なぜマシンやメーカーの呼び方は三者三様なのか!? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.7~
BMWの呼び方は、千差万別様々な呼び方が存在します。筆者はカワサキ「Z2」の呼び方に敬意を持っています。その呼び方とは?
BMW一色に染まるイベントで様々な言葉が交錯する
神戸ポートアイランドで開催された「BMWファミリエ」にご招待いただいた。BMW専門ショップのスタディが主催する盛大なイベントで、会場がBMW一色に染まる。

訪れるお客様の年齢層は様々で、ベビーカーを押す若奥様から、初老の男性から、熱狂的なBMW愛好家はもちろんのこと、部活帰りに立寄ったのか、制服姿の男子高校生も熱心にトークショーに耳を傾けてくれた。
こうして老若男女が集うと、様々な言葉が交錯する。曰く、BMWの呼び名が三者三様で躊躇してしまったのだ。
「カッコええなぁ、ベンベー」
「そうだね、このビーエム」
「新型のビーエムダブリュはこれなんだな」
総じて、戦後をかじった年輩の人は”ベンベー”が多く、胸ボタンを開けたマニアは慣れきった感じで”ビーエム”と呼ぶ。芦谷セレブはお上品に” ビーエムダブリュ”と口にする。

ちょっとずっこけたのは学ラン姿の男子高校生で、「この”ビーエムダブル”速そうやなぁ」と声高に叫んだのだ。” ビーエムダブリュ”ではなく”ビーエムダブル”。アルファベットを順に唱えれば、”W”は”ダブリュ”であろう。あるいは神戸の授業では”ダブル”と発音するのであろうか。確かにトイレは”ダブリュシー”ではなく”ダブルシー”だからそれも間違いではなさそうだ。だが、どこか違和感がある。
メルセデスAMGを”アーマーゲー”と呼ぶのは、日本にまだ外車が溢れる前の名残りだ。今では”エーエムジー”がポピュラーだし、ドイツ語を気取って”アーエムゲー”と呼ぶ偏執狂もいる。
そもそも、僕らにとって欧文はすなわちカタカナだから、ネイティブに発音することに無理がある。正しく発音しようとするとフランス車の”プジョー”は”ピジョー”に近いし、ドイツの”ポルシェ”は”ポーシェ”になる。
正規輸入元が「プジョー・シトロエン・ジャポン」や「ポルシェジャパン」の名で法人登記しているのだから、カタカナ発音が間違いだとは思えない。海外生活が長く英語が堪能な紳士……を気取りたい僕は、そんなネイティプ発音にこだわってしまうのだ。

カワサキの名機「Z2」を僕は「ゼット・ツー」と呼ぶことにしている。一文字一文字を大切にすることが、憧れの「Z2」への敬意だと思っているからである。間違っても軽はずみに「ゼッツー」と呼ばないのである。そして「ゼッツー」と軽々しく呼ぶライダーを、異常な執念で忌み嫌うのである。
素人の戯言ですが、そこだけにはこだわっていたい。
【了】
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。


