ホンダ横型エンジン「北米仕様」のモトスポーツ「SL70」 欠品していたサイドカバーをワンオフ製作!!

スポーツスクランプラーとして大人気モデルだったホンダ「SL」シリーズ。その末弟は、実は北米輸出専用モデルとして発売され、横型エンジンを搭載していた70ccモデルの「SL70」でした。輸出仕様のスーパーカブを里帰りさせようと思った際に、偶然見つけた「SL70」(ボロ車)をついでに里帰りさせましたが、これがレストアベースとして楽しそうな素材でもありました。【VOL.06】の今回は、欠品していたサイドカバーのワンオフ方法とその進め方をリポートします。

樹脂部品の試作経験が豊富なバイク仲間へ相談

 絶版車や旧車を購入しようと考えた時に、一番ありがたいのが「欠品部品が無い」コンディションだと思います。どんなにボロ車でも、仮に、部品がサビで朽ち果てようとしていても、おおよその部品形状が分かるだけでも、後々のレストアに於いては参考になります。

 まったく部品が無い状態から欠品部品を作り出すのと、少なからず参考になる部品がある中で部品作りをするのとでは、正直言って「雲泥の差」です。

 ここでは、ホンダの北米輸出専用モデルとして1970年代初頭に発売された、ホンダ「SL70」用左側サイドカバーをワンオフしようと思います。同時に里帰りさせた「SL70(K1)」には、純正サイドカバーが装備されていましたので、マスターとなる型作り用にその左サイドカバーをお借りして「型取り」させて頂くことになりました。

型取りするにもマスター型が必要不可欠。同タイミングで里帰りさせた友人が所有する「SL70(K1)」からサイドカバーをお借りしました。ホンダ「SL70」シリーズ(最終的にはXL70シリーズへ派生)は、国内販売されなかった珍しいモデルです
型取りするにもマスター型が必要不可欠。同タイミングで里帰りさせた友人が所有する「SL70(K1)」からサイドカバーをお借りしました。ホンダ「SL70」シリーズ(最終的にはXL70シリーズへ派生)は、国内販売されなかった珍しいモデルです

 仮に、FRP樹脂でワンオフ部品を製作する際には、マスターとなる純正サイドカバーを磨き込んでワックス掛けを繰り返して、離型フィルムを塗布してからメス型作りに取り掛かる段取りになります。

 現状のペイントにダメージを与えたくない際には、サイドカバーをアルミ箔などで丁寧に包んでから、前述したやり方と同じように型取り作業に入る段取りになります。

 今回は、FRP樹脂を使わず「ABS樹脂の素材板」に熱を加えて曲げ、サイドカバー形状をコピーする製法になりました。

 部品作りを相談したバイク仲間の板橋さんは、自動車メーカーデザイン部門の協力会社で、モーターショー出品車や新機種用樹脂部品作りを担当していた人物です。現在は独立して、『モデルクリエイトマキシ』を主宰しています。

「石膏(せっこう)でサイドカバーの内側を型取りしようと思います。見たことが無い方が多いと思いますが、たいへんユニークな製法ですよ」とは板橋さん。

 どうやらサイドカバーの内側に石膏を流し込んで型取りを進め、その型にやわらかくなったABSの樹脂板を押し付けて成型する製法らしいです。

 何となく内容は理解できますが、果たしてそんなことが本当にできるものか? 正直なお話し、作業が進んでいくまでは半信半疑でした。

ユニークなワンオフ製作、詳細は今後もリポートします!!

 板橋さんの言葉に嘘偽りは無く、驚くほどユニークな作業手順でサイドカバーは完成しました。

サイドカバーのワンオフで一般的なのはFRP樹脂成型による方法です。ここではメーカー純正の量産部品と同じABS樹脂の素材板に熱を加えて曲げて製作します。いずれにしても型作りが肝心です。まずは「石膏」を利用して型取りから開始です
サイドカバーのワンオフで一般的なのはFRP樹脂成型による方法です。ここではメーカー純正の量産部品と同じABS樹脂の素材板に熱を加えて曲げて製作します。いずれにしても型作りが肝心です。まずは「石膏」を利用して型取りから開始です

 サイドカバーは「ポリバケツ色」へのペイントを終え、車体周りのレストア&組み立て作業が進むのを待っている状況です。

 大型の温風乾燥機が無くては作業ができないのかと言えば、決してそうではありませんとは板橋さん。

「自動車板金屋さんで使われている灯油燃料のジェット型ヒーターがあれば、何とかなると思います。コンパネで作った仕切りの中に素材板をセットして、ヒーターで温めることで、同じような作業ができます」

 ワンオフのサイドカバーや樹脂成形部品を作ってみたいと考えている方は、是非、今後リポートする製法手順を参考に、チャレンジしてみてください。FRP造形だけではなく、ABS製部品作りも可能です。

【画像】手法はイロイロ!? 欠品パーツの再現に重要な「型作り」を画像で見る

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Writer: たぐちかつみ

フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。

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