バイクの運転免許 昔と今では「限定解除」の意味が違う!? コロコロ変わった免許の区分 もはやステータスではない
バイクの免許に関する用語(?)に「限定解除」というコトバがあります。意味的には昔から変わりませんが、ライダーのジェネレーションによって、かなり受け止め方が異なるのではないでしょうか。
限定免許の「限定」を外す
バイクの運転免許証は、現在は全部で7種類あります。エンジンの排気量とMT(マニュアル・トランスミッション)、AT(オートマチック・トランスミッション)で運転できる区分が細かく分かれています。
免許の名称をよく見ると、「限定」の文字があります。そして実際の免許証では、例えば「小型限定普通自動二輪免許」の場合は、免許証表面下段の「種類」の欄に「普自二」(省略されているので少々解りにくいが)と記載されるとともに、中段の「免許の条件等」の部分に「普通二輪は小型二輪に限る」と記載されます。そしてもちろんですが、免許に記載された区分のバイクしか運転することができません。

それでは、「小型限定普通自動二輪免許を取得してホンダのグロム(排気量125ccクラス)に乗っているけれど、次は250ccクラスのCBR250RRに乗りたいな~」といった場合はどうすれば良いのでしょうか。
その場合は自動車教習所で教習を受けるか、運転免許センターで試験を受けて「普通自動二輪免許」を取得する必要があります。そして取得後に免許センターに行くと、免許証の裏面の備考欄に「普通二輪限定解除」の印が押されます。
他にも、AT限定免許からMTも乗れる免許を取得した場合なども、免許証の備考欄にその旨を記した限定解除の印が押されます。
コレが「現在の限定解除」というコトになります。
ちなみに、運転免許証は3年または5年で更新しますが、その際には表面中段の「免許の条件等」に記載された「~に限る」の文言が消えます。そして裏面の備考欄には限定解除の印は押されません。
ただし、コレは普通自動二輪免許の中で限定条件が変わった時と、AT限定大型自動二輪免許から大型自動二輪免許に限定解除した場合の話です。
たとえば原動機付自転車の免許を持っていた人が、それ以外のバイクの免許を取得した場合は、免許の種類が完全に異なるため、その時点で新しい免許証に変更され、下段の免許の種類の欄の記載が変わります。
また普通自動二輪免許(限定問わず)から、大型自動二輪免許(もしくはAT限定大型自動二輪免許)を取得した際も同様です。
ビッグバイクに乗るにはハードルの高い限定解除が必須
現在(現代)の限定解除の言葉の意味は前述したとおりですが、1990年代半ば頃までは、「限定解除」はある意味でライダーにとってステータスを感じるコトバでした。それはかつての免許制度に関係しています。
現在のバイク免許の排気量の区分は1995年からになり、さらに2005年にAT限定免許が新設されました。
そして時代を遡ると、1930年代から1960年代頃までは比較的頻繁にバイクの免許の区分が変更されていました。当時はバイクの黎明期であり、販売されるバイクの種類(主に排気量)の変化に対応するためだと思われます。
そして1965年には、バイクの免許は50cc以下の原付免許と、それ以上のすべての排気量のバイクに乗れる自動二輪免許の2種類のみと非常にシンプルになりました。
そして1972年には自動二輪免許が小型自動二輪免許と区分されます(後に小型限定自動二輪免許に名称を変更)。

ところが1975年の改正で、さらに排気量が細分化されて中型限定自動二輪免許が加わります。
そして最大の問題は、小型限定自動二輪免許と中型限定自動二輪免許は、自動車教習所で取得することができましたが、排気量に制限のない自動二輪免許は、運転免許センターでの、いわゆる「一発試験」でしか取得できなくなったのです。
この免許改正は、当時大人気を博したナナハン(排気量750ccクラス)のホンダ「ドリームCB750FOUR」やカワサキ「Z2」こと「750RS」など、大排気量バイクによる交通事故や、暴走族の増加を防ぐことが主たる目的で、運転免許センターの自動二輪免許の一発試験は、ありていに言えば「落とすための試験」でした。
そのため当時の合格率はわずか1~3%で、東大や司法試験より厳しいと言われました。
しかしその高いハードルを乗り越えると、免許証の裏の備考欄に「限定解除」のスタンプが押され、400ccを超える大型バイクに乗ることができたのです。
昔は「条件違反」だったけれど、今は「無免許運転」
「限定解除」は、現在も昔もバイクの免許区分の「限定」が無くなるという意味は同じです。
しかし時代によって、免許の区分そのものや免許取得の難易度が変わっているため、ライダーの世代によって言葉の感じ方が変わるのも事実でしょう。
ただしライダーの間で「あるある」な話の「ナンシーおじさん」や「排気量マウント」は別問題で、コレを擁護するモノではありません。
さて、けっこう大切な話ですが、1995年の免許改正以前は、例えば400cc以下しか乗れない中型限定自動二輪免許で750ccなどの大型バイクを運転した場合は「免許条件違反」になり、違反点数は2点でした。これは免許の条件に「眼鏡等」があるのに、メガネをかけずに運転した違反と同等で、罰金も含めて比較的軽微でした。
しかし1995年の改正で、400cc以下のバイクを運転できる普通自動二輪免許と、400ccを超えて排気量の制限なく運転できる大型自動二輪免許は、完全に「別モノ」になりました。
そのため、普通自動二輪免許で400ccを超える排気量のバイクを運転すると「無免許運転」になり、違反点数は25点なので一発で「免許取り消し」です!
そしてこの法律は1995年の改正以前に中型限定自動二輪免許を取得した人にも適用されます(免許更新時に自動的に普通自動二輪免許になっている)。これを忘れて(気づかずに)、大排気量バイクに乗るのは絶対にやめましょう。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。






