ル・マン24時間2019の舞台裏で、フェラーリを支えた前2輪の「赤い」電動バイク

かつてフェラーリが最強の座に君臨したル・マン24時間レース。2019年はトヨタ車がトップ2位を占め幕を閉じました。一方フェラーリのパドックでは、チームスタッフの移動に前2輪の電動スクーターが活躍していました。

電動バイクが24時間レースの舞台裏をサポート!?

 世界3大レースのひとつ、ル・マン24時間レースが、2019年6月15日から16日(現地時間)にフランスのサルト・サーキットで開催され、「LM P1」クラスでトヨタ車の2台がワン・ツー・フィニッシュし、話題となりました。

市販スポーツカーベースの競技車で争う「LM GTE Pro」クラスで優勝を獲得したフェラーリ「AF Corse」のFerrari 488 GTE EVO

 ル・マン24時間は、24時間でのサーキット周回数を競うレースです。そのためドライバーをはじめ、チームクルー、関係スタッフも24時間体制で戦いに挑みます。

 かつて最強の座に君臨したイタリアの名門フェラーリ、そのパドック前で色鮮やかなテントと同じカラーリングの、前2輪の電動バイクがチームスタッフの移動に使われていました。

 前2輪で旋回時に車体が傾くさまは、ヤマハの「トリシティ」や「ナイケン」、ピアッジオ「MP3」などに通じるものがあります。

 これは中国メーカー「doohan(ドゥーハン)」の「iTank(アイ・タンク)」という電動バイクで、独自のDDWT(Doohan-Dual-Wheel-Technology)により、リーニングアングルは最大30度、最大高低差183mmを実現しています。

ドゥーハン「iTank(アイ・タンク)」を利用するAFコルセのメンバー

 リチウムバッテリーはパナソニック/LG社製、動力はBOSCH社製がベースのホイールハブモーターを搭載し、最高出力1.49kW、最大トルク128N・mを発揮します。

 取り外し可能なバッテリーは重量約9kgで、1回の充電で最大約70km(25km/h定地走行時)の距離を走行可能としています。

 参考までに、日本国内で一般公道を走行可能な電動バイクのなかから抜粋したモデルの「最高出力・1回の充電で走行可能な距離」を挙げると以下の通りです(メーカー公表値)。

ヤマハ「E-Vino」 1.2kW・約29km
ホンダ「PCX Electric」 4.2kW・約41km
ADIVA「VX-2」 6kW・約50km
ADIVA「VX-1」 35kW・約130km(容量7.2kWhの場合)
BMW Motorrad「C evolution」 35kW・約160km

ヤマハの電動バイク「E-Vino」は原付免許で運転することが可能

 電動バイクの世界は未知数であり、海外へ目を向けると日本での普及は出遅れている印象は否めませんが、2019年6月に閉幕したマン島TTレース「TT Zero」クラスで、日本チームが表彰台を独占したことは明るいニュースといえるでしょう。

 現状でEV(電動の乗りもの)は「ファン」や「スポーツ」というより、「コミューター」や「道具」としてのほうが市民権を得やすいようにも感じられます。

 世界3大レースのひとつ、ル・マン24時間の舞台裏で活躍する電動バイク。FIM世界耐久選手権最終戦の舞台ともなる“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレースでも、同様に電動バイクがパドックを移動するシーンが見られるのでしょうか? 気になるところです。

【了】

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