ラリーマシンのイメージを具現化 ヤマハの新型アドベンチャーバイク「テネレ700」とは?

オフロードが楽しく、オンロードも軽快に。こんなバイクを待っていた!

 排気量689ccの並列2気筒エンジンは、重厚さよりも軽快なレスポンスを見せます。ドドドドンという鼓動もありながらクイックな吹き上がりのため、レーシーなシングルエンジンを想像させる部分もあります。

舗装路でもスポーティで軽快な走りを見せる「Tenere700(テネレ700)」

 吸入エアボックスや排気系、冷却系、燃料噴射などをチューニングし、スペック的にはヤマハのスポーツバイク「MT-07」と同様ながら、クラッチをつないだ瞬間から元気の良さがテネレ700の特徴です。

 試乗で街中を行くテネレは、車両重量204kgが「本当だろうか?」と思うほど身軽です。前21インチ、後18インチのタイヤを履く「オフ車」スペックながら、身のこなしに重さはありません。その走りの良さは郊外の道でも同様。むしろペースがあがるほど機敏性の良さが際立ちます。

立て気味の長いフロントスクリーンから燃料タンクを覆うカウル形状は、風や雨からライダーを保護する役割を持つ

 標準装備のタイヤ、ピレリ・スコーピオンラリーSTRは、多少ロードノイズがあるものの、旋回性やグリップ感に不安は無し。乗り心地も含めこのバイクにとてもマッチしています。さらにワインディングでもその印象はスポーティにさえ思えてきます。深く寝かせても安心感が途切れない。これは舗装路が楽しめます。

 今回の試乗ルートには、ダートロードがふんだんに含まれていました。硬くしまった直線路、風力発電が尾根に立つ山々を見ながらスカイラインを縫うように走るタイトなダート、そしてまるでダカールのワンシーンのようなキャニオンルートを行く滑りやすいダート。どの場面でも自信をもってコントロールできるため、つい心が躍り出します。とにかく楽しい!

 オフロード用のタイヤではないものの、標準の空気圧のまま相当な領域まで攻め込めました。フォトセッションにダート路が多いことからも、テネレ700の良さをヤマハがどう伝えたいのかが解ります。

ヤマハ新型「Tenere700(テネレ700)」に乗る筆者(松井勉)

 ブレーキやサスペンションはとてもバランス良くチューニングされ、ダートでも突発な効きを見せず、コントロールしやすいものです。サスペンションは少々固めに感じる場面もありました。しなやかでダンピングにしっかりと支えられた印象があればさらに上質な世界観を楽しめるかもしれません。

 電子制御はABSを装備する程度です。トラクションコントロールや走行モードの切替などはなく、持ち前の扱いやすいエンジン特性と車体が見せるバランスで、どんどん走りの世界に引き込まれていきます。乗り手とバイクの対話のような部分がしっかりできるのです。

 エンジンが気持ち良く感じる領域は4000回転から8000回転あたりで、右手の開度にあわせてトルクを引き出す感じが印象的でした。

ヤマハ新型「Tenere700(テネレ700)」

 2日間でたっぷり走り、このバイクがしっかりと磨かれたことが解りました。アドベンチャーセグメントに属しながら、軽快で、遠出や舗装路ツーリングでの機敏性、オプションパーツを使った機能の拡張性、そして走りの濃密性もある。どれをとっても上級アドベンチャーと同様に楽しめるのに、軽く、思い切って操れるバイクの誕生は、新しい市場を切り開くに違いありません。こういうのを待っていた! テネレ700が早く国内リリースされることを願ってやみません!

【了】

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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