世界グランプリで衝撃を与えたマシン 圧倒的存在感でグランプリを沸かせた「elf -3(エルフ-3)」
昭和後期、グランプリに突如登場した「elf製バイク」! その個性的なフォルムは、令和の時代になっても色褪せません。バイクの世界に新たな風を呼んだ「elf」とは?
個性的なレースマシンを世に送り出したelfレースプロジェクトROC
フランスパリ郊外に本社を置く石油会社elf(エルフ)のレースプロジェクトROCが製造したelf-Xが登場したのは、1978年の事です。elf-Xは、フレームを持たずエンジンブロックから前後のサスペンションを出し、さらにタンクもエンジン下に配置しているユニークなバイクでした。

開発当初は、世界耐久選手権にRS1000のエンジンを搭載し参戦。1984年からは、GP500にelf-2で参戦し、RS500Rの排気量498.6ccの2サイクル水冷V型3気筒エンジンをホンダから供給されています。
1986年からは、HRCでグランプリを戦っていたロン・ハスラムを招集し、elf-3で参戦します。elf-3には、NS500のエンジンが搭載され前後片持ちスイングアームを採用し当時一際目立つ存在のマシンでした。

elf-3の足まわりは、フロントサスペンションをダブルウイッシュボーン式からマクファーソンストラット式に変更され、フロントタイヤを支えるアームもアルミ溶接のものを使用することにより、独特の様相だったカウルデザインも当時のレーサーと変わらぬスタイリッシュなものに変えられました。
R・ハスラムが駆るelf-3での最高順位は、ダッチTT(オランダ)とポールリカール(フランス)の7位、シリーズランキングは9位の成績を修めました。
その後elfプロジェクトは、1988年のelf-5まで開発され数々の革新的技術をバイクの世界に提供しました。elfとホンダとの協力関係によってホンダのバイクには、VFR750R(RC30)やVFR400Rにも採用されているプロアームなど、市販車にも多くの技術が採用されています。
【了】