開発中の「月面探査用電動バイク」がメチャカッコイイ! “二輪駆動”で「転ばないバイク」を目指している! 宇宙飛行士の土井隆雄氏からも高評価の「Luna Rider-1」とは?
電動バイクに造詣の深い近藤スパ太郎が、電動の月面バイク「Luna Rider-1」について解説します。
ユニークな構造の先進モビリティ
こんにちは! 先進モビリティに興味津々の近藤スパ太郎です。 特に電動モビリティは、走行に必要なモーターやバッテリー、コントローラーなどのサプライヤーが多くあり、これらを活用することで異業種からでも新規参入がしやすい特長があります。
今年の東京モーターサイクルショー(2026年3月27日~29日開催:東京ビッグサイト)の「オーヴァーレーシングプロジェクツ」のブースにも、既成概念にとらわれない自由な発想で作られた電動の月面バイク「Luna Rider-1」が展示されていました。
このバイクは、アメリカが主導し日本を含む30ヶ国以上の国際協力体制のもとで進められている持続的な月探査プログラム「アルテミス計画」の中で、2030年代に計画されている月面での長期滞在型で探査を行う際の、探査車両としての採用を目指して目下開発中の車両です。
月面はレゴリス(細かな砂)や無数のクレーターに覆われた荒野で、重力は地球の約6分の1。大気がほとんど無いため、昼は110℃、夜は-170℃と、昼夜の温度差が280℃以上もあるとても過酷な場所です。

月面バイクプロジェクトの企画・発案者で、デザインと基本設計を手掛けたデザイン制作事務所RIDE DESIGN代表の濱田浩嗣さんに話しを伺うと、この月面バイクは、濱田さんが2014年から手掛ける「転ばない電動バイク」構想が発展したもので、RIDE DESIGNが進めるEVプロジェクトのひとつなのだそうです。
「転ばない電動バイク」は、前後のタイヤにインホイールモーターを搭載して二輪駆動にし、路面状況に合わせて前後の駆動力を最適にコントロールすることで、スリップせず転ばない電動バイクを実現するプロジェクトです。
一方で、月面探査車両は四輪車や大型ローバーなどが開発されていますが、これら大型車両では探索が難しい場所もあり、機動力はバイクが有利。 さらに月までの打ち上げコストが1kg当たり1億円以上といわれる宇宙開発では、軽量でコンパクトなバイクは、大きなメリットがあると着目したそうです。
レーシングバイクの製作と参戦の実績を持つオーヴァーレーシングが車体製作を担当した試作車は、ラテン語で月を意味するLuna、プロトタイプ1号であることから「Luna Rider-1」と名付けられました。
月へ飛び立つ狭い船内に積むために、分解や組み立てがしやすい前後片持ちサスペンション構造、分厚いグローブの宇宙服でも操作性の良さ、ポジションの自由度を考慮した独自形状のブルホーンタイプのハンドルバーを搭載し、トラスフレームの中には、着脱式のバッテリーやコントローラーを収める構造です。
車両は軽量化と日中の110℃の高温に耐えるため、金属素材を主としたパーツ構成で、片持ちサスペンションやスイングアーム、フェンダーもアルミ製、折畳み式のシートもアルミですが座りやすさにも配慮。フレームとハンドルには、軽量かつ高強度なチタンを使用しています。
探査の為の実用性や機能面だけでなく、濱田さんがプロダクトデザイナーとして、バイクとしてのカッコ良さや存在感にも拘ったデザインであることも、ヒシヒシと感じますよね。
実はこの月面バイク「Luna Rider-1」は、EXPO 2025 大阪・関西万博 大阪ヘルスケアパビリオンでも展示され、宇宙飛行士の土井隆雄さんも跨り、好評価を頂いたそうです。
さらに、RIDE DESIGNの月面バイクプロジェクト構想は、今年1月に鳥取県が主催した「星取県宇宙ビジネスアイデアコンテスト」で優秀賞を受賞し、他にも経産省や総務省などが開催するコンテストでも数々の受賞をしています。また過酷な環境で使用する月面バイクの技術は、地球上での災害現場用バイクにも応用できると濱田さんは話します。
ですが現状では「Luna Rider-1」はまだ完成車両ではなく、過酷な月面を走るために今後の開発の課題がまだまだ多くあるそうです。 例えば、現在はゴム製の極太の空気タイヤを履いていますが、大気が無い月面で空気タイヤは使えません。

過酷な月の環境に耐えるバッテリーをどうするのかも大きな課題のひとつ。自分たちで開発する方法、他の研究者や企業とタッグを組むなど、ありとあらゆる可能性を模索しているそうです。
でも大手企業ではないスタートアップが、月面バイクや、転ばない電動バイクを開発している夢あるチャレンジスピリットは、ぜひ成功して欲しいですよね!
鳥取砂丘は、砂地が月面の環境に似ていることから、月面探査車両のテスト走行ができる月面実証フィールド「ルナテラス」があります。ここで進化した「Luna Rider-1」が走る様子を見たい! と思うのはボクだけではないと思います。
今後もRIDE DESIGNの月面バイクプロジェクト、EVプロジェクトを見守りたいですね!

Writer: 近藤スパ太郎
タレント/プロデューサー。ハーレーでルート66を全走破してアメリカ大陸横断。ロシアンラリー二輪部門出場、チベットチョモランマツーリングなど芸能界きってのバイク好き。芸名はバイク好きでも知られていた伊丹十三監督から、映画「スーパーの女」に出演した際に命名された。
環境番組のパーソナリティを担当して以来、電動モビリティや環境を配慮した次世代モビリティ、環境問題にも興味津々。
俳優・MC・リポーターのほかWeb メディアSPANGSS や、芸能・制作プロダクションSPANCHOOS の代表も務める。

























