見た目でスピード感と安心感を演出、オシャレ度アップに手触りも!? ミシュラン「POWER 5」とは?

ミシュランタイヤから2輪のストリート用タイヤ「POWER 5」(パワー・ファイブ)が新登場しました。いったいどのような特徴があるのでしょうか?

確かな技術、性能に新しいテイストもプラス

 ミシュランと言えば、オンロードからオフロードまで、2輪用の様々なカテゴリーに向けたタイヤをリリースするブランドとして知られています。製品のスローガンを「ミシュラン・トータル・パフォーマンス」とし、言い換えると、ある部分だけに特化するのではなく、どんな場面でも乗り手の要求に応える優れたタイヤ作りに邁進するブランド、となります。

ミシュランタイヤ新製品「POWER 5」(2020年春発売予定)

 現在は世界最高峰の2輪モータースポーツ、MotoGPクラス、そして電動マシンで争う話題のMotoEクラスのタイヤサプライヤーとしてお馴染みです。かつて、レース界ではリア16.5インチタイヤが主流でした。MotoGPクラスも同様です。ミシュランは2016年にタイヤサプライヤーに復活するにあたり、あえて市販車同様の前後17インチタイヤで、250馬力を軽く超えるこのカテゴリーに挑戦し、そこで培ったノウハウを惜しみも無くストリート向けや、ハイエンドスポーツタイヤに注いでいるのです。

 2020年春発売の新作「POWER 5」(パワー・ファイブ)も、まさにそんな1本となっており、ターゲットとなる機種は前後17インチを履くスーパーバイク系、高い運動性を持つスポーツネイキッドなどです。

スズキ「KATANA」&ミシュラン「POWER 5」

 POWER 5がテリトリーとするのは一般道です。そのキャラクターは一般道でもワインディングに向けたグリップ、ハンドリングの良さでチューニングをされています。もちろん、高速道路や市街地をカバーすることは言うまでもありません。

 新設計されたシリカコンパウンドとトレッドパタンが生む優れたウエットグリップが持ち味で、タイヤのトレッドは前後とも最適な位置に最適なコンパウンドが配置されています。

 低温、ウエットに強いとされるシリカコンパウンドを、フロントではタイヤトレッド面の中心から左右34%づつ、合計68%をカバーします。イメージとしては峠でのスポーティな走りではなく、日常的な移動、高速道路、速度の低い市街地などで使う領域です。

 リアではタイヤトレッドの中心から左右55%の幅に使われます。そして旋回時にバイクを深く傾けた際に接地するエリアには、高温になっても高いグリップ力を誇るブラックカーボンのトレッドゴムを配置しています。フロントは左右両端から16%、リアでは左右両端から22.5%の領域を、このハイグリップなコンパウンドゴムが受け持つのです。

 この異なる2種類のコンパウンドをひとつのタイヤに使うのが、ミシュラン独自の「2CT」(ツー・シー・ティー)、「2CT+」(ツー・シー・ティー・プラス)技術です。

見た目の印象で安心感をもたらす細いラインのスクエアや小さな無数のくぼみはデザイン上の演出

 グリップ力と一般道における雨、冬の寒さ、摩耗性など、一見相反する要素をひとつのタイヤでカバーするのが目的です。もちろん、旋回時の安定性向上も含まれます。

 タイヤのトレッドにおける溝の割合、シー・ランド比(ミシュランではボイド・レシオと言う)は前後とも11%となっています。そのトレッドパターンにも特徴があり、タイヤサイド、ショルダー部にはまるでゴルプボールのようなディンプルが押されたデザインがされ、また、そのセンターよりにスクエアデザインのパターンが刻まれています。

 これは、タイヤショップなどでこのタイヤを見たユーザーが、実質的には深いリーンアングルでグリップを発揮するエリアが、つるりとしたスリックタイヤのようなパターンだと、タイヤ全体がウェットグリップの低さを連想してしまいがち……というところをカバーする手法でもあり、デザインの新しさでもあるのです。雨にナーバスなライダー心理を見事に突いたものだといいます。

 また、サイドウォールの文字が刻印されたエリアでは、マットに見える部分に指先で触れると、あたかもスエードのような心地よさに驚きます。ミシュランではこれを「ベルベット・テクノロジー」と名付けています。

光の角度によって陰影を生み文字やキャラクターの輪郭が際立つうえにベルベットのような手触り(マット部分)を演出

 表面を顕微鏡レベルで拡大すると、ピラミッドのような形状の微細な突起の連続がまるで起毛のようなカタチで刻まれているのです。ブランドの文字もタイヤサイズも、光の加減で見事な陰影を描く不思議さです。グリップや乗り心地には関係ありませんが、ホイールに履いた姿を想像して見て下さい。ちょっとオシャレですよね。

 専門的に言うと、タイヤの金型にレーザー技術で彫り込んだ金型製造技術と、そこにゴムをしっかりと鋳込むように密着させる生産技術の二つが可能にしたものです。これはホワイトレター(サイドウォールのメーカー名やブランド名を白く塗る)的なカスタムアイテムになる予感です。

 サイズラインナップにあるように、スポーツネイキッドからスーパースポーツモデルまでカバーするミシュランのPOWER 5。その乗り味はどんなものでしょうか?

【了】

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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