カワサキ初の4気筒「Z1/Z2」エンジン 本来の走り+ちょっとだけ「α」を目指して、排気量は996ccへ 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.34
メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在なのがカワサキ「Z1/Z2」シリーズです。1975年式750RSを購入して、フルレストアに取り組んでいる一部始終をリポートしているのがこの企画です。エンジン腰下の組み立てを終え、いよいよ、腰上=ピストン、シリンンダー、シリンダーヘッドの組み立てに入ります。
シリンダーへのピストン挿入には様々なノウハウがあります
所有するカワサキ「Z2」エンジン腰下とその周辺部品の組み立てを終えたことで、いよいよエンジン腰上の組み立てに入ります。
4ストエンジンでは、吸排気バルブを正しく作動させるために、バルブタイミングを正確に合わせなくてはいけません。バルブタイミングが正しくないと、本来のエンジン性能を引き出せないばかりか、吸排気バルブとピストンが衝突して、バルブを曲げてしまうトラブルを招いてしまいます。
そうなると、エンジンの始動うんぬん以前に、エンジンブローさせてしまうことになりますので、バルブタイミングを正確に合わせて組み立てないといけません。

その前にも、注意すべきポイントがいくつもあります。ここで組み立てているシリンダーへの「ピストン挿入」もそのひとつです。
ピストンリングコンプレッサーといった純正特殊工具もありますが、使い易いものと、そうではないものがあります。実際に使ってみて、使い易いものを利用するのが確実です。我がガレージにも、購入したものの、結局は使ったことが無いメーカー純正ピストンリングコンプレッサーが何種類もあります。

ピストンの挿入時に大切なことは、ピストンをしっかり安定させることです。今回は、硬い角棒=木片をカットして利用しましたが、メーカー純正のアルミ製や鉄筋棒を曲げたものと比べ使い易かった印象です。ピストンスカートにキズを付けにくいのも、作業者としては安心です。
また、ピストンベースがしっかりしていたこともあり、指先でピストンリングを押し込んだ時に、ピストンが逃げるなど作業性が悪くならず、シリンダーへスムーズに挿入することができました。正直、特殊工具=ピストンリングコンプレッサーが不要なほど、作業性は良かった印象です。
また、ピストン挿入時には、シリンダーベースガスケットが邪魔になることが多いです。今回のように、ガスケットをシリンダー側へプリセットした状態で作業進行すると、ガスケットが気になり作業性が悪くなることがありません。
通称「輪ゴム作戦」と命名し作業進行しましたが、他モデル用エンジンの組み立て時にも、応用可能なテクニックだと思います。4個のピストンを確実に挿入してから液状ガスケットを塗布できる点でも、作業性に優れていると感じました。現場経験が長いベテランメカニックのアイデアは、本当に素晴らしいものです。今回も作業の詳細については写真とキャプションをご参照ください。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。




























