モデル。ネオクラシック路線の『Z900RS』とはあらゆる面で差別化が図られています

『Z900』はそのベースモデルであり、言うならば“じゃない方”なのですが、真の実力の持ち主として、ツウを唸らせている存在とも言えるでしょう。

 見るものを魅了するデザインと五感を刺激する乗り味は、「Sugomi(凄み)」コンセプトとネーミングされ、ネオクラシック路線の『Z900RS』とは差別化が図られています。

 2020年には新しいデザインのヘッドライトに、LEDポジションランプを追加装備。シュラウドや燃料タンクカバー、アンダーカウル、スイングアームピボットカバーなどをコンパクトにしました。電子制御装備も拡充するモデルチェンジを果たしています。

 2022年には、オーリンズのS46リヤショックやブレンボのラジアルマウントキャリパーなどで足まわりを強化した『Z900 SE』も登場しました。

開発陣も胸を張る完成度

 今回乗ったのは、発売されたばかりの新型『Z900 SE』です。『Z900』がそうであるように、エンジンやフレーム、足まわりにも手が入り、3眼ヘッドライトを採用するなど、デザインも全面リニューアルされています。

カワサキ「Z900 SE」2026年モデル。3連のLEDヘッドライトは、上部2つがロービーム、下部がハイビームとして機能
カワサキ「Z900 SE」2026年モデル。3連のLEDヘッドライトは、上部2つがロービーム、下部がハイビームとして機能

 低く構えた姿勢や低い位置のヘッド、跳ね上がったテールは継承され、先鋭的なスタイルやダイナミックなクラウチングフォルムによる「Sugomiデザイン」を構築しています。

 3連のLEDヘッドライトは、上部2つがロービーム、下部がハイビームとして機能します。ヘッドライト全体をアイシャドウのように見える黒いパーツで縁取り、鋭い表情を生み出すことで「Sugomiスタイリング」を際立たせました。

 よりショート化されたシートカウルは、LEDを採用したテールライトが浮いているように見えるフローティングデザインが採用されています。フロントからリヤにかけて、走行風が流れるイメージがつくられ、Z900/SEのコンパクトで俊敏な印象が強調されました。

カワサキ「Z900 SE」開発リーダーの水川照章さん
カワサキ「Z900 SE」開発リーダーの水川照章さん

 先述した通り、新型は電スロ化に加え、6軸IMUを得たことで電子制御の進化が目覚ましいのですが、開発リーダー(カワサキモータース株式会社MCディビジョン第一設計部第二課)の水川照章さんは「車体もつくり込みました」と、胸を張ります。

「高張力鋼トレリスフレームは、ヘッドパイプ背面にあるガセットを変更し、剛性バランスを見直しました。シートフレームのまたがり部はよりスリムになり、足つき性を良好にしています」と、教えてくれました。

カワサキ「Z900 SE」に跨る身長175cmの筆者(青木タカオ)。シートフレームのスリム化などにより良好な足つき性を実現しています
カワサキ「Z900 SE」に跨る身長175cmの筆者(青木タカオ)。シートフレームのスリム化などにより良好な足つき性を実現しています

 じっくり見ると、シートレールは水平に近い角度で、シートの厚みを確保しつつ、足つき性を向上しているのがわかります。

 そして、新作のシートは前側がスリムで、後部をワイドな形状としつつ、ウレタンを厚くすることで、座り心地を向上させていることにも気づきます。左右のシート端が丸みを帯びた形状なので、足を地面へおろしやすいと感じました。

ナビをメーター表示できる

 5インチに大型化したフルデジタルTFTカラー液晶メーターは、背景色の自動選択機能(黒/白)や、画面の自動調光機能を備えています。表示モードは2種類から選択でき、タイプ1はバー形式のタコメーターを上部に配置。タイプ2は六角形のタコメーターの中央に、航空計器を模した姿勢指示器スタイルでリーン角を示します。

カワサキ「Z900 SE」2026年モデルのカラー液晶メーター。スマートフォンアプリ「RIDEOLOGY THE APP」と連携することで次の分岐点の方向と距離を簡潔に示すターンバイターンナビゲーションの表示も可能です
カワサキ「Z900 SE」2026年モデルのカラー液晶メーター。スマートフォンアプリ「RIDEOLOGY THE APP」と連携することで次の分岐点の方向と距離を簡潔に示すターンバイターンナビゲーションの表示も可能です

 また、スマートフォンアプリ「RIDEOLOGY THE APP」と連携することで、次の分岐点の方向と距離を簡潔に示すターンバイターンナビゲーションの表示ができるのも先進的としか言いようがありません。インカムを使えば、音声コマンド機能も利用できます。

デザイナーがこだわったのは上質感

 メタリック調のライムグリーンに彩られた軽量なトレリスフレームに、排気量948ccの水冷DOHC4バルブ直列4気筒エンジンを搭載した『Z900 SE』の新型は、目の当たりにすると上質感がものすごくあります。

カワサキ「Z900 SE」のスタイリングデザイナーを務めた澁田 祐さん
カワサキ「Z900 SE」のスタイリングデザイナーを務めた澁田 祐さん

 それをスタイリングデザイナー(カワサキモータース株式会社企画本部デザイン部スタイリング一課)の澁田 祐さんに伝えると、「シュラウドなどにアルミのパーツを使い、プレス成形によって曲線を描き、アルマイトの美しい素地を見せるなど、こだわりました」と、話してくれます。

上質感にこだわったカワサキ「Z900 SE」2026年モデル。ヘアライン加工のアルミ製シュラウドなど、各部からは拘りが感じられます
上質感にこだわったカワサキ「Z900 SE」2026年モデル。ヘアライン加工のアルミ製シュラウドなど、各部からは拘りが感じられます

“Z”ロゴが刻印されたヘアライン加工のアルミ製シュラウドは、金属の質感を際立たせ、全体の高級感を高めています。フューエルタンクカバーとニーグリップカバーも、金属のフレームを強調する造形です。タンクキャップはボルトが隠れる設計とし、スタイリッシュな外観にこだわっていることが、細部からも伝わってきます。

 マットシルバーのメタルパーツを配置したキーシリンダー周りや、シート上部に配されたカワサキ・メタルオーナメントなどが洗練された質感をもたらし、こうしたディテールがオーナーの所有欲を満たすのは間違いありません。

【画像】走りも外観もより上質に!! カワサキ「Z900 SE」2026年モデルを画像で見る(30枚以上)

画像ギャラリー

Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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