サーフボードキャリアを取り付け颯爽と走るサーファーに恋心を抱く ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.10~

夏の湘南には、荒波を楽しむサーファーが多数います。良い波を求めてバイクにキャリアを取り付け、サーフボードを運び海岸線を颯爽と走るサーファーも多く存在します。

荒れた波を求めバイクを走らせるサーファーたち!?

 自宅のある葉山は、漁村の町であると共にサーファーの街でもある。鎌倉からあっち、江ノ島を超えて大磯までがいわゆる良い波の立つサーフポイントが点在しているようだが、葉山にも沢山のサーファーが集結する。

ボード取り付け用キャリアの付くバイク

 僕が陸サーファーを気取っていたのは今から20年ほど前までだから、最近のサーフポイントには疎い。だが、朝から夕方まで、日のある時間帯には必ず、多くのサーファーが海に見惚れている。

 台風の季節にでもなれば、どこから湧いてきたのか、夥しい数の陽に焼けた肌ボロボロの御仁が集まる。僕のような素人にはただの荒れた海にしか見えないのに、彼等にとっては夢のパラダイスらしいのだ。

 そんなだから、「室戸岬沖に台風10号が接近しています。湾岸の方は絶対に近づかないで下さい」などというNHKアナウンサーの注意喚起は、「サーファーのみんな~、いい波が立っているよ~」にしか聞こえないのだろう。風が強さに比例して、葉山の湾はアザラシの大群が紛れ込んだようになるのだ。はじめての葉山に訪れた友人はそれを見て、「相模湾にアザラシいたっけ」ってマジでそう呟いた。それほどなのである。

バイクはサーファーにとって重要な乗り物

 となれば、葉山の街はバイク天国と化す。サーフボードキャリアを括りつけた原付スクーターが激しく往来するのだ。ウエットスーツを着たままなのは珍しくもなくともない。水着のままももはや正装に近い。サーフポイント前の歩道に、無数のバイクが乗り捨てられる。その光景はなかなかのもので、いかにも湘南らしさがただよう。

 それにしても、サーフボードキャリアは中々バイクのデコレートとして悪くはない。陸サーファーすら引退した身なのに、サーフボードキャリアを括り付けていないと、154号線を走るのは気恥ずかしいほどだ。

バイクはサーファーにとって重要な乗り物

 サイドの簡易的なラックにボードを引っかけるだけの構造ゆえに、ライディングに多少のコツが求められるらしい。それも道理で、原付のスクーターに屏風のような羽を背負うのだから、風の影響をもろに受ける。しかも台風が迫っているとなると風速もそれなりのレベルに達するから、直進性を保つのは易しくはない。それでも颯爽とバイクを飛ばしているサーファーを見ると、憧れを通り越して恋心すら芽生えてしまうのだ。

 実はいま、サーフボードキャリア付き原付バイクの購入を考えている。サーフィンを再開するつもりはない。筋金入りの陸サーファーを演じるためである。

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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