推しチームの勝負に「呼吸して!」と自分に言い聞かせる夜!! FIM世界耐久選手権(EWC)最終戦「ボルドール24時間耐久ロードレース」を現地観戦〜小野木里奈の○○○○○日和〜

今回の『小野木里奈の○○○○○日和』は、バイク好き女優の小野木里奈さんが訪れたFIM世界耐久選手権(EWC)最終戦「ボルドール24時間耐久ロードレース」を現地観戦レポートです。

世界耐久選手権の最終戦の結果やいかに!!

 皆さん、こんにちは! バイク好き女優の小野木里奈です。

 今回はフランスのポール・リカール・サーキットで開催された「ボルドール24時間耐久ロードレース」を現地観戦してきました。本日の○○○○○日和は「観戦日和」。初心者の方にもわかりやすく、あの熱をそのままお届けします。それでは、いってみましょう!

FIM世界耐久選手権(EWC)最終戦「ボルドール24時間耐久ロードレース」を現地観戦した小野木里奈さん
FIM世界耐久選手権(EWC)最終戦「ボルドール24時間耐久ロードレース」を現地観戦した小野木里奈さん

 まず簡単に、耐久レースとは“1チームにつき1台のバイクで、決められた時間の中、周回数を競うレース”です。短距離勝負の速さとマシンを極限までどう扱うかをとにかく求められるスプリントと違って、速さだけでなく「転ばないこと」「燃費」「夜間の集中力」「チームワーク」など総合力が問われます。

 世界選手権となるFIM世界耐久選手権(EWC)は、今回観戦に行ったボルドールが最終戦。ここで年間ランキングが決まる大一番です。耐久レースの基礎知識をもっと知りたい方は、ぜひ過去に執筆したル・マン24時間耐久ロードレースの記事を読んでみてください。

 今回の旅程は、パリのシャルル・ド・ゴール空港からマルセイユ空港へ飛び、そこから車で約1時間かけてキャステレ村のポール・リカールにサーキットへ向かいます。今回は友人の協力でサーキット~ホテル~空港の送迎もばっちり。でも次は自分自身でレンタカーデビューもしてみたいな、と密かに計画中です。

 ポール・リカールは、長いホームストレートと、青・赤のストライプの広いランオフが印象的なサーキット。グランドスタンドの客席からも比較的コースが近くて視界が開けているので、初めてでもコースの“どこで何が起きているか”を追いやすく、観戦もしやすい方だと思います。

 私が現地入りしたのは、現地時間9月18日(木)のナイトプラクティス(夜間の練習走行)から。決勝だけでなく、フリー走行や予選、ピットウォークなどレース期間を通じて楽しめるイベントがたくさんあるのが耐久の魅力。

 4月に行われたル・マン24時間の開催時には街中パレードがありましたが、ボルドールにはそれは無し。その代わり、サーキット内の出店はル・マンより規模が大きく感じられて、メーカーの車両展示も豊富! 私はついついバイク柄Tシャツとアクセサリーをお買い上げ……こういう“戦利品”も遠征の楽しみですよね。一生の思い出に残ります!

ホスピタリティ・テントは、もはや“仮設”の域を越えてる!?

 そしてもう一つ、現地で印象的だったのがホスピタリティ・テント。各チームが仮設テントを建てて、食事やミーティング、スポンサーさんをお迎えしたりなど、チームの方々がコミュニケーションをする場所です。

FIM世界耐久選手権(EWC)最終戦「ボルドール24時間耐久ロードレース」を現地観戦した小野木里奈さん。現地では本場のサングリアを味わいました
FIM世界耐久選手権(EWC)最終戦「ボルドール24時間耐久ロードレース」を現地観戦した小野木里奈さん。現地では本場のサングリアを味わいました

 といっても“仮設”の域を超えていて、専属のシェフを雇ってビュッフェ形式にしているチームも。温かい料理の湯気、焼き立ての香り、色とりどりの前菜が並ぶ様子は、まるで街のビストロ。

 レースの合間には、チーム関係者やゲストがグラスを手に談笑する穏やかな時間も流れます。私もワインの本場、ヨーロッパの手作りサングリアを頂きましたが、日本で飲んだことがない美味しさでした!
コース上は一瞬の判断を争う真剣勝負なのに、テントに戻ると笑顔とリラックスした空気。“戦う”と“もてなす”が同居する空間が、耐久レースの豊かさを物語っていました。競技をしながらも、皆さん本当に楽しそうに過ごしていて、その姿がとても印象的でした。

FIM世界耐久選手権(EWC)最終戦「ボルドール24時間耐久ロードレース」を現地観戦した小野木里奈さん。リタイアも増える難関の時間帯、ナイトランも見どころのひとつです
FIM世界耐久選手権(EWC)最終戦「ボルドール24時間耐久ロードレース」を現地観戦した小野木里奈さん。リタイアも増える難関の時間帯、ナイトランも見どころのひとつです

 今回の推しチームはSST(スーパーストック)クラスの「Kaedear-Dafy-RAC41-Honda」。『バイクのニュース』でもお馴染み、石塚健選手が所属するチームです。初心者の方にもおすすめなのが、推しライダーや推しチームを決めて観ること。ストーリーが一気に自分ごとになって、レースが何倍も面白くなります。24時間耐久ロードレースの場合は、24時間ずーっと一喜一憂するので、この振り回される興奮をぜひ味わっていただきたい!!

 2回の予選を終え、推しチームはSSTクラス5番手スタートから決勝へ。決勝は20日(土)15時スタート~21日(日)15時フィニッシュの24時間、周回数で勝負。スタートは耐久レース名物のル・マン式スタート。コース脇からマシンへ駆け寄る瞬間の緊張感は、何度見ても鳥肌ものです。

 耐久レースでは、ライダーの走りだけでなくピット作業(ピットワーク)も重要です。給油、タイヤ交換、ライダー交代……1回1回が勝負所。時計の針が深夜へ進むほど疲労は重なり、ピット内でメカニックスタッフが睡眠を確保する姿も見えます。

 一方で、交代のタイミングは一気に空気がピンっと張り詰めて、とんでもない集中力でピット作業を行なっているのを肌で感じます。

 6時間経過頃、チームは不運なペナルティなどもありSST6位へ後退。それでも慌てず淡々と、自分たちのペースを守り、中間時点ではなんと3位まで再浮上! 改めて、耐久は“最速”より“強さ”だと実感しました。速さのムラを作らず絶対に転ばないこと、燃費よく走ること、その積み重ねが勝利に繋がります。

 そして夜。24時間ならではの長いナイトランの中、観客席はライトの列がスッと伸びていく幻想的な時間に突入。一方で、ここはリタイアも増える難関の時間帯。祈るような気持ちで周回する姿を見守ります。朝焼けの気配が見えた瞬間、あの青いサーキットが少し違って見えてくるのです。24時間サーキットにいると、同じ場所でありながらも色んな顔をしたサーキットの景色が見られ、その光景が本当に美しいです。

 残り約2時間、ついに推しチームはSST2位へ浮上! 3位と僅差の攻防が続き、手に汗を握るラストスティント。私は気づけば肩に力が入り涙まで出てきてしまい、「呼吸して!」と自分に言い聞かせるほど(笑)。耐久レースは後半になればなるほど、何が起こるかわからないのでまだ泣くタイミングではないのに、それでも感情がどんどん入り混じってくるのです。

 そしてついに、SSTクラス2位、総合4位でチェッカー! なんと、年間ランキングもクラス2位で、どちらも表彰台へ。24時間の重みが一気にこみあげて、皆さんが全身で喜び合っている姿を間近で見てまた胸が熱くなりました。

 耐久レースは、マシンと人が一緒に持久走をしているようなスポーツ。速さを競いながら、壊さない・転ばない・燃やしすぎない、そんな相反する要素を、チーム全員の知恵と技術で“ちょうどよく”まとめ上げる。24時間後に見える景色は、単なる勝敗以上のものです。

 これから耐久レースを観に行ってみたい初心者の方へ。
1.期間全体を楽しむ(フリー走行・ナイトプラクティス・ピットウォーク・予選)
、2.推しを決める(ゼッケンとカウルカラーを覚えると追いやすい)、3.夜も観る(寒暖差対策を忘れずに!)。この3つを抑えるだけでも、観戦体験がぐっと深まりますよ。

 24時間後、表彰台で笑うチームを見て、「現地からもっとこの熱を伝えたい」と心から思いました。次はあなたの推しと一緒に、夜明けを待ってみませんか? それでは、また次の月曜日にお会いしましょう。

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