個人情報ダダ漏れだけど……むかしはバイク雑誌の「個人売買欄」が楽しみだった!?
バイクやパーツを個人売買するなら、いまどきはフリマアプリやネットオークションを使うのが一般的ですが、インターネットが普及する2000年以前は、バイク雑誌の「個人売買欄」を活用していました。
ネットが無い時代はどうしてた?
中古車(クルマやバイク)を探すなら、今ではインターネットの中古車検索サイトを見れば全国のショップの中古車在庫を閲覧できます。しかしもっと安く、またはレアなモデルを探すなら、個人売買も有力です。そしてすでにメーカー欠品しているような絶版車のパーツを探すのにも有効です。
そんな時に、フリマアプリやネットオークションを活用しているライダーも多いのではないでしょうか。これらのサイトは、具体的な車両やパーツを探していなくても、眺めるだけでも楽しいモノです。
とはいえ、これはインターネットが普及した1990年代後半以降の話。それではスマホも存在しなかった時代、身近なバイク仲間や人づてはともかく、個人で車両やパーツを売り買いするにはどうしていたのでしょうか?
じつは、多くのバイク雑誌に「個人売買欄」のページがあり、それを活用していたのです。
「個人売買欄」はバイク雑誌の楽しみのひとつだった!!
フリマアプリやネットオークションを眺めるのと同様に、かつてはバイク雑誌の「個人売買欄」を見るのが楽しみだったと記憶します。狙っているバイクやパーツが出ていると、「コレは買いかも!」とか「コレはボリ過ぎだろう……」とか心の中で呟きながら、隅から隅まで目を通したライダーも少なくありませんでした。

当然ながら「早い者勝ち」なので、バイク雑誌を発売日に購入して、真っ先に個人売買欄に目を通す読者も多い、隠れた人気ページとも言えました。
そして個人売買欄を見ると、少々難解な独自の用語や略語が多数使われていました。たとえば「E/G難有平日夜取来人のみTEL明記〒にて」といった暗号のような文面も目にしました。
この文章は、「エンジンは調子が良くありません。平日の夜に取りに来られる人にのみ販売します。電話番号を記入した郵便ハガキで連絡をください」という意味です。
なぜこんな暗号のような文章なのかというと、バイク雑誌の個人売買欄への掲載は基本的に有料であり(郵便切手を同封することや、無料の雑誌もあった)、記載する文面の文字数に制限があったためです。
文字量がオーバーすると追加料金がかかるので、可能な限り情報を詰め込んで、かつ文字量を抑える工夫から生まれたワケです。
他にも、「機外極上(=エンジンも外観も程度が非常に良い)」や「雨天未使用室内保管」、「タイヤ新(=新品タイヤを装着)」とか「検有4カ月(=車検が4カ月分残っている)」といった具合に、セールスポイントを示したりしました。
また「〇〇交換可追金5万円」という具合に、自分が売りに出したモノに対して、何らかの車両やパーツとプラス5万円で物々交換します、というパターンもありました。
ちなみに「取来人(=トリクルヒト)」は、バイクやパーツを「自宅まで取りに来る人」という意味です。昔から郵便貨物や宅配便はありましたが、バイクそのものを運ぶ車両輸送は現在ほどメジャーではありませんでした。
そのため、車両やエンジンのような大物や重量物は、購入者が直接受け取りに行くパターンが多かったからです。その意味では、個人売買欄に掲載されているバイクを見て、自分と近い住所だと「ヨシッ!」と感じたりもしました。
また、個人売買欄の他にもツーリングクラブのメンバー募集や「文通希望」まで掲載されていました。インターネットやSNSが普及している現代では驚く……というか、知らな人にとっては信じられないことではないでしょうか。
個人情報ダダ漏れなだけに、時代とともに消滅……
前述の通り、バイクやパーツを個人売買するなら、現在はフリマアプリやネットオークションを使うのが一般的です。そしてこれらは(ショップとしての出品を除けば)出品した個人の氏名や住所などが特定できないようになっています。

しかしかつてバイク雑誌の個人売買欄は、氏名(本名)はもちろん、住所や電話番号がしっかり記載されていました。そうでないと当時は連絡をする手段がなかったからですが、現在から見たら「個人情報ダダ漏れ」です……。
そのため、バイク窃盗団が個人売買欄をみてアタリを付けていた、という困った話もありました。
これらの経緯やインターネットやSNSの普及もあり、バイク雑誌の個人売買欄は2000年代に入ってから徐々に姿を消し、また2005年からは「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」が施行され、時代に合わなくなりました。
というワケで、バイク雑誌を見る楽しみが減った……とも言えますが、そもそもバイク雑誌自体が減少しているのも事実。これも時代の流れでしょうか……。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。







