カワサキ初の4気筒「Z1/Z2」エンジンは他社と異なる設計思考!? 腰下組立て作業で見えたその特徴とは〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.33

将来的に末永く所有することを考えるとキックスプリングもできる限り新品部品に交換しておきたいパーツのひとつです。今回は、ベースエンジンの走行距離が少なく、ヘタリ感がほとんど感じられなかったので、そのまま再利用することにしました
キックスピンドル(シャフト)の途中にキックスプリングを引っ掛ける穴があります。まずは位置確認しよう。薄暗い作業場では明るい懐中電灯(LED電灯)を併用するのに限ります。老眼になると、穴ひとつ探すのも大変な作業になってしまいます
キックスピンドルにキズを付けないように、ラジオペンチでスプリングをしっかりつまんで、スピンドルのマウント穴にスプリングの片側一端を差し込みます。エンジンこそ違っていても、このあたりの構造は、キック始動のエンジンではみな似通っています
キックスピンドルの中心にスプリングのセンターを合わせて保持しながら、スプリングガイドをスプリングの内側へ差し込みます。このガイドの割り部分にスプリングのもう一端がセットされる構造になります
オイルシールを組み込み済のキックスターターカバーを準備して、キックスピンドルの摺動面にラバーグリスを少量塗布し、スピンドルをオイルシールに通しながらカバーを閉じます。ダウェルピンにサビがあるときには事前に除去しておきましょう
以前にクラッチのオーバーホールを済ませていたので、今回、クラッチユニットは一切分解することなく復元します。したがってクラッチカバーは蓋を閉じるのみです。ガスケットを用意して、締め付け部分の両面にシリコン系液状ガスケットを薄く塗布します
オイルシールをセットしたタイミングケースを準備します。ガスケットを組み合わせながらクランクケースへ組み込みます。この際には、オイルシールリップがメクレてしまわないように、慎重に確認しながらセットします。ラバーグリスを併用しましょう
タイミングケースの締め付けを終えたら、ピックアップセンサーを位置決めの凸凹に合わせてセットします。それからセンターボルトで締め付け固定になります。ASウオタニ製点火システムを組み込んでいるため、復元作業は楽々です
カムチェーンを片手で持ち上げながらキックスピンドルを回して「スムーズにクランキングするか?」この段階で必ず確認しておくのが良いです。スピンドルをプライヤーでつまむ際には、スピンドルの山にプライヤーのギザギザを合わせましょう。
ギヤチェンジセレクターのヘアピンスプリングは、迷わず新品部品に交換しましょう。純正部品をオーダーしたら、作業段階ではまだ入荷しました。このスプリングがヘタってしまったり、折れてしまうとギヤチェンジ不良になってしまいます。
初代空冷Zでは、ギヤチェンジ操作をより確かなものとするため、向かい合わせでチェンジアームがシフトドラムを抱え込む構造となっています。このピボット部分に入るヘアピンスプリングも迷わず新品部品に交換しました
シフトスピンドルを差し込みながら、チェンジアームを指先で開いてシフトドラムセレクターに爪先をセットします。アーム先端の爪が引きと押しでドラムを回し、より確実なギヤシフトを目指した作りとなっています
ギヤセレクター室用ガスケットを準備します。各ユニット部がカバー構造となっている初代空冷Zエンジンは、メンテナンスし製が良くてイライラせず気持ち良い印象です。カバーを外せば内部部品を確認できるのですから!! 液体ガスケットを併用しました
上下クランクケースの接合部分(合わせ部分)に、シリコン系液状ガスケットを適量塗ります。上下の合わせ面付近に微妙な段差がある個体を考慮した策です。転ばぬ先の杖として液状ガスケットを併用し、色が気になる方は黒色液状ガスケットを使うのが良いです
ドライブシャフトシール、クラッチレリーズシールを組み込んだミッションカバーをセットし締め付けます。根岸研磨さんで「ウエットブラスト」にて仕上げて頂いたので美しい。風合いが良い感じです。この部分がカバー化されているのは、初代空冷Zぐらいです
スプロケットの裏側に入るカラーを組み込みます。このカラーの奥にはOリングが入り、オイル漏れを防止していますので、Oリングの入れ忘れが無いように、また、必ず新品のOリングへ交換してからカラーをセットしましょう
スターターワンウェイギヤの内側に入るラバーダンパーの向きに注意しながら、スタータードリブンギヤをセットします。過去には、このダンパーには「厚さ違いの部品」が存在し、調整できましたが、今となっては絶版パーツになっています
スターターワンウェイギヤの外側にセットする、砲金製のスラストメタルも組み付ける向きに注意しましょう。片面の凹がオイル溜まりとなっていますが、凹面側を内向きにセットするのが正解です。
ラバーダンパーを組み込み(外側面のシール部がクランクベアリング側面と摺動するようにセット)が完了したら、ワンウェイギヤ、スラストメタルの順で部品を復元していきます。スラストメタルは、フラットな面が外側になります
クランクシャフトエンドにウッドラフキーをセットします。次に、マグネットローターにサブASSYしておいたスターターワンウェイユニットを一体の状態で、クランクシャフトへ差し込みます。ローラーが落ちないように注意しましょう
ローラーが落ちやすいうえにクランクシャフトのキー溝を合わせる必要があるため、ローターの復元時には気を使ってしまいます。ローラーの落下防止策として、グリスを接着剤代わりに利用するのも良いです。ネジ山洗浄したボルトに緩み防止剤を塗布します
ローターASSYをセットしたら、念のためにプラスチックハンマーでローター締め付け中心部分をコツ、コツッと叩き、マグネットローターの座りを確認します。ガタツキがある場合は、一度抜き取ってから、ワンウェイの状況を確認し直しましょう
規定のトルク(25Nm)で締め付けたら、クランクシャフトがスムーズに回転するか確認します。また、ワンウェイギヤもスムーズに回るか指先で確認します。ダンパーが押し過ぎていると、ワンウェイギヤの動きが渋くなる傾向です
ワンウェイの回転が渋いときは、一度分解して各部を再確認しましょう。分解中に他のエンジンパーツと入れ替わってしまうと、渋くなったり、ガタが出てしまうことになります。次に、セルモーターを復元します
セルモーターを固定したら、リダクションアイドルギヤ(減速ギヤ)を指先で保持しながらセットし、クランクケースのマウント穴へピボットシャフトを差し込みます。このシャフトには、カジリ防止策で二硫化モリブデングリスを少量塗布します
スターターワンウェイギヤとアイドルギヤの組み込みを終えたら、ジェネレーターカバーを復元します。ガスケットには、シリコン系液状ガスケットを両面に擦り込むように塗布しましょう。転ばぬ先の杖として、オイル滲み防止で液状ガスケットを併用します
エンジンのオーバーホール前にステーターコイルハーネスの張り換えを行い、ゴムグロメットも新品部品に交換して、オイル漏れをシャットアウトしていたので今回は安心です。カバー側は、グロメットに液状ガスケットを塗布しました
ジェネレーターカバーを締め付けたら、腰下主要部品の組み立てはほぼ完了です。ここからは、エンジン腰上の組み立てに入りますが、まずはシリンダーベース部に組み込むアイドルローラーシャフトを脱脂して、ボンドG17接着剤を塗布します
アイドラーシャフトにセットするラバーダンパーが小さく外れやすく、しかもゴムなのでマグネットが吸着しません。クランクケース内へ面倒なことになりますので、ここでも転ばぬ先の杖として、ダンパーラバーとシャフトを仮接着してしまいます
小さなダンパーラバーをクランクケース内に落としてしまい、困ってしまった経験があるメカニックは数多いはずです。このダンパーラバーには、上下の向きがあるので「UP」側を上向きにセットしましょう。これでいよいよピストンの組み立て作業に入ります
威風堂々と言ったフォルムを持4本マフラー仕様のカワサキ750RS/Z2-A。年式的には、1973年モデルが「火の玉カラー」のZ2で、1974年式が「タイガー」カラーのZ2-A前記モデル。そしてこの「青玉虫/茶玉虫」が1975年モデルのZ2-A後期モデルになります

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