カワサキ初の4気筒「Z1/Z2」エンジン 本来の走り+ちょっとだけ「α」を目指して、排気量は996ccへ 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.34

エンジンの腰上、その組み立ての第一歩はピストンの段取りから始まります。ピストンピンにオイルを塗布して、スムーズに挿入できて作動するか? ピストンスカート部分や、トップラウンドロア側エッジ部分にバリなどが無いか? しっかり確認します
ひと通りの確認を終えたらピストンピンクリップの片側をセットします。ピストンの組み付け向きに注意しながら、ピストンピンを差し込む方向の「反対側」のクリップ溝へセットします。内側へ曲げてしまうと張力不足になるので要注意です
最初に3ピースオイルリングのエキスパンダを組み込みます。合口部分の付き合わせが、上側になるようにセットするのが基本です。このエキスパンダの上下に、オイルリングがレールのように組み込まれることで、エンジンオイルを掻き落とす役割です
オイルリングレールの下側合口の位置から30度振りでエキスパンダの合口。さらに30度振りでオイルリング上側合口になるようにセットしました。そこから120度振りでセカンドリングの合口。さらに120度振りでトップリングの合口とレイアウトしました
すべてのピストンにピストンピンクリップの片側とピストンリングを組み込んだら、ピストンピンを抜けない程度に差し込みます。この段取りを終えてから、4本のコンロッドにそれぞれのピストンを組み込んでいきます。
最初に2/3番シリンダーのコンロッドへピストンをセットします。クランクケースのスロート穴にクリップが落ちないように、あらかじめきれいなウエスを穴へ押し込んでおくのが良いです。クリップを落とすと面倒になります。指先の器用さが物を言う場面です
2/3番のピストンを組み込み、ピンクリップを確実に固定します。クリップの合口は、個人的な好みで真上にしました。ピンクリップ端面にバリがある際には、事前にオイルストーンで除去します。次に1/4番シリンダー用ピストンを同じ段取りで組み込みます
初代カワサキZのシリンダーには、気筒間のスタットボルトの近所に各2箇所ずつ、計8個のゴムプラグが入ります。シリンダーのペイント時に外しておいたので復元しましたが、若干痩せていてスカスカ感がありました。新品部品が見つかりませんでした。
スカスカ感があるままでは組み立て途中に落としてしまうので、接着剤のG17を塗布して復元しました。このプラグが無いと冷却フィンの間に詰まった泥汚れが腰上分解時にクランクケース内に入ってしまいます。エンジンオイル用のシールではありません
新品のカムチェーンガイドをシリンダーに組み込みます。初代空冷Zエンジンは、オーバーホール時にカムチェーン関連の部品をすべて新品部品に交換するのが良いとカワサキ直系ベテランメカニックからお聞きしました。延命に直接影響するパーツです
カムチェーンガイドをシリンダーに組み込む際にナベコネジで固定しますが、このネジには必ずボルトの緩み止めケミカルを塗布します。カムチェーンの摺動振動によってネジが緩み易く、緩んでしまっていた例を過去に何度も確認しているそうです
カムチェーントンネル内に締め付け座があります。ここの締め付けが緩んでチェーンガイドが外れ、トラブルに至ったケースは数多くあるそうです。締め付け工具=+ドライバーも合致したサイズを必ず使い、確実に締め付けます
この段階で、カムチェーンテンショナー本体もシリンダーに組み付けておきます。プッシュロッドを戻してロックボルト&ナットを固定します。後々の組み付けでは、周囲パーツが邪魔になってしまい作業性が悪く面倒です
ここで何故だか「輪ゴム」が登場します。部品を束ねて整理するのではなく、この輪ゴムを利用することで、シリンダーの組み立てが楽になります。これまで輪ゴムを使ったことがありませんでしたが、カワサキ直系メカニックだったバイク仲間のアイデアです。
シリンダー組み付け時にベースガスケットはクランクケース側にセットするのが一般的ですが、ガスケットが気になってピストンをシリンダーに挿入しにくいケースがよくあります。そんなときにシリンダー側へベースガスケットをこのようにセットします
堅い木片を使ってピストンベースを作りました。ピストンを安定した状態で保持できないと、特に4気筒エンジンは、ピストンの挿入がたいへん面倒になってしまいます。クランクケース側にベースガスケットが無いので気楽に木片を置けます
ピストンベースがあることによって、ピストンが安定しています。しかし、ピストン挿入時には細心の注意を払い、気を使って作業進行します。最初に2/3シリンダーへピストンを挿入し、次に、クランクシャフトをゆっくり回して1/4シリンダーへ挿入しました
1/4シリンダーへピストンを挿入するときは、2/3シリンダーのピストンベースの木片を90度振って、寝かせてピストン位置を低くすると作業性が良かったです。ベースガスケットが上=シリンダー下面側にあると、作業進行が安心です。
指先の爪を立ててピストンリングを押し込みながらシリンダー内へ挿入しました。10分程度の格闘後に、4シリンダーともすべて挿入することができました。作業前に、爪は切らない方が良いかも知れません。無理にドライバーを使うとキズを付けてしまいます。
ピストンベースとなっていた木片を抜き取り、シリンダーをクランクケースに近づけたら(クランクケースの上にはまだ完全に載せない)、輪ゴムを指先でつまんだ状態で、ニッパを使ってカットします。すると役目を終えた輪ゴムが抜け出ます。
輪ゴム4本に保持されていたので、キズが付いたり切れてしまうことなくベースガスケットのコンディションは抜群でした。このシリンダーが浮いた状態を保ちつつ、ガスケットの表裏に薄く液状ガスケットを塗布します。この段階で塗布するのがベストです。
シリンダーを位置決めするダウェルピンがスムーズに差し込めていることを確認したら、不要になったピストンピン(今回はZ2ノーマル用を利用)をスタッドボルトに通し、暫定的にナットで締め付てけシリンダーをクランクケースへ固定します。
外側4本のスタットボルトでシリンダーを仮固定します。締め付けトルクは10Nm程度で十分です。この状態で、カムチェーンを持ち上げて、クランクシャフトを回してピストンがスムーズに往復運動するか確認します
ピストンがスムーズに上下往復運動することを確認できたら、カムチェーントンネルの前後に組み込まれるアイドラーをセットします。このアイドラーシャフトのゴムダンパーも、落下しないように接着剤のG17で固定しました。
アイドラーシャフトにセットするダンパーラバーにも上下があるので要注意です。ゴム部品のセット面に「UP」の印字があるので、この印字が上向きになるようにセットします。こまかな部分にも気配りされているのが初代空冷Zエンジンです
カムチェーンテンショナーASSYにアイドルローラーをセットしてから、前方のアイドラーと同様にダンパーラバーをシャフトに仮接着固定します。これらのパーツはたいへん高価ですが、すべて新品部品に交換しました。
この特殊形状のOリング、通称「こけしリング」がオイル漏れの原因になるパーツのひとつだとカワサキ直系メカニックだったバイク仲間。このパーツには純正部品を使い、液状ガスケットの併用でオイル漏れ対策を行なうことにします
ヘッドガスケットには3枚重ね仕様のメタルガスケットを組み込みました。組み込んだボアアップピストン用の部品です(すでに絶版です)。標準ガスケットよりも、現代のバイクと同じメタル製なので、熱伝導に優れ、安定した締め付けトルクを得られます
ホンダCBナナハンとはまったく違った雰囲気をもっているのがカワサキ750RSです。それまでの国内フラッグシップモデルだった650RS/W3と比べても、あきらかに違う雰囲気を感じます。数多くのライダーが今尚魅了されるオーラがあります。
堅い木片を使ってピストンベースを作りました。ピストンを安定した状態で保持できないと、特に4気筒エンジンは、ピストンの挿入がたいへん面倒になってしまいます。クランクケース側にベースガスケットが無いので気楽に木片を置けます

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